英語、理科、算数に加えて「体育」も
2022年度から段階的に進められる予定の「教科担任制」。
小学校高学年の英語、理科、算数に体育を加えた4教科を優先的に対象教科として導入することが、7月21日の文部科学省の有識者会議で報告書案がまとまった。
小学校の先生と言えば、これまでクラスの担任が全ての教科を教える「学級担任制」が多かった。しかし、5・6年生となると、学習内容が難しく専門性も求められる。そこで、授業の質を上げるとともに、小学校から中学校への学びを円滑につなげることや、教師の負担を減らすことなどを目的として、「教科担任制」の導入が議論されてきた。
英語、理科、算数については、すでに2022年度から導入することが提案されていたが、今回、体育についても「体格差が出ることなどから、個々の能力に適した指導を安全・安心を確保しながら行う必要がある」として、高い専門性を求め、教科担任制の対象に追加された。
昨今、定年後に再任用される60代の現役教師が増えていて、その体力面を考慮した結果とも言える。
教師の負担軽減と教育活動の充実
多忙を極めるとされる教師たち。”専門の先生”を導入すること、担任の持ちコマ数を減らし、授業の準備にかかる時間を効率化することもできるだろう。その結果、時間外勤務が縮小されれば、教科指導の質の向上につながる可能性もある。
その一方で、”専門の先生”が配置される4教科も含めて、全ての小学校教師が広く理解し、これまで横断的に行われてきたカリキュラムやマネジメントの利点が損なわれる恐れもある。今後、教師には広い視野を持った指導力が求められることになるだろう。
アスリートを体育教師に?教員免許制度の見直しも
文科省は、2022年度の概算要求でこれらの態勢に必要な経費を盛り込む方針だ。
人材確保については、正規の教員養成課程を終えていなくても、オリンピックへの出場経験など実績があるアスリートを体育教師に迎え入れるよう支援する他、特例として教員資格を認める「特別免許」制度の活用を各教育委員会に促すことなどが検討されている。
それと同時に教員免許制度の見直しも進められていて、今回の報告案では、教師の負担軽減を図る中で、義務教育9年間を見通した指導体制を検討し、小・中学校が相互に連携し、児童・生徒の能力を育成できるよう取り組むことなどが盛り込まれた。
確かに「小中連携」は「中1ギャップ」の解消に一役買う可能性もある。
また会議では、4教科に限らず、今後対象教科を広げる可能性も言及された。
「学び」をより面白く魅力的に感じることで、児童の授業に対する姿勢やモチベーションが一層上がることに期待したい。
(フジテレビ社会部 文科省担当 川田梨江子)