多種多様なゲーマー向け周辺機器が,数多くのメーカーから販売されている。ただ,バリエーション豊かな製品は選ぶ楽しさがある一方で,どの製品を選んだらいいのか分からなくなることもあるだろう。
そんな人にお勧めしたいのが,ゲーマー向け周辺機器の老舗であるCorsairの製品だ。本稿では,ゲームで使う周辺機器選びに迷っている人に向けて,3つのテーマに分けて,Corsair製のマウスとキーボード,ヘッドセットを組み合わせたセットを紹介しよう。ぜひ参考にしてほしい。
「プロゲーマー御用達なデバイスを使いたい」
人向けの3点セット
- マウス:SABRE RGB PRO Champion Series(以下,SABRE RGB PRO),実勢価格8000円前後(税込,以下同)
- キーボード:K70 RGB TKL Champion Series(以下,K70 RGB TKL),実勢価格1万7000円前後
- ヘッドセット:HS80 RGB WIRELESS Gaming Headset(以下,HS80 WIRELESS),実勢価格1万5800円前後
ゲーマー向け周辺機器を選ぶときに,プロゲーマーや人気ストリーマーが好んで使う高性能,高スペックな製品を使いたいと考えるゲーマーは多いだろう。そんな人におすすめしたいのが,ワイヤードマウス「SABRE RGB PRO」と,10キーレスキーボード「K70 RGB TKL」,ワイヤレスヘッドセット「HS80 WIRELESS」という組み合わせだ。
Corsairは,2021年4月にeスポーツ向けの製品シリーズとなる「Champion」シリーズを立ち上げた。同シリーズは,プロのeスポーツ選手が開発に協力しており,プロが求めるスペックや性能を実現した製品群であるという。SABRE RGB PROとK70 RGB TKLは,そんなChampionシリーズの第1弾製品である。
SABRE RGB PRO |
K70 RGB TKL |
SABRE RGB PRO
SABRE RGB PROは,公称本体重量が約74gという軽さが特徴のワイヤードマウスだ(関連記事)。軽さをアピールするマウスは各社から多数登場しているが,その多くが筐体の外装に孔を開けている(肉抜きしている)ものが多い。こうした肉抜きマウスは,孔からほこりが入りやすく,こまめな清掃が必要になりがちだ。また,「肉抜き孔はデザイン的にちょっと……」という人もいるだろう。その点,SABRE RGB PROは,一般的なマウスと同じデザインを採用しつつ,軽量化しているのが見どころである。
形状は,ボディの右側にややふくらんだ,いわゆる「Microsoft IntelliMouse Explorer 3.0」(以下,IE3.0)クローン風で,多くのゲーマーに馴染みのある形だ。かぶせ持ちやつかみ持ちなど持ち方も選ばない。
SABRE RGB PROは,内部にも見どころがある。その最たるものが「Corsair QuickStrike」技術(以下,QuickStrike)を採用したメインボタンだ。メインボタンとスイッチの隙間をなくす「ゼロギャップ」構造を採用することで,ボタンを押し込み始めてからスイッチが反応するまでの時間を短縮できるという。
加えて,最大8000Hzという非常に高いUSBレポートレート(ポーリングレート)を実現する「CORSAIR AXON Hyper-Processing Technology」(以下,AXON)を採用するという特徴もある。QuickStrikeとAXONを組み合わせることで,高い応答速度が求められるeスポーツタイトルに対応できるというわけだ。
K70 RGB TKL
K70 RGB TKLは,フルキーボードから,10キーを省略したコンパクトなキーボードである(関連記事)。
マウスのトラッキング解像度を下げて精度を上げる「ローセンシ」な設定を好むゲーマーの場合,手や腕を大きく動かすためのスペースが必要なことから,こうした小型キーボードを好むことが多いようだ。また,ゲーム大会の会場に使い慣れた周辺機器を持ち込むために,大荷物を持って自宅や練習場から移動することの多いプロゲーマーにとっても,持ち運びやすさは重要な要素と言える。
機能面では,SABRE RGB PROと同じAXONの採用が見どころだ。最大8000HzのUSBレポートレートでキー入力をPCに送れるので,入力遅延の悪影響が出にくくなる。
