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月面の経済発展でリーダーとなることを目指す日本の宇宙ベンチャー企業、ispace(アイスペース)は、早ければ2024年に月へ行く大型着陸機のデザインを発表した。

東京を拠点とするispaceによれば、この「シリーズ2」と名付けられた次世代ランダーは、同社が計画する3回目の月探査ミッションで使用される予定とのこと。このランダーは、同社の最初のランダー「シリーズ1」よりも全体の大きさとペイロード(貨物)積載容量が大きく、着陸脚を広げた状態で高さ約2.7メートル、幅約4.2メートルとなっている。月面には最大500キログラム、月周回軌道には最大2000キログラムのペイロードを輸送することが可能だ。2022年と2023年に打ち上げ予定のシリーズ1は、ペイロード積載容量が30キログラムしかない。

重要なのは、この新型ランダーが極寒の月の夜にも耐えられるように設計されていることで、月面には2週間の滞在が可能であるという。また、このシリーズ2ランダーは、極地を含む月の表側と裏側のどちらにも着陸できるように設計されている。

この着陸機には他にもいくつかの特徴がある。複数のペイロードベイを備えたモジュール式のペイロードデザインを採用していること、そして高精度な月面着陸を実現するための高度な誘導・航法・制御(GNC)システムを搭載していることなどだ。このGNCの技術は、宇宙産業で実績のあるエンジニアリング開発会社のDraper(ドレイパー研究所)から技術協力を受けている。ドレイパー研究所は、NASAのCommercial Lunar Payload Services(CLPS、商業月面輸送サービス)イニシアティブに選定された14社のうちの1社でもある。

ispaceの発表によると、このシリーズ2ランダーは基本設計審査を完了しているとのこと。次の段階となる製造と組み立ては、防衛・航空宇宙技術会社のGeneral Atomics(ジェネラル・アトミクス)と協力して行う予定であるという。

このシリーズ2ランダーをNASAのプログラムに参加させたいと考えているispaceにとって、鍵となるのがCLPS契約企業であるドレイパー研究所とのパートナーシップだ。ispaceの米国子会社のCEOであるKyle Acierno(カイル・アシエルノ)氏は「今後数カ月間はドレイパー研究所やジェネラル・アトミクス社と連携し、次のNASA CLPSタスクオーダーに向けて準備を進めていきます」と語っている。

ispaceは、コロラド州にある北米オフィスで次世代ランダーの開発を行っており、製造も米国内で行う予定だ。その一方で、2022年と2023年に予定されている1回目と2回目の月面探査の準備も進めている。同社によると、シリーズ1ランダーは、宇宙打ち上げ会社のArianeGroup(アリアングループ)が所有するドイツの施設で、フライトモジュールの最終組み立てを行っているという。最初のミッションの顧客積荷目録はすでに満杯だが、ミッション2のペイロード容量にはまだ余裕があると、ispaceは述べている。

今回のランダー発表の数週間前、ispaceはシリーズC投資ラウンドで約50億7000万円の資金調達を実施したことを発表している。この資金は同社が計画中の第2、第3のミッションに充てられる予定だ。

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画像クレジット:ispace

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)