パンデミック中に生まれた赤ちゃんは母親の感染有無に関係なく神経発達が低下する

パンデミック中に生まれた赤ちゃんは運動技能の低下が見られる
Credit:canva

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コロナウイルスのパンデミックが妊婦に与えるストレスは、この期間中に生まれた赤ちゃんの成長にも影響を与える可能性があるようです。

米コロンビア大学(Columbia University)の新しい研究は、最初のコロナウイルスの波がニューヨーク市を襲った2020年の始め以降に生まれた乳児は、それ以前に生まれた乳児に比べて発達スクリーニングテストのスコアが低いと報告しています。

これは母親のCOVID-19感染の有無には関係なく、パンデミック中に生まれた赤ちゃんに広く見られる傾向だといいます。

研究の詳細は、2022年1月4日付で科学雑誌『 JAMA Pediatrics』に掲載されています。

 

目次 妊娠中にコロナ感染しても、子どもに影響はない?妊婦のストレスが子どもの発達に影響する 妊娠中にコロナ感染しても、子どもに影響はない? 今回の研…

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参考文献

Babies Born During COVID-19 Pandemic Score Lower on a Developmental Screening Test
https://scitechdaily.com/babies-born-during-covid-19-pandemic-score-lower-on-a-developmental-screening-test/

元論文

Association of Birth During the COVID-19 Pandemic With Neurodevelopmental Status at 6 Months in Infants With and Without In Utero Exposure to Maternal SARS-CoV-2 Infection
https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2787479

社会不安な人ほど「実はキョロキョロしない」ことが明らかに

社会不安な人ほど、キョロキョロしない?
Credit: jp.depositphotos

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初対面の人との会話は、多かれ少なかれ、誰しも緊張すると思います。

こうした不安をあおる社会状況に置かれると、なんとなく視線がキョロキョロしてしまいそうです。

しかし、ボーンマス大学(Bournemouth University・英)の新たな研究によると、不安状況なる人はむしろ、視線の動きがほぼなくなることを実験で示されました。

一体なぜでしょうか?

研究は、10月25日付けで学術誌『PLOS One』に掲載されています。

目次 社会不安を抱きやすい人ほど、実はキョロキョロしない? 社会不安を抱きやすい人ほど、実はキョロキョロしない? 本研究では、イギリスの大学に通う学…

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参考文献

Eye-tracking study suggests that people with social anxiety not only avoid looking at strangers but also their surroundings
https://www.psypost.org/2021/12/eye-tracking-study-suggests-that-people-with-social-anxiety-not-only-avoid-looking-at-strangers-but-also-their-surroundings-62281

元論文

Adults with higher social anxiety show avoidant gaze behaviour in a real-world social setting: A mobile eye tracking study
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0259007

水を与えず、高塩分で育てる「拷問果樹園」の実態

拷問果樹園
Credit:Pat J. Brown(UC)_The ‘Torture Orchard’ Is a Testing Ground for the Coming Climate Crisis(2021)

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2021年は、アメリカ・カリフォルニア州の農家にとって厳しい年でした。

州の90%近くの地域が極度の干ばつに見舞われたのです。

では、このような気候変動にどのように対処すべきでしょうか?

カリフォルニア大学デービス校(UC)ウォルフスキル実験果樹園では、干ばつに耐える植物を生み出すために過酷な実験が行われています。

いくつかの品種に対して、あえて水を与えなかったり、塩分を含む土壌で栽培したりして、生命力の強い品種を探そうとしているのです。

目次 干ばつ対策のため過酷な実験が行われるピスタチオの木が拷問果樹園での断水実験を生き残る拷問を受けた植物たちには後遺症が残っていた 干ばつ対策のた…

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参考文献

The ‘Torture Orchard’ Is a Testing Ground for the Coming Climate Crisis
https://www.atlasobscura.com/articles/breeding-trees-for-climate-change
Torture orchard: Can science transform California crops to cope with drought?
https://caes.ucdavis.edu/news/torture-orchard-can-science-transform-california-crops-cope-drought

「愛のない抱擁」より「セルフタッチ」の方がストレスを低下させると判明

自分を抱きしめるとストレスレベルが下がると判明
Credit:Depositphotos

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愛する人との抱擁がストレスを低下させることはよく知られています。

