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ライブオーディオの人気が高まる中、共同創業者のDavid Sacks(デビッド・サックス)氏(PayPalの元COOおよびYammerの元CEO)とAxel Ericsson(アクセル・エリクソン)氏は、ソーシャルオーディオとポッドキャスティングを1つのシームレスなアプリに統合することを目指した。その結果生まれたアプリCallinは先に、Sequoia、Goldcrest、そしてSacksが設立しパートナーを務めるCraft Venturesが共同で主導したシリーズAラウンドで1200万ドル(約13億2400万円)を調達したことを発表し、iOS上でローンチした。

ClubhouseやTwitter Spaces(Twitterスペース)のようなライブオーディオプラットフォームでは、ルームが終了するとオーディオは消えてしまう。Callinにも似たようなライブオーディオ機能があるが、ユーザーが自分のライブ録音を保存してポッドキャストのエピソードに編集できるという点で他と一線を画している。

「私は何年も前からポッドキャストをやろうと思っていましたが、あまりにも複雑で障壁が高すぎるためにまったく取り組めていませんでした」と、ロックダウンの中でポッドキャスト「All In」を始めたサックス氏は語る。「スタジオにはポッドの全エピソードのポストプロダクションに6時間費やす担当者がおり、私たち全員がマイクとハードウェアを手に入れる必要がありました【略】編成が大変でした」。

Callinは、初めて番組を制作するポッドキャスター志望者の参入障壁を軽減するとともに、ユーザーがアプリ上で作成したコンテンツの所有権を保持できるようにする。録画を開始するには、ユーザーがプライベートまたはパブリックのルームを開くだけで、ゲストを招待して会話に参加させたり、1人で録画したりできる。またライブルームでは、ホストがクラウドを管理しやすくなるよう、オーディエンス参加のためのキューがより簡素化されている。

画像クレジット:Callin

録音後にポッドキャストを編集する場合は、アプリが録音と同じくらいの時間でトランスクリプトを生成する。その後、テキストのブロックをタップするとポッドキャストから切り取ることができる。「um(えーと)」や「uh(うーん)」といったつなぎ言葉も分離可能だ。今のところ、AIが特定したテキストのブロック中の個々の単語やフレーズをカットすることはできないが、アプリの編集システムは引き続き構築されていくとサックス氏は語っている。またCallinは、録音の開始時または終了時に「デッドエア」をカットするプロセスも自動化する。編集が終わると、ホストは録画したものをアプリ上で制作する番組のエピソードとしてアップロードすることができる。ユーザーは自分のオーディオをエクスポートして他のポッドキャストホスト上で共有することも可能で、将来的にはRSSフィード経由でコンテンツをシンジケートできるようになるとサックス氏は述べている。

「ですが、ポッドキャストアプリを介してそのコンテンツを消費することは、Callinでそれを体験することとは異なるでしょう。Callinでは会話が行われたときのルームをインタラクティブに再生できるからです」とサックス氏はいう。「誰が話しているかのアバターを見ることができ、それをクリックしてフォローしたり、プロフィールを閲覧して彼らが他に何に興味を持っているかを見ることができます。それは単なるフラットなオーディオファイルとは異なる体験です」。

画像クレジット:Callin(TechCrunchによるスクリーンショット)

ポッドキャスターたちはまだトランスクリプトを公開できない、つまりほとんどの自動トランスクリプトと同様に100%正確ではない状態ではあるものの、Callinが取り組んでいるこの機能は、Clubhouseに依然として欠けている待望のアクセシビリティを生み出す可能性がある。Clubhouseと同様、Callinはまだライブキャプションをサポートしていない(Twitterスペースはサポートしている)。しかしサックス氏は、ホストがトランスクリプトを共有できるように拡張されれば、ライブキャプションは「ロードマップ上にある」と語る。

「ルームで使えるアプリもあれば、トランスクリプト0を編集できるアプリもありますし、ソーシャル発見やハイライトを行うアプリも存在しますが、これらの要素をすべて1つの体験にまとめたものはありません」とサックス氏。「私たちは、オーディオ番組の制作を考えているすべての人のために、この完全な垂直スタックを作ろうとしています。そのため、その体験のあらゆる側面をイテレートしていくことになるでしょう。ポッドキャスティングスタジオでできることで、私たちのアプリではできないことは何1つないようにしたいのです」。

それでも、App Storeに登場した現在のCallinには、オーディオ録音の品質の編集、効果音や音楽の追加、コンテンツのより正確な編集などを行うツールはない。さらに、iPhoneで録音されたポッドキャストでは、プロが制作した番組や、コンシューマー向けUSBマイクで録音されたホビイストのポッドキャストほどの音質は得られなかった。しかし、ライブオーディオアプリの成功は、リスナーが高品質のポストプロダクションやサウンドデザインを求めているのではなく、単に興味のある話題について話したいと思っていることを示すものだ。Callinとその投資家たちは、人々が事前録音されたClubhouseのルームを聴きたいと思うことに賭けている。

サックス氏は自身のアプリを使って、ソフトウェア企業の創業者向け番組「Sacks on SaaS」や、インターネット上で非常に悩ましい歴史を持つフレーズをタイトルにしたインタビュー番組「Red Pills」などを制作している。アプリ上の他のユーザー作成コンテンツには、NFL、ベルリンのスタートアップ、料理などに関連した番組がある。サックス氏によると、Callinはベータ版の段階で、100を超える番組を創出した「数千人」のユーザーを擁していたという。

コミュニティガイドラインによると、Callinは「人々が発言する場であり、私たちのプラットフォームで発言が制限される場合は常に正当な理由が存在するものとする」。Callinが制限するのは、会場のホストによる制約、AppleやGoogleなどの「基盤となるテクノロジープラットフォーム」による制約、そして「米憲法修正第1条で保護されていない危険な言論」による制約のあるスピーチだけである。

Clubhouseのようなライブオーディオプラットフォームではコンテンツモデレーションが課題となっており、人種差別的で反ユダヤ主義的な発言が報告された後、コンテンツモデレーションの基準の精緻化に苦慮している。Callinのコミュニティガイドラインでは、AppleやGoogleストアからアプリを起動させないユーザー生成コンテンツはすべてCallinがホストすることになっている。最近Parlerが、ソーシャルプラットフォームがコンテンツをモデレートすることを拒否したためにアプリストアから削除された例として注目を集めたが、その後何カ月にもわたって繰り返された末に復活している。

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1200万ドルのシリーズAラウンドで、CallinはAndroid版とウェブ版のアプリをサポートしたいと考えている。最終的にCallinは広告や番組のサブスクリプションを通じて利益を得ることも考えられるが、サックス氏によると、収益化の選択肢を検討する前にまず規模を拡大する計画だという。

「これは、私がこれまで取り組んだ中で最高のプロダクトだと思います」とサックスは語る。「つまり、Yammerよりも優れていますし、PayPalさえも上回ると思います」。

画像クレジット:Callin

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)