レイプでも近親相姦でも中絶できず、密告さえ奨励する新法に反発広がる

<ワクチン接種やマスク着用の義務化には反対なのに、女性には本人の意思に関わらず出産を矯正する保守派の矛盾を突く衝撃の動画も> 妊娠6週目以降の人工妊娠中絶を禁じるテキサス州の州法があまりにひどいと、全米に反発が広がっている。政治家や企業、有名人がこぞって反対の声を上げ、この法律を激しく非難する動画は視聴回数が180万回以上に達した。 9月1日に施行されたこの中絶禁止法は、事実上、中絶を不可能にするだけではない。妊娠6週目以降に中絶をした本人だけでなく、中絶を行った医療関係者や中絶を手助けした人も告発するよう、一般市民に奨励する仕組みになっている。権利擁護団体などがこの法律の差し止めを求めて訴えていたが、最高裁判所は9月1日の夜、差し止め請求を退けた。ジョー・バイデン大統領は最高裁の判断を批判する声明を出した。 非難に次ぐ非難のなかでも注目を集めたのが、作家で活動家のドン・ウインズロウが作った動画だ。ウインズロウはこの動画で、中絶禁止法の苛烈さを訴えると同時に、自分の身体に関わる選択権を主張して新型コロナワクチンの接種はこばみながら、女性の選択権を否定する保守派の矛盾を突いている。 3日の夕方、ウインズロウはツイッターにこの動画を投稿し、「共和党員は女性の体を『宿主』と呼んでいる」とツイートした。「テキサスの共和党州議員は、女性とその家族、中絶を行う医師らをつけまわし、通報するウェブサイトを開設した。彼らは女性に戦いを仕掛けている」 **NEW** VIDEO #TexasWarOnWomen Republicans are calling women’s bodies “Host bodies” Texas Republicans set up a website to stalk and report women, their families and the doctors who help them.They are waging a war against women.PLEASE RETWEET & QUOTE TWEET this video! pic.twitter.com/FMzVmOKADo— Don Winslow (@donwinslow) September 3, 2021 強烈なメッセージ 4日の東部標準時午後6時の時点で、この2分足らずの動画の視聴回数は、少なくとも180万回に達し、ウインズロウのツイートだけでも3万件近くリツイートされた。 「もしテキサス州で暴行され、強姦されたら、私は強姦犯人の赤ん坊を出産しなければなりません」というナレーションから、動画は始まる。「テキサス州で父や兄、叔父にレイプされて妊娠した場合、私は私を虐待する身内の赤ん坊を出産しなければなりません。この新しい法律はあまりにもむごいものです。私は中絶したことで訴えられる可能性があり、中絶を行った医者、支えた家族、助言した友人、あるいは私を診療所に乗せていったウーバーの運転手も訴えられる可能性があります」 「こんなことは狂っています」と、ナレーターは語る。「新型コロナワクチンに関しては、自分の体のことは自分で選択すると接種を拒み、抗議している人々が、私には自分の体のことを自分で決めることはできないと言っているのです」 この動画はさらに、テキサス州が学校でのマスク着用義務化を禁止していることも指摘している。学校でマスクをするかしないかは自由なのに、妊娠した場合は、強姦や近親相姦を含むどんな状況であっても、母体に危険がある場合を除いて出産を強制されることになる、と説明する。 ===== ウインズロウは1991年以来、主に犯罪小説の作者として活躍。「野蛮な奴ら」シリーズ、探偵ニール・ケアリーシリーズ、「犬の力」三部作などで知られている。近年は政治的な発言も多く、特にドナルド・トランプ大統領を批判している。ドン・ウインズロウ・フィルムズという映画会社を立ち上げており、昨年10月に反トランプ短編映画を制作。左派で有名なミュージシャン、ブルース・スプリングスティーンとコラボレーションした。 共和党が優勢な他の州の政府も、テキサス州の法律と同様の中絶禁止法案を起草し、可決する動きが広がっている。 テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は2日にCNBCのビジネスニュース番組に出演し、別名「ハートビート(心臓音)法」(胎児の心臓音を検知できる時期以降の中絶を禁じるため)ともいわれるこの中絶禁止法を擁護。中絶に対する州の姿勢は企業を遠ざけるどころか、むしろ引き付けるだろうと語った。 「テキサス州への企業や人の流入が鈍ることはない」と、アボットは番組で語った。「実際、この法律のおかげで、テキサス州への企業投資は加速している」 だがリフトやウーバーなど多くの企業は、この中絶禁止法を激しく非難している。ウェブホスティングサービスのゴーダディは、この法律に基づいて、反中絶団体が運営する通報を奨励する告発ウェブサイトとのプロバイダ契約の打ち切りを発表、24時間以内に他のプロバイダに乗り換えるように通告した。 ===== 【動画】中絶禁止法に抗議のメッセージ **NEW** VIDEO #TexasWarOnWomen Republicans are calling women’s bodies “Host bodies” Texas Republicans set up a website to stalk and report women, their families and the doctors who help them.They are waging a war against women.PLEASE RETWEET & QUOTE TWEET this video! pic.twitter.com/FMzVmOKADo— Don Winslow (@donwinslow) September 3, 2021

「競技用ショーツが短すぎて不適切」英パラ代表選手、審判の指摘に絶句

<「願わくば、東京でも着用したい」とオリビア・ブリーンは語る> 東京パラリンピックに陸上競技で出場予定の英代表選手オリビア・ブリーンは、日曜に走り幅跳びで出場した英国選手権で、競技用のショーツが「短すぎて不適切」として女性審判から指摘された。 これに対してブリーンは、「言葉を失った」と振り返っている。 脳性麻痺を患う24歳のブリーンは、2012年のロンドンパラリンピックの100メートル走で銅メダルを獲得。15年と17年の世界パラ陸上競技選手権では、100メートル走と走り幅跳びでそれぞれ金メダルを獲得…