ダーウィンもドン引きの寄生バチは2000万人もの命を救っていた

寄生バチは、人類の救世主だった?
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居住空間の都市化が進むにつれ、虫たちの存在がどんどん遠いものになっています。

これでは虫嫌いになる人が続出しても仕方ないでしょう。

しかし、虫が地球からいなくなってしまうと、私たちは生きていけません。

彼らは受粉を媒介することで、世界中の植物を繁殖してくれています。

そして、人の役に立っているにもかかわらず、まったく名の売れていない虫が「寄生バチ」です。

寄生バチは「イモムシに寄生するおぞましいヤツ」というレッテルを貼られがちですが、それだけでは悪評が広がるばかり。

実は、彼らには数千万人の命を救った立派な功績があるのです。

それを詳しく見ていきましょう。

目次 悪魔か、救世主か農薬に比べてメリットだらけ 悪魔か、救世主か 寄生バチは主に、コバチ科・ツチバチ科・コマユバチ科・ヒメバチ科に分かれ、種類も豊…

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参考文献

PARASITIC WASPS TURN OTHER INSECTS INTO ‘ZOMBIES,’ SAVING MILLIONS OF HUMANS ALONG THE WAY
https://www.dal.ca/news/2021/10/29/parasitic-wasps-turn-other-insects-into–zombies—saving-millio.html

日本でゴキブリの新種3種が見つかる、保護へ

新種ゴキブリ発見者の柳澤静磨さんが手にのせるのは、勤務先の磐田市竜洋昆虫自然観察公園の昆虫館で展示中のヨロイモグラゴキブリ(オーストラリア産)。「推しゴキブリ」を選ぶGKB48総選挙の第1回王者だ。写真の個体は2019年に誕生したもので、これからもっと大きくなるという。(写真提供: 柳澤静磨) 日本に60種ほ…

ミツバチも巣内の感染症対策に「ソーシャルディスタンス」を取っていた

ミツバチも「ソーシャルディスタンス」を取ることが判明
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「ソーシャルディスタンスを取りましょう!」

コロナ時代になってから一体、何度耳にしたことでしょうか。

今でも毎日のように聞くフレーズですが、これは感染拡大を防ぐ、人間ならではの大事な知恵です。

ところが、ソーシャルディスタンスを取る生き物は私たちだけではありませんでした。

イギリスとイタリアの国際研究チームはこのほど、ミツバチが寄生虫の脅威にさらされると、コロニー内でソーシャルディスタンスを取り始めることを明らかにしました。

感染したハチは、巣の中心部にいるハチの子や女王バチにうつさないよう、社会的距離を増加したとのことです。

研究は、10月29日付けで学術誌『Science Advances』に掲載されています。

目次 ミツバチの「ソーシャルディスタンス」を初確認 ミツバチの「ソーシャルディスタンス」を初確認 ミツバチの社会は、私たちと同様に、仕事の役割分担を…

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参考文献

Honeybees use social distancing to protect themselves against parasites
https://phys.org/news/2021-10-honeybees-social-distancing-parasites.html
Honeybees use social distancing when hive is under threat from parasite
https://news.sky.com/story/honeybees-use-social-distancing-when-hive-is-under-threat-from-parasite-12454295

元論文

Honey bees increase social distancing when facing the ectoparasite Varroa destructor
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abj1398

“クモの巣のデザイン”を操るハチ 乗っ取られたクモの切なすぎる末路【残虐な寄生虫】

 ゴキブリを奴隷のように支配したり、泳げないカマキリを入水自殺させたり、アリの脳を支配し最適な場所に誘って殺したり――、あなたはそんな恐ろしい生物をご存じだろうか。

「寄生生物」と呼ばれる彼らが、ある時は自分より大きな宿主を手玉に取り翻弄して死に至らしめ、またある時は相手を洗脳して自在に操る様は、まさに「えげつない!」。

 そんな寄生者たちの生存戦略を共生細菌、感染症、ワクチンの研究を……

営農するアリ「ハキリアリ」、そのシャープな歯は金属製だった

<葉を噛み切って集め、巣に持ち帰ってキノコを栽培。商売道具の鋭い歯は、重金属の原子で覆われている> 人類の定住生活を可能にしたともいわれる農耕は、歴史上で大きな役割を果たしてきた。実はアリのなかにも、一種の栽培業を営む種類がある。中南米に分布するハキリアリだ。 ハキリアリは鋭い歯を使って木の葉を小さく切り取り、地下の巣に持ち帰って菌床をつくる。正確には、餌となるのは私たちが想像するようなキノコではなく、成長前の姿でカビのような見た目をした「菌糸体」だ。いわゆる傘と柄の形となる子実体に成長しないよう適…