「廃校の体育館から金メダルへ」
東京オリンピック体操 男子個人総合、19歳で頂点に立った橋本大輝選手。金メダルへのストーリーは、廃校となっている小学校の体育館から始まった。
ニッポン体操界の若きエースが起こした大逆転。7月28日行われた体操 男子個人総合の決勝で橋本大輝選手が見事金メダルを獲得した。
その原点となったのは千葉県にある旧香取市立 澤小学校の体育館。
小澤陽子アナウンサー:
こちらの建物が昨日金メダルを獲得した橋本大輝選手が子供のころに練習していた体育館です。さっそくお邪魔したいと思います。
廃校となっている体育館の中には、つり輪、平行棒、あん馬などズラリと体操用具が並んでいる。金メダルへの道はここからスタートした。
恩師が語るジュニア時代の橋本選手
6歳でこの「佐原ジュニア体操クラブ」に入った橋本選手。ジュニア時代の橋本選手を指導していた山岸信行先生は、当時から体操に貪欲に向き合う姿を見ていた。山岸先生は当時の橋本選手をこう振り返る…
佐原ジュニア体操クラブ・山岸信行先生:
1位になってる子が鉄棒で2回宙返りをやってきて、本人(橋本選手)はただの伸身宙返りで降りて2番だったから、その日のうちに2回宙返りを覚えて帰りましたね…
山岸先生は、自らそろえた用具の中から橋本選手がよく使ってた道具を教えてくれた。
佐原ジュニア体操クラブ・山岸信行先生:
(橋本選手)これはよくやっていた。うちのジムはこれをやらせるようにしている。基礎中の基礎。だから技術を習うときの基礎です。
回転やジャンプで「脳が揺れる状態」に慣れさせるため導入しているという小型のトランポリン(跳躍練習台)。今回の橋本選手の演技につながる部分があったと言う。
佐原ジュニア体操クラブ・山岸信行先生:
2分の1とか1回半ひねりをやる時のもっていき方は、私の好み通りのひねりをやっているなと思いました。
中学時代はケガなどで結果が出なかった橋本選手は、高校に進学すると急成長。高校3年生の2019年、ドイツで行われた世界選手権に日本代表として初出場。
しかしここで普段はしないようなミスを連発。人目もはばからず涙を流したのだ。
4位から金メダルへの大逆転劇
その涙から2年。28日午後7時から始まった東京オリンピック・体操 男子個人総合。橋本選手は4種目目の跳馬を終了した時点で4位。
しかし逆転劇は5種目目の平行棒から始まった。フィニッシュをF難度の技でピタリと着地を決め、実況アナウンサーも「きたー!ここぞできました!橋本大輝 素晴らしい着地!」とうなる演技を見せた。
この平行棒で15.300の高得点をマークし、この時点でトップと0.5点差の3位に浮上した。
金メダルをかけて挑んだ最終種目の鉄棒。完璧な演技を見せ最後のフィニッシュへ…
実況アナウンサー:
逆転での金メダルへ向け、新王者誕生へ!
着地は少し乱れたものの演技をほぼノーミスで終えると、勝利を確信したように両手をポンと叩いた。そして得点の発表…
__解説者:
やったー!__
実況アナウンサー:
出ました!14.933!橋本大輝 個人総合 金メダル!
最後の大逆転で金メダルを獲得。メダルセレモニーでは、感染防止のため受け取った金メダルを自らの首にかけた。
橋本大輝選手(19):
まだまだ未熟なエースなんですけれども、これからは代表というか任せられるようなエースになれるよう頑張りたいと思っています。
愛弟子・橋本大輝選手の快挙に恩師の山岸先生は、喜びをこう表した。
佐原ジュニア体操クラブ・山岸信行先生:
大きく輝いたね…
佐原ジュニア体操クラブ・山岸信行先生:
まあでも良かったですよ…
(イット! 7月29日放送より)