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Xboxの歴史を振り返るドキュメンタリー「Power On: The Story of Xbox」が公開された。家庭用ゲーム機「Xbox」の誕生から現在までの20年が、6つの動画で紹介されている。音声は英語だが、日本語字幕を設定可能。

この記事ではドキュメンタリーの最初のチャプターを紹介しよう。チャプター1の副題は「The Renegades(反逆者たち)」。Windowsの大ヒットで世界的企業になったマイクロソフトで、日陰者だったゲーマーの若者たちがXbox開発を勝ち取る経緯を描く。

最新のOSをリリースすれば、店の棚からパッケージがあっという間になくなってしまう。当時の映像からわかるように、マイクロソフトはソフト事業で大成功を治めており、1990年代後半までは毎月10億ドルの純利益を出していたという。家庭用ゲーム機開発についてビル・ゲイツを含む幹部は否定的だったが、1999年にお披露目されたPS2は衝撃的だった。

 
1999年3月2日に発表されたPS2。画像は動画のキャプチャ。

PCを上回る高性能はもちろん、ソニーブランドの電子機器と組み合わせることでマルチメディア端末として機能する可能性がある。家庭に置かれているPCがPS2に置き換わることを危惧したビル・ゲイツは、自社のPCゲーム開発部門のDirectXチームにPS2の分析を命じる。DirectXチームはPS2を分析したうえで、マイクロソフト独自の家庭用ゲーム機開発を提案した。これに興味をいだいたビル・ゲイツは、DirectXチームとWindows CEチームに競争させると決めた。

Windows CEはセガのドリームキャストにも搭載されており、家庭用ゲーム機の分野ではWindows CEチームに分があると思われた。それを覆したのは、『Age of Empires』などPCゲームでヒットを飛ばしてきたDirectXチーム独自の発想だ。「ハードディスクドライブの搭載」と「高速インターネット接続」を家庭用ゲーム機に持ち込んだ。さらに、DirectXチームは試作機も作成。Windowsも搭載しており、4秒で起動するのにはビル・ゲイツも興奮したらしい。

ドリームキャストで実績のあったWindows CEチーム。画像は動画のキャプチャ。

マイクロソフト初の家庭用ゲーム機開発の権利はDirectXのチームが勝ち取った。Windows CEチームは、まるでPCを家庭用ゲーム機に置き換える発想に「完敗だ」と認めている。なお、DirectXのチームが作るハードということで、当初のコードネームは「DirectX box」だったそうだ。ただし、これは言いにくいので短く「Xbox」と呼ぶようにしたと当時の開発チームが語っている。

Xboxは当初「DirectX box」と呼ばれていた。画像は動画のキャプチャ。

ゲームジャーナリストのジェフ・キーリーも出演するXboxのドキュメンタリー。「ソニーがリビングルームにPS2を置くなら、マイクロソフトはどうするべきか」に注目が集まったとジェフ・キーリーはコメントした。

動画ではDirectXチームはもちろん、さまざまな立場にあった人々が当時を振り返っている。詳細は動画でチェックしてほしい。

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