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もはや自作ストーブ好きの間では、ちょっとしたブームになっているロケットストーブ。ここでは、そんな多くのDIYerを虜にするストーブの魅力と構造をわかりやすく紹介しよう。

 

Step1 ロケットストーブの基本的な構造を知る

ロケットストーブはアメリカで生まれたストーブで、正式名称は「ロケット・マス・ヒーター」と呼ばれる。このストーブの構造はいたってシンプル。まずはロケットコンロとも呼ばれる簡易型のロケットストーブを例に、その構造を紹介しよう。

ロケットストーブとは、簡単にいうと、ストーブの内部に煙突そのものを組み込んだもの。ヒートライザーと呼ばれるL字の燃焼筒がロケットストーブの大きな特徴だ。この燃焼筒の周囲を断熱することにより、薪を燃やした際、煙突内の空気がすぐに暖められ、内部に上昇気流が発生。焚き口から大量の酸素を引き込み、一気に薪を燃やす(イラスト①)。つまり、長さが短くても引きのいい煙突が焚き口に直接つながっていると考えればいい。この燃焼時に起こる「ゴーッ!」という音がロケットストーブの名前の由来だ。

高温になった燃焼筒の中では二次燃焼が起こり、可燃性ガスが再燃焼。結果、薪のエネルギーを最大限利用し、煙の排出が少ないストーブ、つまり熱効率のいいストーブとなるわけだ(イラスト②)。

簡易型のロケットストーブでは、本体にペール缶や一斗缶、燃焼筒にステンレス煙突が使われることが多い。最近では各地でワークショップが開催されているので、参加してみるのもいいだろう。

ペール缶を2本つなげた小型のロケットストーブ。持ち運び可能なモバイルストーブとなる(東京都・Mさん製作)

 

レンガを積み重ねて作る、より原始的なロケットストーブ。最低16個のレンガで作れることから「16 Brick Stove」とも呼ばれる(編集部製作)

 

一斗缶とステンレス煙突を利用したストーブを製作中の様子。煙突周囲はパーライトで断熱

 

Step2 燃焼部と蓄熱部から成り立つ暖房用ロケットストーブ

暖房用のロケットストーブで注目すべきは、燃焼ユニットと蓄熱ユニットで構成されている点だ。

 

【ロケットストーブと薪ストーブの熱伝導比較】

まず燃焼ユニットだが、基本構造は先に見た簡易型と変わらない。J字の燃焼ユニットは焚き口、バーントンネル、ヒートライザーの3つから構成される。このユニットの周囲を断熱することで、内部に上昇気流を起こし、効率よく薪を燃やすというわけだ。

暖房用ストーブの最大のポイントは、燃焼ユニットから続く蓄熱ユニットにある。燃焼ユニットで発生した高温の煙は、ヒートライザーからの上昇気流に押し出され、蓄熱ユニットへ進む。この進んできた高温のエネルギーを煙道周囲の粘土や石など、保温性のある素材がしっかり吸収。蓄熱ユニットはじんわりと温かいヒートベンチになる。つまり、薪ストーブのように発生した熱を煙突からそのまま逃してしまうのではなく、蓄熱ユニットを通過させることで、無駄なく使うことができるのが暖房用ロケットストーブの最大の特長なのだ。

このようにロケットストーブは、燃焼ユニットから発せられる輻射熱と蓄熱ユニットから発せられる伝導熱という2種類の熱で部屋を暖めてくれる。

なお、使用する薪の量が少なくて済むのもロケットストーブのメリット。作ったロケットストーブの機能にもよるが、通常の薪ストーブの1/3~1/4ともいわれている。また高温で一気に燃やすため、薪の種類を選ばないのも、このストーブの特長といえよう。

 

イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2015年10月時のものです。