今月は月がかなり大きく欠ける部分月食が見られると、天文好きの間で話題になっています。今の時期は月がきれいに見えるうえ、天候に恵まれそうな日が多いので期待大ですね。
そこで今回は、より月食を楽しめる情報をお伝えしたいと思います。
目次
- 「ほぼ皆既」の部分月食が見られる!
- 月食にはどんな種類がある?
- 月食の色の違い
- 月食がコロンブスを救った!?
- 次回の月食はいつ?
「ほぼ皆既」の部分月食が見られる!
月食が見られるのは、11月19日(金)で、2021年で2回目の月食となります。前回の5月はスーパームーンで皆既月食が起こると話題になりましたが、あいにくほとんどの地域で雨でしたよね。
今回は部分月食ですが、「なんだ部分なのか……」と思うことなかれ。月の大部分が影の中に入り込みます。
食の最大のとき、食分は0.978。つまり98%近く欠けるので、極めて皆既に近いものを見ることができるはずです。
最大食分が0.98以上の部分月食が日本全国で見られるのは約89年ぶりで、とても珍しいんですって。
月食は、いつどこで見えるの?
今回の月食が始まる時間は16時18分で、食の最大は18時02分。そして終わるのが19時47分です。ただし、欠け始めは北海道や東北地方の北部しか見えず、月が欠けた状態で昇ってきます。
よって、食の最大時でも月の高度は18°ほどしかないため、東の空がかなり開けた場所にスタンバイしましょう。
なお、月食はおうし座付近で起こるので、もしも双眼鏡で観測するなら近くにあるプレアデス星団も一緒に見ると楽しめると思います。
月食中にISSの月面通過が見えるかも?
また、地域によっては月食中の月の上を国際宇宙ステーションが通過する様子が見られるかもしれません。ただし軌道の変更は珍しくないため、興味のある人は「ISS Transit Finder」で頻繁にチェックをしましょう。
ただし、観測には双眼鏡が必要です。望遠鏡をお持ちの方なら、撮影に挑戦する手もありますね。
月食にはどんな種類がある?
前回は皆既月食、今回は部分月食です。では、月食にはどんな種類があるのでしょうか。
月食は、地球の影にどれくらい月が入るかによって、「皆既月食」「部分月食」「半影月食」の3種類に分けられます。
地球の真後ろの濃い影が「本影」、その周囲の薄い影が「半影」です。月全体がすっぽり本影に入ると皆既月食に、月の一部だけ本影に入ると部分月食に、半影に入ると半影月食になります。
もしかしたら「半影月食って見たことがないぞ」と思った方がいらっしゃるかもしれませんね。実は、肉眼で見てもほとんどわかりません。でも、カメラで撮影すると、とらえることは可能です。
こちらは昨年11月30日に撮影した半影月食。左の月が半影月食の満月、右が食が終わった通常の満月です。左の月は、左斜め上の方が黒っぽくなっていますね。
さらに、月食は欠け始めから終わりまで全行程が見られる場合のほかに見られない場合があり、後者は「帯食」といいます。
月の出の前に月食が始まり、月が欠けたまま昇る場合は「月出帯食(げつしゅつたいしょく)」、月が欠けたまま沈む場合は「月入帯食(げつにゅうたいしょく)」といいます。
つまり、今回の部分月食は全国の多くの地域で「月出帯食」ということになります。
月食の色の違い
今回の部分月食は98%近く欠けるので、皆既月食のように月の色が変わるのが見えるかもしれません。
皆既月食の色は、しばしば「赤銅色」と表現されます。しかし、実際は地球の大気の状態に影響されて、そのときどきで月の色は違います。
こちらの図は、フランスの天文学者アンドレ・ダンジョンによって作成された「ダンジョン・スケール」と呼ばれるもの。皆既月食はその明るさと見た目で0〜4に分類されます。
- 0:非常に暗く、月がほとんど見えない。
- 1:暗く、月が灰色や茶色に見える
- 2:月がサビの色で周囲に月より明るい縁ができる。
- 3:月がレンガ色で、周囲に黄色い縁ができる。
- 4:赤銅色やオレンジ色の月で、青っぽい縁ができる。
さて、今回の月食はどう見えるでしょう?天文学者になった気分で、分類に挑戦してみてはいかがでしょうか。
月食がコロンブスを救った!?
もしも誰かと月食を見るならば、ちょっと人に話したくなるエピソードはいかがでしょうか。
大航海時代にアメリカ大陸を「発見」したことで有名なクリストファー・コロンブス。彼は航海のときに、天文学者によって書かれた今後の月食の予定が記載された本を持っていました。
コロンブスは1503年にジャマイカ島で遭難してしまい、原住民に食料と水を提供するように言ったのですが、原住民はこれを拒否。そこで今後の月食の予定を知っていたコロンブスは、月の光をなくすと原住民を脅したんだそうです。
月が欠けてくると、怯えた原住民は月を戻してくれるならコロンブスを助けることに同意。もちろん、コロンブスはいつ月食が終わるかを知っていたため、月が再び現れるときを告げます。
これによって、コロンブスたちは救われたのだとか。機転が利くというか、ずる賢いというか……。
次回の月食はいつ?
月食は、前回のように天候が悪くて見られないこともあります。なので、次はいつなのか気になりますよね。今後5年間で日本で見える月食は以下になります。
- 2022年11月8日:皆既月食
- 2023年10月29日:部分日食(日本の一部で月入帯食)
- 2025年3月14日:部分日食(日本の一部で月出帯食)
- 2025年9月8日:皆既月食
- 2026年3月3日:皆既月食
来年も、全国で皆既月食が見られるチャンスがありますよ。
冬が近づくにつれ、星がきれいに見える時期がきています。寒さ対策はしっかりして、天体ショーを楽しんでください。
参考文献
11月19日は部分月食(2021年11月)
https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2021/11-topics03.html
Why Does the Moon Turn Red?
https://www.timeanddate.com/eclipse/why-does-moon-look-red-lunar-eclipse.html
10 Surprising Facts About Lunar Eclipses
https://www.space.com/30669-10-surprising-lunar-eclipse-facts.html