今年もまたたく間に、終わりが来てしまいました。
新型コロナの収束が見えない中で、私たちの生活も大きく変わりましたが、人間の活動の変化は自然界にも影響を与えています。
また、気候変動や環境変化も含め、未知の生態を示した動物がたくさんいました。
そこで今回は、2021年にお届けした記事の中で「最も驚いた動物ニュース」ベスト5を発表していきます。
目次
- 2021年の動物ニュースBEST5!
2021年の動物ニュースBEST5!
第5位 ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見!
自然界には奇妙な生態をもつ生き物がたくさんいますが、今年、胴体から頭を自切してしまうウミウシが発見されました。
この新行動は、奈良女子大学大学院の三藤清香(みとうさやか)氏により発見され、「コノハミドリガイ」と「クロミドリガイ」の2種で確認されています。
三藤氏によると、ラボ内で飼育していたウミウシがある日、頭と胴体を完全に切り離していたとのこと。
しかも、切断された頭は活発に動き、エサを食べて、その後、新たな胴体を再生させたのです。
これはおそらく、敵からの逃亡ではなく、胴体に寄生して産卵行動を妨げている微小生物の排除を目的としているとのこと。
観察の結果、切断部の傷口は数日以内にふさがり、約1週間で胴体の再生がスタート、3週間ほどでほぼ完全な胴体を取り戻しています。
一方で、年老いた個体では、自切された頭部がエサを食べれず、10日以内に死んでしまうようです。
第4位 海底ケーブルが「カニを誘惑している」と明らかに
環境にやさしい自然エネルギーの活用が注目される中、洋上風力発電が、海底に住むカニに悪影響を与えていることが今年明らかになりました。
英ヘリオット・ワット大学によると、海底に敷設された電力ケーブルが、ヨーロッパイチョウガニを「魅了」し、引きつけていたのです。
ケーブルから放たれる電磁気がカニをジッと静止させ、移動や繁殖を妨害していたという。
実験では、電磁気が500マイクロテスラ以上(冷蔵庫のドアにくっつく磁石の5%ほどの強さ)になると、カニは誘引されて、動かなくなりました。
「動かない」ということは、エサを探したり、交配相手を探したりしなくなるということです。
さらに、強度を500〜1000マイクロテスラに設定すると、カニの概日リズムが乱れ、総血球数が変化しました。
血液細胞の変化により、カニは感染症にかかりやすくなると予想されています。
第3位 史上初、コンドルの「処女懐胎」を確認
パートナーとの交配なしに繁殖する単為生殖、いわゆる「処女懐胎」は、いくつかの動物で確認されています。
鳥類では、ニワトリや七面鳥といった飼い鳥でのみ記録されていました。
しかし今年、史上初となるカリフォルニアコンドルの「処女懐胎」が、アメリカ・サンディエゴ動物園で確認されたのです。
同動物園は、過去30年にわたり、1000羽以上のカリフォルニアコンドルのDNAを収集し、情報をデータベース化して、追跡調査を続けてきました。
そして今年、データベースを調べたところ、メス親の遺伝情報としか一致しないオスが2羽いると判明したのです。
この2羽はそれぞれ別の母親から生まれた個体で、父親のDNAは一切含まれていませんでした。
記念すべき発見ではありますが、残念ながら今回の発見は、過去に保存されていたDNAデータから判明したもので、2羽のオスは数年前にすでに死んでいるとのことです。
第2位 ネコは「自分の名前」も「飼い主の声」も分かっていて無視している
ネコの飼い主であれば経験があると思いますが、愛猫の名前を呼んでも反応しないことが多々あります。
これは、ネコが飼い主の声や自分の名前が分かっていないからではありません。
東京大学大学院総合文化研究科に所属していた齋藤 慈子(さいとう あつこ)氏は、2013年にネコが飼い主の声を聞き分けられるか調査。
飼育されている合計20匹のイエネコを対象に、名前を呼ぶ飼い主と面識のない人の声にどう反応するかを実験しました。
すると、多くのネコは名前を呼ばれても、頭や耳を微妙に動かす程度しか反応しませんでした。
加えて、2019年の研究では、ネコは飼い主の声も、自分が呼ばれていることもしっかりと判別できることが分かっています。
それなのに、イヌのように飼い主の声に反応して、走ってくることはほとんどありませんでした。
ネコはすべて分かった上で、あえて飼い主の呼び声を無視しているのです。
第1位 「野生のチンパンジーがゴリラを殺害」世界初の報告がされる
第1位は、衝撃的なこちらのニュース。
中央アフリカ・ガボン共和国にある自然公園で、チンパンジーによる野生ゴリラの襲撃が、世界で初めて確認されました。
事件が起きたのは、同国西部にあるロアンゴ国立公園。
ここでは長年、ゴリラとチンパンジーが平和的に共存しており、争いが報告されたこともありませんでした。
研究員によると、両者が同じエサ場の中で平和的に交流する様子や、たわむれて遊んでいるシーンも定期的に目撃されていたとのこと。
ところが2019年に、チンパンジーの群れがゴリラのグループを威嚇し、襲撃する事件が発生しました。
襲撃は2度にわたり、お互いが遭遇していた分数は1度目が52分、2度目が79分でした。
その中で、成熟したオスとメスのゴリラ数頭は逃げ切りましたが、2頭の子どもがチンパンジーにより殺害されたとのことです。
襲撃の原因が、食料をめぐる争いにあるのか、気候変動にともなう熱帯雨林の減少にあるのかは分からないとのこと。
なにかチンパンジーに異変が起き始めているのかもしれません。
参考文献
https://nazology.net/archives/category/science/biology/animals_plants