また,あらかじめ設定したマクロ機能や,LEDイルミネーションのエフェクトを強制的にオフにする「Tournament Switch」の搭載もポイントだ。eスポーツタイトルの場合,公平さを保つためにマクロ機能の利用が禁止されている場合が多い。Tournament Switchをオンにすると,マクロ機能が使えなくなるだけでなく,LEDイルミネーションも赤色だけになる。頻繁に使うようなものではないだろうが,こうした機能もプロ向け製品ならではといったところか。
K70 RGB TKLは,キースイッチとして,入力の速さを重視した「Cherry MX Speed Silver」を採用したモデルと,抵抗感のないリニアな押し心地が特徴の「Cherry MX RGB Red」を採用したモデルの2種類をラインナップする。好みに合わせて選ぶといいだろう。
HS80 WIRELESS
HS80 WIRELESSは,Corsair独自のワイヤレス技術「Slipstream Wireless Technology」(以下,Slipstream)によるワイヤレス接続と,USBでのワイヤード接続に対応したヘッドセットで,PCに加えてPlayStation 5(以下,PS5)とPlayStation 4(以下,PS4)で使用できる(関連記事)。
HS80 WIRELESSが採用するSlipstreamは,遅延の少なさと安定した接続を特徴とする技術だ。ゲームをプレイするときには,ワイヤード接続でないと安心できないという人はいるだろう。しかし,4Gamerの検証では(※HS80での測定ではないが),Slipstreamによるワイヤレス接続とワイヤード接続を比べても,遅延にほどんど差は見られなかった。ワイヤレス接続が不安だというゲーマーにも手に取って試してほしいところだ。
さらにHS80 WIRELESSは,付属のUSBワイヤレスアダプターでPS5と接続したときに,PS5の立体音響技術「Tempest 3D Audio」に対応するのもポイントだ。PCだけでなく,PS5でもゲームをプレイする人なら,より一層魅力的と言えるのではないか。
「コンパクトな周辺機器が好き」
な人向け3点セット
- マウス:HARPOON RGB WIRELESS Gaming Mouse(以下,HARPOON RGB WIRELESS),実勢価格8800円前後
- キーボード:K65 RGB MINI 60% Mechanical Gaming Keyboard(以下,K65 RGB MINI),実勢価格1万4000円前後
- ヘッドセット:HS70 Wired Gaming Headset with Bluetooth(以下,HS70 BLUETOOTH),実勢価格1万5500円前後
次は「机が狭くて周辺機器を置くスペースが少ない」という人や,そもそもコンパクトな製品が好きだという人にオススメしたい製品を紹介しよう。
ここで取り上げるのは,ワイヤレス&ワイヤード両対応マウス「HARPOON RGB WIRELESS」と,キーボード「K65 RGB MINI」,ワイヤレスヘッドセット「HS70 BLUETOOTH」の3製品だ。
K65 RGB MINI |
HS70 BLUETOOTH |
HARPOON RGB WIRELESS
HARPOON RGB WIRELESSは,公称本体サイズが68.3(W)
先に紹介したHS80 WIRELESSと同様に,Corsair独自のワイヤレス技術Slipstreamに対応しており,有線接続と比べても遜色ない低遅延や安定した接続を実現できる。Bluetoothによる接続にも対応しているので,USBワイヤレスアダプター経由のSlipstream接続でデスクトップPCと,Bluetooth接続でノートPCと,といった具合に2台のPCでHARPOON RGB WIRELESSを共用できるのもポイントである。
また,Slipstream接続時で最大45時間,Bluetooth接続時で最大60時間のバッテリー駆動を可能とするタフネスぶりも見どころと言えよう。
K65 RGB MINI
K65 RGB MINIは,「60%キーボード」と呼ばれることもある小型の10キーレスキーボードで,10キーだけでなく,ファンクションキーや矢印キーなどを省略することで小型化を実現している(関連記事)。
PFUが手がける「Happy Hacking Keyboard」シリーズに代表されるように,こうしたミニキーボードは,以前から存在しており,根強い人気があった。ただ,ゲーマー向け製品が登場したのは,比較的最近である。ゲーマー向けでは歴史が浅いこともあってか,日本語配列モデルが少ない点がネックとなりがちだ。日本語配列のミニキーボードを探そうとしたとき,真っ先に候補となるのがK65 RGB MINIなのだ。