実際、辛いときに抱きしめられると落ち着くはずです。

そして最近、ドイツ・ゲーテ大学フランクフルト校(Goethe University Frankfurt)心理学研究所に所属するアルジョシャ・ドライソーナー氏ら研究チームは、愛する人がいなくても、ボディタッチによってストレスを低下させられると発表しました。

「見知らぬ人との抱擁」や、自分で体を触って慰める「セルフタッチ」がストレスホルモン「コルチゾール」のレベルを低下させたのです。

研究の詳細は、10月8日付の学術誌『Comprehensive Psychoneuroendocrinology』に掲載されました。

目次 ボディタッチはストレスを低下させる「セルフタッチ」と「見知らぬ人との抱擁」がストレスを低下させてくれるストレスを感じたときは両手で自分を抱きし…

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参考文献

Receiving a hug or engaging in self-soothing touch reduces cortisol levels following a stressful experience
https://www.psypost.org/2021/11/receiving-a-hug-or-engaging-in-self-soothing-touch-reduces-cortisol-levels-following-a-stressful-experience-62168

元論文

Self-soothing touch and being hugged reduce cortisol responses to stress: A randomized controlled trial on stress, physical touch, and social identity
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2666497621000655#!

リスカなど自傷行為の根底にある脳のメカニズムを解明!

リスカなど自傷行為の根底にある脳のメカニズムを解明!
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

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自傷行為と脳の関係が解き明かされました。

米国のミネソタ大学で行われた研究によれば、リストカットなどの自傷行為をしている少女たちの脳を調べたところ、恐怖を感じる脳領域(偏桃体)の活動量が変化し、理性にかかわる脳領域(前頭前野内側)との接続性が低下していた、とのこと。

さらに重度の自傷行為を行っている少女たちは、ストレスを感じてもストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が鈍くなっていました。

どうやら重度の自傷行為の裏には、脳の接続不良やホルモンの分泌不足など、神経系の物理的な異常が潜んでいるようです。

研究内容の詳細は『Development and Psychopathology』で公開されています。

目次 リスカなどの自傷行為の根底にある脳のメカニズムを解明!自傷によって脳の接続が失われ「恐怖」が壊れる「逃げ」のリスカが自傷中毒を引き起こす リス…

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参考文献

New study sheds light on the neurobiological mechanisms underlying non-suicidal self-injury
https://www.psypost.org/2021/11/new-study-sheds-light-on-the-neurobiological-mechanisms-underlying-non-suicidal-self-injury-62170
The Self-Harming Brain New research looks at the neurobiology of self-harm in teens.
https://www.psychologytoday.com/us/blog/domestic-intelligence/202001/the-self-harming-brain

元論文

Multimodal assessment of sustained threat in adolescents with nonsuicidal self-injury
https://www.cambridge.org/core/journals/development-and-psychopathology/article/multimodal-assessment-of-sustained-threat-in-adolescents-with-nonsuicidal-selfinjury/698AD1E73B8E0061BA9C48156F63AA40
Incidence, clinical management, and mortality risk following self harm among children and adolescents: cohort study in primary care
https://www.bmj.com/content/359/bmj.j4351

アホウドリの夫婦は海水温が高い年に「離婚率が急上昇する」と判明

アホウドリの夫婦に「温暖化離婚」が増加中?
Credit: F. VENTURA(sciencenews) – Albatrosses divorce more often when ocean waters warm(2021)

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鳥類の90%以上は一夫一婦で、ほとんどが生涯パートナーに忠実であると言われています。

中でも貞節さにおいて信頼できるのが、アホウドリです。

アホウドリのカップルは毎年同じ相手と交尾し、めったに別れることはありません。

しかし、このほど発表された最新研究により、これまで知られていなかった驚くべき離婚原因が判明しました。

フォークランド諸島に生息するマユグロアホウドリ(学名:Thalassarche melanophris)は、海面温度が高くなった年に離婚率が急上昇していたのです。

これは、近年の温暖化がアホウドリの夫婦仲を悪化させていることを示唆します。

研究は、リスボン大学(ULisboa・ポルトガル)、モンタナ大学(University of Montana・米)らが中心となり、11月24日付けで学術誌『Proceedings of the Royal Society B』に掲載されました。

目次 アホウドリの世界で「温暖化離婚」が増加中 アホウドリの世界で「温暖化離婚」が増加中 アホウドリは海洋に生息し、飛行できる鳥類の中では最大級の鳥…

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参考文献

Albatross divorce rates found to climb during times of warm sea surface temperature
https://phys.org/news/2021-11-albatross-divorce-climb-sea-surface.html
Albatrosses divorce more often when ocean waters warm
https://www.sciencenews.org/article/albatross-bird-divorce-ocean-warm-breeding-climate

