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もはや自作ストーブ好きの間では、ちょっとしたブームになっているロケットストーブ。今回は、そんな多くのDIYerを虜にするストーブの魅力やつき合い方を紹介しよう。

 

Step5 ロケットストーブの着火と消火の方法

ロケットストーブの着火はじつに簡単。焚き火や薪ストーブのように、小さな薪から火を起こし、火が安定したら大きな薪を燃やしていく、という手順は一緒だが、その難易度はまったく別物。スターターとなる小さな薪に火種を起こせば、ヒートライザーからの強烈な引きで一気に燃え上がっていく。手順はこうだ。

まずストーブ各部のダンパーを全開にし、焚き口に小枝や建築端材などの細めの薪を詰める。注意するのはこの段階では薪を詰めすぎないこと。薪を詰めすぎると空気の供給が制限され、火が起こりづらくなってしまうからだ。着火に新聞紙などを使う人もいるが、煙突の引きによって、煙道に灰が詰まってしまうこともある。バーナーを使って着火するのがいいだろう。スターターの薪に火がついたら、炎が煙道に吸い込まれていくように燃えてくるはずだ。もちろん焚き口から煙は一切出ない。こうなったら焚き口に薪を密に詰めたり、太い薪を入れていけばOK。

 

【超簡単!ロケットストーブの点火手順】*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます




なお、ロケットストーブの消火だが、薪ストーブと同じく、薪が燃え尽きるまでそのまま置いておくのが基本だ。とはいえ、緊急時は自分で消火する想定もしておくこと。消火の基本は燃焼の原因となる空気の流入を遮断すること。これは一例だが、各部のダンパーを完全に締め、焚き口に砂を詰めれば、内部の火を消すことができる。

 

Step6 燃焼ユニットの熱でストーブ料理を楽しむ

簡易型ロケットストーブ同様、暖房用のロケットストーブでも調理を楽しむことが可能。方法は簡単。燃焼ユニット上部、ヒートライザーからの熱を一番受ける天板部分を利用すればいい。ストーブに着火してしばらくすると天板が暖まってくるので、焼き網を置けば、トーストや焼きもち、お湯を沸かしてコーヒーを淹れる、なんてことは朝メシ前だ。

トーストぐらいなら簡単に焼けちゃいます

 

もうちょっとこだわった料理を楽しみたいという人は、天板の中央を取り外せるように改良してもいい。こうするとヒートライザーから上がってくる直火を利用できるので、調理できるメニューのバリエーションはグッと広がる。また中華鍋などを利用し、天板を覆うことでミニオーブンにすることも可能。ピザを焼くことだってできちゃうのだ。レッツ、ロケットストーブクッキング!

ストーブ天板の中央を取り外せるようにすると、直火が使えるようになるのでかなり便利

 

中華鍋を改造したフタで、天板を使ったミニオーブンも可能

 

ストーブの直火でフライパン調理もOK

 

Step7 煙突や燃焼ユニットのメンテナンスを怠らない

「ロケットストーブはススが出ない」「ロケットストーブは掃除が不要」なんて話を耳にすることもあるが、そんな高性能のロケットストーブを自作できる人はまれ。ほかのストーブと同じように定期的にメンテナンスすることを心がけよう。

まず煙突と蓄熱ユニットの煙道。シーズン中は常に点検口からススや汚れのつき具合をチェックし、問題があればすぐに掃除するといい。1シーズンに1回は組み立てた煙突を取り外し、オーバーホールして、煙突の状態をチェックするユーザーも多い。

煙突掃除用ブラシ。市販の煙突の径に合わせたものが販売されている

 

バラせるパーツはすべて取り外して、きれいに煙突内を掃除しよう

 

直筒も1本1本取り外しておくと掃除しやすい

 

また常に激しい高温にさらされる燃焼ユニットの点検も必須。耐久性に問題が生じたら、すぐにパーツを取り換えられるようにしておこう。頑丈な鋳物の薪ストーブと比べて、ロケットストーブの耐久性はそこまで高くない。常にストーブの状態を把握しておくのは、ロケットストーブユーザーの基本と心得よう。これらの作業が面倒と思うようであれば、ストーブ導入はやめておいたほうが賢明だ。

 

Step8 ストーブのデメリットとうまくつき合っていく

ここまでロケットストーブのメリットばかり紹介してきたが、もちろんいいところばかりではない。実はこのストーブ、意外と手がかかる。その中でも多くのユーザーが声を上げるのが「薪をくべるのが忙しい」という点。その圧倒的な燃焼効率の良さから細い薪はすぐに燃え尽きてしまうので、とにかく薪の投入が忙しい。加えて、焚き口が上方向に向いているロケットストーブは薪を縦にしか入れられず、また投入できる量も少ない。薪ストーブのように、薪をドンと入れて放っておく、ということができないのだ。早くて10分、長くても40分に1回は薪の様子を見てやらねばならない。そのため、焚き口を改良し、大きな薪を横にして突っ込めるようにして、薪の投入時間の間隔を延ばしているユーザーもいる。

通常のロケットストーブの焚き口。薪を立てて入れるようになっている

 

薪を横にして、奥に突っ込めるようにした焚き口。これで薪の投入時間の間隔が長くなる

 

また燃やしたエネルギーを蓄熱ユニットにため込むので、最終的な煙突からの排気温度は30~40℃とかなり低い。結果、壁から出した屋外の煙突内部には結露が起こり、もれなく木酢液(煙が液化した酸性の液体)が垂れてくる。とはいえ、木酢液は集めておけば、土壌改良に使うことができる。燃やした灰と合わせて家庭菜園に使えば一石二鳥だ。

煙突から集められた木酢液。デメリットも捉え方によってはメリットになる

 

このようにロケットストーブは完全無欠の理想のストーブ、というわけではない。自分の作ったストーブをよく観察し、長くつき合っていくのも楽しみのひとつだ。

 

*掲載データは2015年10月時のものです。