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人種差別は脳の健康に悪影響を及ぼすかもしれない
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人種差別は世界的な問題の1つですが、それが健康に与える影響はあまり知られていません。

しかし最近、アメリカ・エモリー大学(Emory University)に所属する臨床神経心理学者のネガール・ファニ氏ら研究チームは、人種差別が脳に虐待や暴行を超える悪影響を及ぼしていると発表しました。

生涯を通して人種差別を経験してきた人は、脅威に対して脳が強く反応し、精神的・身体的健康リスクが高まるおそれがあるのです。

研究の詳細は、7月28日付の学術誌『JAMA Psychiatry』に掲載されました。

目次

  • 健康格差の原因の1つは人種差別かもしれない
  • 人種差別を経験してきた脳は、脅威に対してより強く反応する

健康格差の原因の1つは人種差別かもしれない

人種差別によるストレスは健康格差を生んでいるかもしれない
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ある報告によると、黒人は白人に比べて、脳卒中、認知機能低下、アルツハイマー病などの神経変性疾患のリスクが高いようです。

もちろんさまざまな要因が関係していますが、ストレスによる影響は無視できません。

世界的な社会問題である「人種差別」は当人に強いストレスを与え続けるため、この分野も考慮すべきでしょう。

しかし、人種差別と健康の関連性を扱った研究はほとんどありません。

そこでチームは、人種差別が脳機能や健康に与える影響を調査することにしました。

対象となったのは、アフリカ系アメリカ人(黒人)の女性55人です。

彼女たちは、「幼少期の虐待」「身体的・性的暴行」または「人種差別による不当な扱い」のどれかを経験してきた人々です。

実験では、彼女たちにストレスを感じる映像を見てもらいながら、注意力を必要とする課題に取り組んでもらいました。

そしてチームはその間、彼女たちの脳活動をfMRIで観察しました。

人種差別を経験してきた脳は、脅威に対してより強く反応する

人種差別されてきた人の脳は、脅威に対して強く反応してしまう
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調査の結果、「頻繁に人種差別されてきた」と答えた女性の脳は、脅威に対してより強く反応すると分かりました。

映像によって脅威を感じたとき、警戒心や注意力に関連する脳領域が非常に強く活性化したのです。

しかも、その反応の強さは、幼少期の虐待や身体的・性的暴行を受けた人々と比べても大きいものでした。

他の研究によると、脅威に対する継続的な反応は、精神疾患と将来の脳トラブルのリスクを高めると言われています。

つまり人種差別の脅威に定期的にさらされるなら、脳の健康状態が悪化するおそれがあるのです。

とはいえ、今回の研究結果では不明瞭な部分も多く、追加調査が必要でしょう

人種差別されてきた人の脳が人生におけるどの段階で警戒心を高めるのか、理解する必要もあります。

チームは今後も、人種差別と健康の関連性についての研究を続ける予定です。

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参考文献

Brain scans of Black women who experience racism show trauma-like effects, putting them at higher risk for future health problems

Brain scans of Black women who experience racism show trauma-like effects, putting them at higher risk for future health problems

元論文

Association of Racial Discrimination With Neural Response to Threat in Black Women in the US Exposed to Trauma
https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/article-abstract/2782454