人生は失敗の連続のようなものなので、
私たちは日々失敗を重ねています。
そして失敗をするたびに、
あせったり、恥ずかしくなったり、いらいらしたり、
自己嫌悪に陥ったり、意気消沈したり、
不安になったり、人に責任転嫁したくなったり、
もうなにもかもおしまいだと思ったり、
失敗のバリエーションに応じて、
さまざまな負の感情に襲われてしまいがちですが、
でも、シュタイナーは、
「どんなに失敗してもまったく気にしない態度」
というものが、人が成長していく上で、
とても大切だと言っているんですね。
私たちが成長していくためには、
失敗しても、失敗しても、意に介せず、
「また失敗してしまったが、もうこのことは忘れよう。
そして何もなかったかのように、また新たに試みよう。」
と思うことが大切なんだそうです。
この方法、実際に試してみると、
本当にいい方法だということがわかるんですよ。
例えば、私もときどき子どもを、
感情にまかせて怒ってしまったり、
欠点を責め立ててしまったりして、
後になって、
「ああ、またやってしまった」
と後悔するのですが、
そのとき、
「自分はだめな母親だ」
と落ち込んだり、
「あんなことを言ってしまって、
子どもたちに取り返しのつかない傷を、
つけてしまったのじゃないか」
と不安になったりするかわりに、
「また怒ってしまったけれど、
そのことについてはもう忘れよう。
そして何もなかったかのように、
今から、
自分が理想とするやり方で、
子どもと向かい合おう。」
こんなふうに思って、そう実行すると、
子どもたちはすぐ気付いて、
うれしそうな顔をするんですよ。
そして何もなかったかのように、
いつもの親子関係にもどれるのです。
結局、自分を責めたり、不安になったりしても、
それは自分の魂の状態を不安定にするだけで、
大人がそんな魂の状態でいても、
子どもにとっていいことはまったくないのだから、
自分が誤りをおかしたと気付いたら、
その場ですぐ、子どもの前に立つにふさわしいよう、
自分の魂の状態を整えるのが一番なのです。
他の失敗も同じで、
いくら落ち込んでも、あせっても、自分を責めても、
それによって何かが改善することはないのだから、
きれいさっぱり忘れてまた、
自分の理想とする方向へ向かっていく。
結局そういう態度をとるのが一番、
自分にとっても周囲の人たちにとっても、
よい影響を及ぼすのです。
私たちは誰でも、
弱さや、思い通りにならない自分を抱えているのだから、
失敗するのは当たり前です。
それでもきっといつかは理想とするところにたどり着けるのだという信念をもって、
失敗しても、失敗しても、
また新たに挑戦する努力を続けるならば、
「自分が汲み取る世界の力の泉は涸れることがない」
ということを確信できるようになると、
シュタイナーは言っています。
そんな頼もしい力の泉とともにあるのですから、
何も心配することなく、
どんどん失敗を重ねていっていいのだと、
私は思っています。