もっと詳しく
「空きっ腹に酒」が厳禁な理由とは?
Credit: jp.depositphotos

全ての画像を見る

年末年始にかけて、お酒を飲む機会が増えると思います。

そんな時に気をつけたいのが「空きっ腹に酒」です。

お腹が空いている状態でアルコールを飲むのは良くないと言われますが、それはなぜでしょうか?

ここでは、アルコール吸収の仕組みや、空腹時の飲酒の悪影響について説明していきます。

目次

  • アルコール吸収のメカニズム
  • 「空きっ腹に酒」が厳禁な理由

アルコール吸収のメカニズム

アルコールの吸収と代謝のメカニズムとは
Credit: jp.depositphotos

私たちが普段飲むアルコールは、化学で習ったエタノールやエチルアルコールと同じ液体です。

それはまた、水や血液に溶けやすい分子でもあります。

アルコールの吸収は口の中から始まり、小さな血管が少量のアルコールを吸収します。

胃でもアルコールが吸収されますが、大部分を吸収するのは「小腸」です。

アルコールの9割は小腸で吸収され、そこから血液に取り込まれ、体内の器官に運ばれます。

また、脳や肺のように血液が豊富に供給されている臓器では、アルコールの拡散もより速く行われます。

アルコールの代謝

摂取されたアルコールの約10%は、汗や尿、呼気から排出されます。

お酒を飲んだ後に少し臭うのはこれが原因で、体がアルコールを排出しているのです。

また、お酒を飲むと体全体が温かくなり、汗をかくことがあるのもこのためです。

残りの90%は、肝臓で分解されます。

肝臓に多く存在するアルコールデヒドロゲナーゼ(アルコール脱水素酵素)という酵素が、アルコールを他の化学物質に分解してくれます。

これらはさらに分解され、最終的に二酸化炭素と水が生成され、体外に排泄されます。

加えて、アルコールには利尿作用があるため、腎臓の働きも促進されます。

腎臓は、アルコール代謝の副産物を体外に排泄するべく、より多くの尿を濾過しなければならなくなるのです。

それでは、空腹状態でアルコールを摂取すると何が起きるのでしょうか?

「空きっ腹に酒」が厳禁な理由

アルコールの吸収速度は、性別や年齢、アルコール耐性など、多くの要因に左右されます。

しかし、ほとんどの人に共通するのは、空腹状態でお酒を飲むと、アルコールの吸収速度が早まることです。

血中のアルコール濃度は、空腹時の飲酒から約1時間後にピークを迎え、アルコール度数が20~30%の場合はそれがより顕著になります。

さらに、シャンパンやウイスキーのソーダ割りといった炭酸飲料は、体内へのアルコール吸収率を高めてしまいます。

そして、アルコールの吸収率や速度が上がってしまうと、当然ながら、その効果が大きくなります。

最も目立つのは、判断力や思考力の衰え、体の適切な協調運動の阻害です。

それから、空腹時での飲酒量が増えれば、激しい吐き気や嘔吐、頭痛を引き起こす可能性が高まります。

また、光や音に敏感になり、睡眠が妨げられ、ノドが極端に渇き、頭が正常に働かなくなります。

最終的に、「二日酔い」も通常よりずっと不快で、長続きしやすくなるのです。

「悪酔い」を予防できる飲み方

こうした「悪酔い」を防ぐには、食事と同時か、あるいはお腹がある程度満たされた状態で飲むのがベストです。

特に「炭水化物」を食べると、アルコールの吸収速度は緩やかになります。

これまでの研究で、炭水化物を摂取してからの飲酒は、空腹時と比べて、血中アルコール濃度の上昇が4分の1以下となることが分かっています。

炭水化物は、他の食物に比べてアルコールを吸収しやすいので、血中に溶け込む速度も低下するのです。

もし食べるものがない場合は、アルコールを水やジュースなどのノンアルコール飲料で薄めましょう。

また、ゆっくり少しずつ飲むのも、アルコールの吸収速度を抑えるには効果的です。

体内に吸収されるまでに時間がかかれば、アルコールの悪影響もそれほど強く受けません。

年の瀬は飲酒の機会も増えると思いますが、「空きっ腹に酒」には注意して、良いお年をお過ごしください。

全ての画像を見る

参考文献

Why Shouldn’t You Consume Alcohol On An Empty Stomach?

Why Shouldn’t You Consume Alcohol On An Empty Stomach?