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<パンデミックの影響で異例の1年延期、ほぼ無観客、さらに開催都市への関心も今ひとつ?> 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)のなか開幕した東京五輪は、近代五輪史上で他に類を見ない異例の大会となっている。だが、偉大なアスリートたちが競い合う雄姿を、テレビで視聴する人がどれだけいるのだろうか。多くのプロスポーツリーグが視聴者数の減少に頭を悩ませるなか、東京五輪もまた、TV視聴率が振るわない結果となる可能性がある。 アメリカ国内でオリンピック・パラリンピックの独占放映権を持つNBCには、視聴者を確保する上で幾つもの難題に直面している。まず、パンデミックの影響で東京五輪が1年延期されたこと。日本での新型コロナ感染拡大により、東京大会はほぼ無観客での開催が決定していることも、大会の様相を大きく変える要因だ。 予定どおり2020年に開催されていたとしても、東京五輪に対する人々の関心は薄かった可能性がある。スポーツ・メディア・ウォッチ社によれば、2016年のリオデジャネイロ五輪では、NBCのゴールデンタイムの放送視聴率は平均14.4%(視聴者数2540万人)。視聴率が良かった2012年のロンドン五輪から18%の減少で、夏季五輪のテレビ視聴率としては、2000年以降で最低だった。2008年の北京大会では、ゴールデンタイムの平均視聴率は16.2%(視聴者数は平均2770万人)だった。 プロスポーツも無観客は低視聴率 ハリウッド・リポーター誌によれば、アメリカではケーブルテレビまたは衛星放送の加入世帯数が、2016年の8600万から、2021年のはじめには7700万にまで減っている。この数字にはHuluライブとYouTubeライブの購読世帯数も含まれるため、オリンピックの視聴率がさらに下がることは避けられないかもしれない。 視聴者は、各競技会場に観客が入っていないことを嫌うだろうか。それは分からないが、NHL(北米プロアイスホッケーリーグ)、NBA(米プロバスケットボール)やMLB(大リーグ)はいずれも、無観客試合のテレビ視聴率が低かった。それでも、そのほかの数多くの要素の方が、視聴率にもっとずっと大きな影響を及ぼしたことは明らかだ。 NBCスポーツの広報担当者はハリウッド・リポーターの取材に対して、「東京五輪が無観客で開催されることには落胆しているが、我々はずっと以前から、NBCの数多くのプラットフォーム上での視聴体験を充実させるための計画を推し進めてきた」と述べ、さらにこう続けた。「パンデミックの発生以降、無観客のイベントは数多く経験してきた。無観客は残念ではあるが、だからといってアメリカをはじめ世界中のアスリートたちの素晴らしい物語や成果が損なわれることはない」 ===== 調査会社モーニングコンサルトが3月に実施した調査では、アメリカの成人の61%が、東京五輪を「かなり」あるいは「幾らか」テレビで視聴するつもりだと回答した。 「事前調査の結果は、リオデジャネイロ五輪の時よりも少しマシだ」と、かつてNBCスポーツのリサーチャーを務め、現在はスポーツおよびメディア関連のコンサルティング企業JWB3メディア・インサイツを経営しているジョー・ブランは3月に語った。彼は当時、こうも述べていた。「これは開催都市である東京への関心度が影響しているのだと思う。一般にオリンピック関連の放送を視聴しようという意思は、開催都市に対する関心と比例する。ロンドン大会の時がそのピークだったが、2028年に開催されるロサンゼルス五輪でも、その関心度合いはきわめて高くなるだろう」 NBCは19日間連続でオリンピックの放送を行う予定だ。東京と米東部標準時は13時間の時差があるため、多くの競技はゴールデンタイムに録画を再放送することになる。