パンデミック中に生まれた赤ちゃんは母親の感染有無に関係なく神経発達が低下する

パンデミック中に生まれた赤ちゃんは運動技能の低下が見られる
Credit:canva

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コロナウイルスのパンデミックが妊婦に与えるストレスは、この期間中に生まれた赤ちゃんの成長にも影響を与える可能性があるようです。

米コロンビア大学(Columbia University)の新しい研究は、最初のコロナウイルスの波がニューヨーク市を襲った2020年の始め以降に生まれた乳児は、それ以前に生まれた乳児に比べて発達スクリーニングテストのスコアが低いと報告しています。

これは母親のCOVID-19感染の有無には関係なく、パンデミック中に生まれた赤ちゃんに広く見られる傾向だといいます。

研究の詳細は、2022年1月4日付で科学雑誌『 JAMA Pediatrics』に掲載されています。

 

目次 妊娠中にコロナ感染しても、子どもに影響はない?妊婦のストレスが子どもの発達に影響する 妊娠中にコロナ感染しても、子どもに影響はない? 今回の研…

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参考文献

Babies Born During COVID-19 Pandemic Score Lower on a Developmental Screening Test
https://scitechdaily.com/babies-born-during-covid-19-pandemic-score-lower-on-a-developmental-screening-test/

元論文

Association of Birth During the COVID-19 Pandemic With Neurodevelopmental Status at 6 Months in Infants With and Without In Utero Exposure to Maternal SARS-CoV-2 Infection
https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2787479

子どもたちと「ゼロからデザインした」ソーシャルロボットYOLO

子どもがデザインしたロボYOLO
Credit: [HRI 2020] YOLO – Your Own Living Object

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上の写真はYOLOというソーシャルロボットです。YOLOはyour own living object の頭文字です。

人間と何らかのコミュニケーションが可能な新世代ロボットをソーシャルロボットといい、YOLOは米ワシントン大学(University of Washington)のパトリシア・アルベス=オリヴェイラ氏によって、子どもの創造性を刺激する目的で開発されました。

YOLOは「ミラーリング」と「コントラスト」という2つの動作により、遊びながら思考力を発達させる工夫がなされています。

ユニークな見た目ですが、これは実際に142名の子どもたちが設計の過程に関わり、4年間にわたってデザインされたものです。

研究は、2021年3月8日に出版された『HRI ’21: Proceedings of the 2021 ACM/IEEE International Conference on Human-Robot Interaction』に掲載され、HRI ’21のデザイントラックにおいて最優秀論文賞を受賞しています。

目次 YOLO開発への道YOLOの遊び方と教育的な効果 YOLO開発への道 子ども主体のデザインに向けて ロボットのデザインを子ども主体で行うことは…

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参考文献

Children as Social Robot Designers What happens when you let kids design their own social robot from scratch
https://spectrum.ieee.org/social-robots-children
YOLO – Your Own Living Object
https://doi.org/10.1145/3371382.3378395
[HRI 2021] Children as Robot Designers
https://www.youtube.com/watch?v=E2trLGclTc8
[HRI 2020] YOLO – Your Own Living Object
https://www.youtube.com/watch?v=e-K3J5UZ9M4

元論文

Children as Robot Designers
https://doi.org/10.1145/3434073.3444650

複雑で不安定な家庭環境が子どもの「物事を段取りよくこなす能力」の発達を妨げる

複雑な家庭は子供の発達に影響を与える
Credit:Depositphotos

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自閉スペクトラム症(ASD)注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの発達障害を抱えている子供は、「物事を段取りよくこなす」のが苦手です。

発達障害ではなくても、段取りして実行するのが不得意な子もいるでしょう。

最近、カナダ・マックマスター大学の精神医学・行動神経科学科に所属するクリス・アンドリュース氏ら研究チームは、複雑な家庭環境が子供の「段取りよくこなす能力」の発達を妨げると発表しました。