元論文

Environmental variability directly affects the prevalence of divorce in monogamous albatrosses
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2021.2112

自動化対象の職種、失業リスクに加えて病気や死亡率も高いという調査

仕事の自動化が進むと、新たに仕事が増えたり、これまでの仕事が減ったりすると言われている。世界経済フォーラム(WEF)のデータによると、2025年までに9700万件の雇用を創出する一方、8500万件の雇用が喪失するという。 […]

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マウスの「うつ状態を20分で治す点鼻薬」が開発される

わずか20分でマウスの「うつ状態」を治す点鼻薬が開発!
Credit:JoVE

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未来の抗うつ薬は点鼻薬が主力かもしれません。

日本の東京理科大で行われた研究によれば、改良された抗うつ剤を点鼻薬でマウスに投与したところ、うつ状態がわずか20分で解消された可能性がある、とのこと。

研究で用いられた抗うつ薬は本来、脳内に直接投与するタイプのものでしたが、改良によって鼻粘膜への投与でも同じ効果を得られるようになったようです。

研究内容の詳細は『Journal of Controlled Release』に掲載されています。

目次 鼻から脳へ届く点鼻薬型の抗うつ薬を開発水責めでマウスを強制的に「うつ状態」にする難治性うつ病が20分で治る未来が来るかもしれない 鼻から脳へ届…

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参考文献

On the Nose: Scientists Optimize Intranasal Anti-Depressant Drug Delivery to the Brain
https://www.tus.ac.jp/en/mediarelations/archive/20211111_8305.html

元論文

Usefulness of cell-penetrating peptides and penetration accelerating sequence for nose-to-brain delivery of glucagon-like peptide-2
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0168365921002947?via%3Dihub

「母から十分な教育を受けたイヌ」はストレスに強くなることが判明

母イヌの養育により、仔イヌのストレス耐性が上昇
Credit: jp.depositphotos

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麻布大学、日本盲導犬協会の共同研究により、仔イヌは、出生後に母イヌから十分な養育を受けると、ストレス耐性が高まり、日常の恐怖反応も少なくなることが明らかになりました。

哺乳類の性格形成には、幼少期の環境が大きく関係し、母親からの早すぎる分離は、子どもの気質や行動に悪影響をおよぼします。

イヌの発達過程はヒトと似ているため、この結果は、私たちにも当てはまると考えられています。

研究は、9月15日付けで学術誌『Hormones and Behavior』に掲載されました。

目次 母親の養育により「ストレス耐性」が高まる 母親の養育により「ストレス耐性」が高まる 本研究では、成長後のストレス耐性の指標となる「グルココルチ…

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参考文献

母イヌから十分な養育を受けたイヌは成長後ストレスに強くなることを解明
https://research-er.jp/articles/view/104746

元論文

Basal cortisol concentrations related to maternal behavior during puppy development predict post-growth resilience in dogs
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0018506X21001343?via%3Dihub

人種差別のトラウマは虐待や暴行より強い反応を脳に引き起こす

人種差別は脳の健康に悪影響を及ぼすかもしれない
Credit:Depositphotos

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人種差別は世界的な問題の1つですが、それが健康に与える影響はあまり知られていません。

しかし最近、アメリカ・エモリー大学(Emory University)に所属する臨床神経心理学者のネガール・ファニ氏ら研究チームは、人種差別が脳に虐待や暴行を超える悪影響を及ぼしていると発表しました。

生涯を通して人種差別を経験してきた人は、脅威に対して脳が強く反応し、精神的・身体的健康リスクが高まるおそれがあるのです。

研究の詳細は、7月28日付の学術誌『JAMA Psychiatry』に掲載されました。

目次 健康格差の原因の1つは人種差別かもしれない人種差別を経験してきた脳は、脅威に対してより強く反応する 健康格差の原因の1つは人種差別かもしれない…

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参考文献

Brain scans of Black women who experience racism show trauma-like effects, putting them at higher risk for future health problems
https://www.psypost.org/2021/09/brain-scans-of-black-women-who-experience-racism-show-trauma-like-effects-putting-them-at-higher-risk-for-future-health-problems-61867

元論文

Association of Racial Discrimination With Neural Response to Threat in Black Women in the US Exposed to Trauma
https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/article-abstract/2782454