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政府は、24日、来年度予算案を決定した。社会保障費が増える中、新型コロナウイルスへの対応などで10年連続で過去最大を更新している。

【画像】来年度予算案は総額107兆5964億円で、10年連続で過去最大を更新した。

来年度予算案の一般会計の総額は、107兆5964億円で、今年度当初予算を9900億円ほど上回った。年金や医療などの社会保障費に、36兆2735億円をあて、看護や介護職員などの収入引き上げに必要な費用も盛り込んだほか、新型コロナ対策として使い道を自由に決められる「予備費」に5兆円を計上する。

一方、税収は、感染拡大で落ち込んだ企業業績が回復する前提で、過去最高の65兆2350億円を見込み、新規国債の発行額は36兆9260億円と、2年ぶりに減ったが、歳入に占める借金の割合を示す「公債依存度」は34%程度で、厳しい財政事情が続く。

三田友梨佳キャスター:このニュースについては、デロイト トーマツ グループの松江英夫さんに話をうかがいます。10年連続で、過去最大の予算案ということですが、松江さんは、このニュース、どうご覧になっていますか?

デロイト トーマツ グループCSO 松江英夫氏:まさに、過去最大ということで、債務も増える、これは将来の国民の負担が増えることを意味しますから、負担を上回るだけの成長、これにいかにつなげていけるか、これが最大のポイントだと思うんですね。私は、成長に向けてお金をつけるという意味では、10年単位の長期的な視点で、競争力につながるようなお金のつけ方をいかにできるか、これが大事だと思うんですが、そこで、一つ注目しているのが、グリーンイノベーション基金なんです。

三田友梨佳キャスター:グリーンイノベーション、つまり脱炭素の取り組みを、いかに成長につなげるかということでしょうか。

デロイト トーマツ グループCSO 松江英夫氏:そうなんです。まさにカーボンニュートラルに向けて、10年越しで投資するような、野心的な動きを支援しよう、こういったための基金が、令和2年度の補正予算で組まれたんですが、これが来年度は、いよいよ本格化していく、さらには関連する脱炭素関連の予算も、来年度ついていくということで、来年度は、非常に重要な時期を迎えるんですね。これは足元の対応だけじゃなくて、長期的な日本の成長につながるような投資、これを予算にひも付けていく、これが非常に重要になってくると思います。

三田友梨佳キャスター:成長へとつなげるには、長期的な視点で取り組むということが重要なんですね。

デロイト トーマツ グループCSO 松江英夫氏:そうなんです。実際は、脱炭素、これの投資、色んな形で行われているんですが、実は、日本は、世界的に見ると、まだまだ心もとないんです。例えば、欧州では、10年間で130兆円、アメリカでは4年間で230兆円、こういった投資が打ち出されているんですけど、日本は、さきほどのグリーンイノベーション基金は10年間で2兆円しかない、これは規模がかなり小さいんですね。

デロイト トーマツ グループCSO 松江英夫氏:さらには、関連した予算も、実行段階になりますと、ややもすると、省庁ごとの縦割、細分化、分散化につながって、なかなか現場で使いにくい、こんな形にもつながる懸念があるので、質と量と両面で、予算の執行、これの課題を解決していく必要があるんですね。

三田友梨佳キャスター:そうした課題を克服するためには、どういったことが必要になるんでしょうか。

デロイト トーマツ グループCSO 松江英夫氏:まずは政府が音頭をとって、2030年から50年に向けた成長のシナリオ、そこにおける投資のプランを、産業界と一体になって打ち出していく、この動きを加速することが、まず大事だと思うんです。それに加えて、来年度の予算の執行においても、限られた財源を有効に使うために、縦割にならないように、組織を横断的なガバナンス、これを強化していく、これも合わせて求められると思うんです。過去最大の予算をつける以上は、将来の不安や負担を上回るぐらいの成長の道筋、ここを示すリーダーシップに期待したいと思います。

三田友梨佳キャスター:コロナ禍によって、あらゆる分野で、不確実性が高まっているとよく言われます。だからこそ、このような状況で、イノベーションを促すには、長期的な視点が、より重要となるのかもしれません。環境への取り組みが、単なるコストではなく、次なる成長の源泉となることが期待されます。

(「Live News α」12月24日放送より)