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<米軍撤退の期限があと数日に迫るなか、アフガニスタン人協力者の国外退避の道は狭まるばかり> アフガニスタンからの米軍撤退期限が8月31日に迫るなか、首都カブールの国際空港には、国外脱出を求める大勢のアフガニスタン人が押し寄せている。だがAP通信の報道によれば、出国書類を持っている協力者でさえ、空港ゲートを管理する米軍に追い返されることがあるという。その上、米英政府は25日夜、カブール空港に対するテロの具体的な脅威があるとして、空港に近づかないよう警告した。 アメリカの複数の当局者は8月25日、31日の米軍撤退期限後も出国希望者の国外退避支援を継続していくと述べたが、難民支援を行う複数の団体はAP通信に対し、退避作戦は混乱に満ちており、規模も最小限だと語った。 国際難民支援プロジェクトの政策担当ディレクター、スニル・バーギースは、「失敗のリスクを冒して国外脱出を試みるかどうかの判断は、アフガニスタン人たちに完全に委ねられている」と語る。「幼い子どもや妊娠中の女性を連れた者たちは、脱出するために進んでリスクを取っている」 支援団体は米政府と協力しながら、タリバンによる報復の標的になるリスクが最も高いアフガニスタン人の国外退避を支援している。米軍の手伝いをした通訳やジャーナリスト、女性の権利擁護を提唱する人々などだ。 以下にAP通信の報道を引用する。 アメリカ人の国外退避を優先 米軍の撤退期限まではあと数日しかないが、情報は錯綜している。ホワイトハウスによれば、アメリカや諸外国の輸送機、および民間航空機で国外に退避したアフガニスタン人とアメリカ人を含む外国人の数は8万2300人にのぼる。だが、混乱のなかでまだ空港にさえたどり着けない退避希望者も多い。 8月半ばにアフガニスタンを制圧したイスラム原理主義組織タリバンの指導部は、8月31日の撤退期限の延長は受け入れないと言っている。一方で、タリバンのスハイル・シャヒーン報道官はツイッターへの投稿で、「法的に有効な書類を持っている者たち」は31日以降も民間航空機で国外に出ることができると述べた。 ジョー・バイデン米大統領はアメリカ人の国外退避を優先すると言明しており、米国防総省のジョン・カービー報道官は25日、これまでに4400人を超えるアメリカ人がアフガニスタン国外に脱出したと発表した。 多くのアメリカ人が今もアフガニスタンに残されているが、バイデン政権は推定される人数については公表しないとしている。アメリカに拠点を置く複数の組織は、現地の複数の目撃者の証言として、米国市民やグリーンカードを持つアフガニスタン人の家族でも、カブールの空港構内になかなか入れないケースがあると指摘している。 ===== カービーは、米軍は31日の撤退期限に向けて、「国外退避が必要な人々の支援を最後まで続ける」と述べた。だが最後の数日は、米軍部隊や軍装備品などの撤収のための時間と人手も必要になるという。 米統合参謀部のハンク・テイラー地域作戦担当副部長(少将)は、米軍が空港周辺で夜間、国外退避を求める人々をヘリコプターで救出する作戦を実行したと明らかにした。救出された人々は無事に空港に輸送され、輸送のための航空機への搭乗を待っていると彼は語った。 テイラーは作戦についてこれ以上の詳細を明かさなかったが、ドイツ連邦軍のエーベルハルト・ツォルン総監が別のところで語った内容によれば、ドイツ人21人が米軍のヘリコプターによって救出されたということだ。 バイデンは退避作戦についてのこれまでの発言の中で、アフガニスタン人の通訳などタリバンの報復を受けるリスクが最も高い者たちを国外退避させると約束してきたが、最終的な結末については約束できないと困難も強調してきた。 ビザ所有でも1200人が空港に入れず 米軍や国務省関係者は今ごろ、アメリカ入国のためのビザ取得資格を持つアフガニスタン人協力者のリスト作成を行っているようだが、何人のアフガニスタン人を、どうやって国外に脱出させるかの具体策はいまだに明らかになっていないと、複数の支援組織は言う。 アフガニスタン戦争の開始から20年近く、米軍に協力してアフガニスタン人の国外退避を支援してきた退役軍人組織のひとつ「No One Left Behind(誰も置き去りにしない)」のジェームズ・ミアバルディスは、「既にビザを持つアフガニスタンでさえ、1200人が今も空港に入ることができずにいる」と言う。「米政府からの指示を待っているが、まだ連絡がない」 アメリカを拠点に、アフガニスタン女性の支援を行っている非営利組織「アセンド」のマリーナ・レグリーは複数の米当局者から、現地にいるインターンやスタッフをカブールの空港から輸送機に乗せるようにと連絡を受けたと明かした。だが彼女たちが空港に行ったところ、ゲートを管理している米軍に追い返されてしまったという。 しかも市内は混乱の真っ只中だ。レグリーによれば、アフガニスタン人のあるインターンは、家族を連れて空港に向かったが、目の前で人が殺されるところを目撃した。また別の同僚は、群集に向けて発射された腐食剤で火傷を負った。タリバンの暴力もある。その上、米英政府は25日夜、カブール空港に対するテロの具体的な脅威があるとして、空港に近づかないよう警告した。CNNによれば、ISIS-Kというタリバンの敵にあたるテログループだという。 国外に逃れなければタリバンに殺されると恐れている協力者たちにとって、事態はどんどん絶望的になっている。 「米政府によるこれほどひどい裏切り行為を目の当たりにするのは、とてもつらい」とレグリーは言う。 バイデンは24日、自身が決めた8月31日の米軍撤退期限について、延長はしない考えを表明。一方で、オースティンとアントニー・ブリンケン国務長官に対して、期限の調整が必要になった場合に備えて、緊急時対応策を作成するよう指示したとも述べた。 【関連記事】 タリバンはなぜ首都を奪還できたのか? 多くのアフガン人に「違和感なく」支持される現実 アフガニスタン撤退は、バイデンの「英断」だった