働く人に役立つプラスαな考え方に注目する「αism」。
言葉にしなくても伝わるビジネスに効くアートの力とは。
20年ぶりに日本で開催されている、KAWSの展覧会。
身近なキャラクターにインスピレーションを受けた作品が並んでいる。
KAWS ブライアン・ドネリー氏「私が若いときに感じていたことの1つが、ギャラリーに入るときの居心地の悪い緊張感です。私が制作している作品は、そうした緊張感を取り除き、オープンに人をいざなうものであればいいなと思っている」
一目でKAWS作品だとわかる印象的なX印の目。
カラフルな色使いで、若者を中心に多くの世代を引きつけている。
このKAWSに見るビジネスとアートの関係とは。
「メッセージを与えかけているようでいて、それについては自ら説明しないところは非常にクール」と語るのは、αのコメンテーターでマーケティングや消費者行動などを研究している、一橋大学ビジネススクールの鈴木智子准教授。
鈴木准教授「かつてファインアートは崇高なものと捉えられ、商業的なものと同一視すべきではないと言われていたが、彼はそういったものの区別を取り除いている。その1つがさまざまな企業とのコラボレーションである」
KAWSを世に知らしめ、特に若い世代の人気を得るきっかけにもなったのが、さまざまなブランドとのコラボレーション。
鈴木准教授「見たときに“なんとなくカッコイイ”、“なんとなくオシャレ”だと。カウズの作品は若い人たちにとって非常にクールなものとし映っている」
また、世界の名だたるブランドともコラボレーションしている。
鈴木准教授「ラグジュアリーブランドは歴史や伝統といった非常に貴重な価値を持っているが、そうしたものは、クールさやモダンな側面とは相反する一面も持っている。現代アーティストとコラボレーションすることによって、活気を付与することによって、カウズから感じるようなクールさといった印象が吹き込まれる。通常の洗練さといったイメージに全く関心がなかった若い人たちをブランドに引きつけることに成功している」
最新のブランド研究では、このクールさというのが非常に重要であることがわかってきているという。
鈴木准教授「ブランドがクールであると認められると、非常に人気が出たりするし、例えばスタートアップ企業などでも、クールなブランドだと認知されると、成功する可能性が高くなると言われている。実証研究からは、例えば、消費者の満足度や、その商品を欲しいという意欲、あるいはその商品についてほかの人に話したいと思うこと、さらには商品についてお金を払いたいと思う、こういった行動にも影響を与える」
さまざまなコラボを行うことで、それぞれの価値を高めてきたKAWS。
今回は、誰もが目にしたことがある、あの東京銘菓ともコラボレーションしている。
鈴木准教授「必ずしもカウズに興味がない人もお土産でもらうことで、作品に触れる機会となる。カウズはアートは決して特別なものではなく、それを手に取って見たときに生まれるコミュニケーションを大事にしてほしいといっている。すごく会話が弾むと思うので。こうしたアートを楽しんでもらいたいというのがカウズの狙いなんじゃないか」