その研究によると、「離婚や再婚、引っ越し、母親の抑うつ症状などが原因かもしれない」とのこと。

研究の詳細は、9月22日付の学術誌『BMC Psychology』に掲載されました。

目次 段取りよくこなす能力「実行機能」が発達しないとどうなる?複雑な家庭環境は子供の実行機能の発達を弱くする 段取りよくこなす能力「実行機能」が発達…

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参考文献

Chaotic households undermine children’s development of executive functioning through less responsive parenting
https://www.psypost.org/2021/12/chaotic-households-undermine-childrens-development-of-executive-functioning-through-less-responsive-parenting-62234

元論文

Effects of household chaos and parental responsiveness on child executive functions: a novel, multi-method approach
https://bmcpsychology.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40359-021-00651-1

制服は学生の行動や出席率になんの良い影響も与えなかった

制服の着用が学生の行動に良い影響をもたらすわけではない
Credit:Depositphotos

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日本のほとんどの学校では制服が採用されています。

制服のおかげで、「毎日の服装に悩まなくてよい」「個人差が出なくてよい」と考えている人は多いようです。

また中には、制服を着ることで帰属意識(特定の組織に属しているという意識)が高まったり、出席率が向上したりすると主張する人たちもいます。

ところが、アメリカ・オハイオ州立大学(OSU)人間生態学部に所属するアーヤ・アンサリ氏ら研究チームは、最新の研究で、制服は学生の行動や出席率になんの良い影響ももたらさない、と発表しました。

研究の詳細は11月5日付の学術誌『Early Childhood Research Quarterly』に掲載されています。

目次 「制服は正義」なのか?制服が学生の行動や意識に良い影響を与えることはない 「制服は正義」なのか? 日本のほとんどの学生は、昔から制服の着用を求…

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参考文献

School uniforms don’t improve child behavior, study finds
https://phys.org/news/2021-12-school-uniforms-dont-child-behavior.html

元論文

School uniforms and student behavior: is there a link?
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0885200621001162?via%3Dihub#!

赤ちゃんは「母親の匂い」があれば、見知らぬ女性にも懐きやすくなる

母親の匂いが近くにあれば、見知らぬ女性にも懐きやすくなる
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世の女性の中には、「兄妹や親戚、あるいは友人の赤ちゃんになかなか懐かれない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

しかし、新たな研究で、その簡単な解決法が見つかったかもしれません。

ライマン大学(IDC Herzliya・イスラエル)の研究チームはこのほど、赤ちゃんは、母親の匂いが身近にあると、見知らぬ女性でも受け入れやすくなることを発見しました。

研究は、12月10日付けで学術誌『Science Advances』に掲載されています。

目次 母親に匂いがあれば、見知らぬ女性でも懐く? 母親に匂いがあれば、見知らぬ女性でも懐く? これまでの研究で、母親の体臭は、赤ちゃんの安心や社会的…

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参考文献

Babies found to be more likely to accept unfamiliar women when the odor of their mother is present
https://medicalxpress.com/news/2021-12-babies-unfamiliar-women-odor-mother.html

元論文

Maternal chemosignals enhance infant-adult brain-to-brain synchrony
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abg6867

「アニメと現実の区別」生後19カ月から可能と判明

19カ月の幼児はアニメと現実を区別できる
Credit:Depositphotos

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アニメは子供から大人まで楽しめますが、現実とは区別しなければいけません。

ほとんどの人は、アニメの主人公や出来事は「画面の中だけのもの」だと知っています。

では私たちは、いつからアニメと現実を区別できていたのでしょうか?

ハンガリー・中央ヨーロッパ大学(CEU)認知科学部に所属するバルブ・レーベンク氏ら研究チームは、生後19カ月の幼児が画面に映されたアニメーションと現実の違いを区別できると発表しました。

研究の詳細は、9月10日付の科学誌『Open Mind』に掲載されています。

目次 幼児はアニメと現実を区別できるの?幼児は「アニメの出来事と現実の出来事は別物」だと知っている乳児は「アニメが現実世界の干渉を受けない」と理解し…

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参考文献

New cognitive science research gives insight into how infants understand on-screen animated events
https://www.psypost.org/2021/11/new-cognitive-science-research-gives-insight-into-how-infants-understand-on-screen-animated-events-62175

元論文

For 19-Month-Olds, What Happens On-Screen Stays On-Screen
https://direct.mit.edu/opmi/article/doi/10.1162/opmi_a_00043/106926/For-19-Month-Olds-What-Happens-On-Screen-Stays-On

