【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】
文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第16回となる今回は?
第16話
ぺんてる
エナージェル ブラックカラーズコレクション
300円(1本・税別)、1800円(6色セット・税別)
全世界累計販売本数10億本を超えるボールペンの限定商品。王道のブラックに加え、オリーブブラックやボルドーブラックなどほのかに表情の異なる黒系インクを5色、全6色を揃える。極限までシンプルさを追求したボディデザインで、シーンを問わず使いやすい。
“偉大なペン”の遺伝子が息づく絶妙なリモデル
黒々くっきりとしたインクと滑らかな書き心地、速乾性で、日本のゲルインキボールペンの保守本流ともいえるのが、ぺんてるの「エナージェル」。ここ1〜2年のボールペン界で起こったデザイン面でのモードチェンジには少々立ち後れ、いまとなってはやや野暮ったいルックスではあるものの、それもある種の安心感であり、さらに定期的に透明軸やパターン柄、カラーモデルなどを投入することで、現役感をキープし続けています。
そしてこうした動きの決定打となり得るのが、2021年10月に発売された20周年限定の「エナージェル ブラックカラーズコレクション」。すべてのパーツをマットブラックで統一し、さらに黒インクのバリエーション違いを6色も用意したという、徹底的な「黒推しモデル」。こうしたインクの遊びはサクラクレパスの「ボールサインiD」でも見られましたが、こちらはルックスも黒一色に染めたことでさらにそれが押し進められた印象。何より近年のモードであるシンプルなシルエット重視に生まれ変わったため、歴代エナージェルのなかでも最もスタイリッシュなモデルとなりました。それでいてエナージェルらしさも失っていないあたり、絶妙なチューニングといえるでしょう。
ぺんてるがこれを新製品ではなく、エース格の製品で実現させた意味。それはいかにエナージェルが大きな意味を持つプロダクトなのかという証拠であり、実際それだけの価値があるのです。エナージェルという偉大なペンは。
【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー
【第1話~第14話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第15話】ボールペンの書き心地は重心バランスがカギ! 三菱鉛筆「ユニボール ワン F」は驚異的なしっくり感を備える
https://getnavi.jp/stationery/674444/