公称本体サイズは,320(W)×117(D)×67(H)mmで,横幅が400mmをゆうに超える一般的なフルキーボードや,横幅350mm前後の10キーレスキーボードに比べるとかなり小さい。その分,机のスペースを広く空けて,マウスを大きく動かせるというわけだ。
なお,省略したキーは[Fn]キーと他のキーによる同時押しで入力可能だ。また,Corsairの統合設定ソフトウェア「iCUE」から,キーの割り当ても変更できる。ただし,[Fn]キーと組み合わせたキー入力は,少し慣れが必要なので,ファンクションキーを使う機会が多いのであれば,通常の10キーレスキーボードを選ぶといいだろう。
またK65 RGB MINIは,K70 RGB TKLと同じくAXONに対応しており,最大8000HzのUSBレポートレートを実現するのも見どころである。日本語配列モデルのキースイッチは,入力の速さが特徴である「Cherry MX RGB Speed」を採用しており,AXONとの組み合わせによる低遅延にも注目だ。
HS70 BLUETOOTH
HS70 BLUETOOTHは,Bluetooth接続とUSB接続,およびアナログ接続に対応したヘッドセットである(関連記事)。
PCやゲーム機とワイヤード接続したまま,スマートフォンとBluetoothで接続するといった具合に,複数のデバイスと同時に接続できるのがHS70 BLUETOOTHの特徴だ。
ヘッドバンドとヘッドセットのハウジングをつなぐ部分に,アルミニウム合金を用いることで高い耐久性を備える。また,イヤーパッドは,耳の形に合わせて形状が変わる低反発フォームを採用しているので,長時間装着し続けていても耳が痛くなりにくいのもポイントだ。
「一番いいのを頼む」
人向けの3点セット
- マウス:SABRE RGB PRO WIRELESS Gaming mouse(以下,SABRE RGB PRO WIRELESS),実勢価格1万3300円前後
- キーボード:K100 RGB Gaming Keyboard(以下,K100),実勢価格3万5000円前後
- ヘッドセット:VIRTUOSO RGB WIRELESS XT High-Fidelity Gaming Headset(以下,VIRTUOSO RGB WIRELESS XT),実勢価格3万8500円前後
最後に紹介するのは,「予算は問わないので,とにかく一番いい製品がほしい。最高の環境でゲームをプレイしたい」という人に向けた製品だ。
ここで取り上げるのは,ワイヤレスマウス「SABRE RGB PRO WIRELESS」と,ワイヤードキーボード「K100」,ワイヤレスヘッドセット「VIRTUOSO RGB WIRELESS XT」という3製品で,いずれもそれぞれのジャンルにおけるCorsairのフラグシップモデルとなる。
K100 |
VIRTUOSO RGB WIRELESS XT |
SABRE RGB PRO WIRELESS
SABRE RGB PRO WIRELESSは,先に紹介したSABRE RGB PROのワイヤレス対応モデルで,SlipstreamとBluetoothによるワイヤレス接続に対応するワイヤレスマウスだ(関連記事)。公称本体重量は約79gと,SABRE RGB PROの約74gよりは重いものの,わずか5g増えただけで,ワイヤレス化を実現してしまったことには驚かされる。そのうえ,この軽さで最大90時間という長時間のバッテリー駆動を実現したのも見どころと言えよう。
なお,持ち方を選ばないオーソドックスな形状や,QuickStrikeを採用したメインボタンといった特徴は,SABRE RGB PROと変わらない。
また,SABRE RGB PRO WIRELESSは,搭載センサーに独自のハイエンドセンサーを採用するのもポイントだ。SABRE RGB PROは,PixArt Imaging製光学センサーでは上位モデルの「PMW3392」を採用している。それに対して,SABRE RGB PRO WIRELESSは,Corsair独自の光学センサー「CORSAIR MARKSMAN」を採用しているのだ。このセンサーは,ソフトウェアによる補正なしでトラッキング解像度が2万6000DPIに達するという高精細なセンサーであり,わずかなマウスの動きでも正確に捉えることが可能だ。センサーのスペックも重視したいという場合は,SABRE RGB PRO WIRELESSを選択するといいだろう。