赤ちゃんは生後2カ月で「ユーモア」を理解し11カ月で自己生成すると判明

赤ちゃんは生後2か月で「ユーモア」を理解し11カ月で自己生成すると判明
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

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赤ちゃんにとって両親は最初のコメディアンなようです。

英国ブリストル大学(UB)で行われた研究によれば、赤ちゃんは生後2カ月で「いないいないばぁっ!」などの「変顔」「変声」に代表されるユーモアを理解しはじめ、11カ月になると自分からユーモアを生み出しはじめる、とのこと。

赤ちゃんたちの笑いを理解する能力が年齢別にマッピングされたのは、今回の研究がはじめてになります。

どうやら私たち人間の脳は、早期からユーモアの学習と実戦を優先するよう、生まれつきプログラムされているようです。

しかし、なぜ赤ちゃんは言語よりも先にユーモアを理解できるのでしょうか?

研究内容の詳細は11月18日に『Behavior Research Methods』で公開されました。

目次 赤ちゃんは生後2カ月で「ユーモア」を理解し11カ月で自己生成すると判明赤ちゃんとユーモアの関係が発達障害の検出法になる 赤ちゃんは生後2カ月で…

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参考文献

Study Captures Humor’s Earliest Emergence in Young Children
https://neurosciencenews.com/humor-neurodevelopment-19675/

元論文

The Early Humor Survey (EHS): A reliable parent-report measure of humor development for 1- to 47-month-olds
https://link.springer.com/article/10.3758%2Fs13428-021-01704-4

「ホットドッグは野菜」とアメリカの子どもの4割が信じていると明らかに

アメリカの子どもは「ホットドッグ=野菜」と信じていた⁉︎
Credit: jp.depositphotos

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現代の食文化は、お菓子やファストフードで溢れかえっていますが、子どもたちはもはや、それらが何からできているのか、分からなくなりつつあるようです。

ファーマン大学(Furman University・米)の研究チームは、アメリカ南東部の都市圏に暮らす4〜7歳の子ども176人を対象に、食品アンケートを実施。

その結果、4割の子どもが「ホットドッグは野菜からできている」と信じていたことが判明しました。

さらに、半数近くが「フライドポテトは動物の肉である」と誤認していたようです。

研究は、10月9日付けで学術誌『Environmental Psychology』に掲載されています。

目次 ハンバーガーは野菜、フライドポテトは肉? ハンバーガーは野菜、フライドポテトは肉? 本研究では、子どもたちに食品の画像を見せて、「動物性である…

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参考文献

A Surprising Number of Kids in The US Think Hot Dogs Are Actually This
https://www.sciencealert.com/a-surprising-number-of-kids-in-the-us-think-hotdogs-are-actually-vegetables
40 Percent Of American Kids Think Hot Dogs And Bacon Are Plants
https://www.iflscience.com/plants-and-animals/40-percent-of-american-kids-think-hot-dogs-and-bacon-are-plants/

元論文

Children are unsuspecting meat eaters: An opportunity to address climate change
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0272494421001584

「生存率1%以下」妊娠21週で生まれた男の子がギネス世界記録に認定される

妊娠21週で生まれた男の子がギネス記録に認定
Credit: University of Alabama at Birmingham – Baby born at 21 weeks survives, breaks world record(2021)

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今月10日、米南部・アラバマ州にて妊娠21週の早産で生まれた男の子が、「世界一の早産を生き延びた乳児」として、ギネス世界記録に認定されました。

男の子の名前は、カーティス・ミーンズ(Curtis Means)くん。

カーティスくんは、2020年7月5日に予定より4カ月も早く生まれ、出生時の生存確率は1%以下と宣告されていました。

しかしその後、奇跡的な回復を見せ、無事退院しています。

目次 生存確率1%に打ち勝った男の子 生存確率1%に打ち勝った男の子 母親のミシェル・バトラー(Michelle Butler)さんは、昨年、妊娠5…

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参考文献

Baby born at 21 weeks survives, breaks world record
https://www.livescience.com/premature-baby-breaks-world-record