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“市民感覚”の欠落

彼らにはケーキを食べさせておけばいい!バイデンからガソリン代高騰に苦しめられている米国人へ『電気自動車を買えばいい』

保守系ニュースサイト『ブライトバート・ニュース』は23日、バイデン大統領の燃料費高騰をめぐる発言について、かつてフランス革命でギロチンの露と消えたマリー・アントワネット王妃が「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」と言ったとされるのと同じだと、このような見出しで伝えた。

バイデン大統領は23日の記者会見で、「電気自動車を買った何千人もの人たちは、2021年だけで800~1000ドル(約9万1000~約11万4000円)燃料代を節約できることになる」と言ったのだが、同大統領が触れたのは11月初めにデトロイトのGM工場で試運転した時価11万2595ドル(約1280万円)の車のことだったので、マリー・アントワネット王妃と同様に市民感覚が欠けていると皮肉を言ったのだ。

パイプライン建設中止も石油不足に影響か

その上で記事は、今回の石油不足はバイデン大統領自身が招いたことではなかったかと追及する。

バイデン大統領は石油と天然ガス生産のための国有地の使用を全面的に中止し、大統領就任直後から(米大陸を縦断する)キーストーンXLパイプライン建設を中止させた。これで米国の石油の国内生産は大きく減少することになった。

記事にある「国有地の使用」というのは、岩石の中に含まれる石油、シェールオイルを生産するために使用されていた土地のことで、バイデン政権は自然保護の観点から石油生産のためのフラッキングと呼ばれる岩石破壊を全面的に禁止した。その結果、米国は再びエネルギー供給を外国に頼らざるを得なくなり、ガソリン価格の高騰があり得るとされていた。

またキーストーンXLパイプラインは、カナダ産の原油を米国南部まで配送するもので、供給の安定と運送費の削減に貢献すると考えられていたが、これもバイデン政権の環境対策から建設途中で閉鎖され、米国の石油供給体制を揺るがすことになった。

石油備蓄の放出は「大海のひとしずく」

こうした問題を抱えながら、新型コロナウイルス問題でエネルギーの需給が切迫すると、原油産出国との価格交渉になったわけだが、中東の産油国やロシアに足元を見られた形で増産を拒否された。

そこで、米国は日本などを誘って石油備蓄の放出を行うことになったが、量的に見ても「大海のひとしずく」(ゴールドマン・サックス社の評価)に過ぎず、市場の落胆を反映するように先物の原油価格が上昇することになり問題解決には程遠いようだ。

元はと言えば、バイデン政権の見通しの誤りから始まった今回の石油不足なので、日本も“現代のマリー・アントワネット”と付き合うのは、ほどほどにしておいた方がよいのでは?

【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【表紙デザイン:さいとうひさし】