K100
K100は,日本語108キー配列をベースとして,6個のマクロキー「G-key」を加えたフルキーボードだ(関連記事)。
K100は,キースイッチとして「Cherry MX Speed Silver」を採用するモデルと,Corsair独自の「CORSAIR OPX optical-mechanical keyswitch」(以下,OPX mechanical)を採用するモデルの2種類をラインナップしている。とりわけ注目したいのは,OPX mechanical搭載モデルだ。
OPX mechanicalは,キーの押し込み具合を光で検出するスイッチである。Corsairによると,OPX mechanicalの採用には,2つのメリットがあるという。1つは遅延の少なさだ。
一般的なメカニカルキースイッチの場合,接点でキースイッチのオンとオフが切り替わる瞬間に,短いサイクルでオンとオフを繰り返すバウンス現象が発生する。そのため,信号が安定するまでの間はキーのオン/オフを判定しないように,数msの遅延を入れる「デバウンス」の必要がある。しかし,光で入力を検知する光学式スイッチであれば,デバウンスが必要がないので,その分遅延を低減できるというわけだ。
また,K100もAXONを採用しており,光学式キースイッチの採用と合わせて,8000Hzという高速なUSBレポートレートを最大限に生かせるのだ。
OPX mechanicalを採用するもう1つのメリットは,耐久性の向上だ。摩耗する金属接点がないので高い耐久性を有する。Corsairによると,一般的なメカニカルキースイッチの約1.5倍となる1億5000万回の押下に耐えるという。
本体左端に並ぶG-keyは,iCUEによるキーの割り当てやマクロ設定だけでなく,Elgatoブランドのキャプチャデバイス用設定ソフト「Stream Deck」の機能を割り当てることも可能だ。たとえば,配信・録画ソフト「OBS Studio」における,ゲーム画面の録画開始・終了ボタンや,音声ミキサーなどの機能を設定しておくことで,マウスでの操作やキーボードショートカットよりも簡単かつ素早く操作できる。ゲームではキーマクロを使わないという人でも,G-keyは役立つ場面が多いのではなかろうか。
VIRTUOSO RGB WIRELESS XT
最後に紹介するVIRTUOSO RGB WIRELESS XTは,SlipstreamとBluetoothによるワイヤレス接続と,USBによるワイヤード接続,さらに4極3.5mmミニピン端子によるアナログ接続に対応したヘッドセットだ(関連記事)。こちらもHS70 BLUETOOTHと同様に異なる方式の接続方法を同時に利用できるのが特徴で,Slipstreamで接続したPCでゲームをプレイしながら,Bluetoothや3.5mmミニピン端子で接続したスマートフォンで同時に通話するといった使いかたができる。
着脱式のブームマイクは,比較的サイズが大きい。4Gamerのレビューでは,YouTubeでの実況やDiscordのボイスチャットでいい音に聞こえるよう調整されていることを確認できた。普段からゲーム実況をしたり,Discordでの音声コミュニケーションを行っていたりするゲーマーであれば,VIRTUOSO RGB WIRELESS XTの良さをさらに生かせるだろう。
イヤーカップは,HS70 BLUETOOTHなどと同じく,低反発フォームを採用している。柔軟で締め付けがゆるめなヘッドバンドと合わせて,長時間着用していても,頭や耳が痛くなりにくいのもうれしいポイントだ。
Corsairのゲーマー向け周辺機器を組み合わせて,ゲーム環境を改善しよう
本稿では,3パターンの組み合わせによる計9製品を紹介したが,Corsair製ゲーマー向け周辺機器は,いずれも使い勝手に優れた,非常にバランスの良い製品がそろっている。マウスの形状やキーボードの配列,キースイッチは,ゲーマーそれぞれでこだわりや好みがあるので,本稿を参考に,できれば店頭で手に取って確認すると好みに合ったものを選べるのではないだろうか。
また,今回紹介した組み合わせはあくまで一例であり,たとえば多ボタンマウスが好きだという人は,「DARK CORE RGB PRO」シリーズや,「NIGHTSWORD RGB」といった製品を選ぶという手もある。幅広いラインナップを誇るCorsairであれば,ニーズを満たした製品が必ず見つかるだろう。
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