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<元安全保障担当補佐官が、現実を直視できないトランプとバイデンがいかにアフガニスタン政策を誤ったかを指摘> H・R・マクマスター元米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、アフガニスタンからの米軍撤退は戦争の終結を意味する、という考えは「自己欺瞞」にすぎないと警告した。 「現代の辺境に命を捧げたわが国の兵士たちを称えるためには、アメリカは、自己欺瞞から抜け出し、この終わりなき永遠の戦争は、米軍の撤退によっては終わらないという現実に直面するべきだ」と、トランプ政権の国家安全保障大統領補佐官だったマクマスターは、NBCニュースの報道番組「ミート・ザ・プレス・サンデー」で語った。 EARLIER: "We all share responsibility" for the Afghanistan war which "ended in self-defeat," says former NSA H.R. McMaster on #MTP@LTGHRMcMaster: The Afghanistan war has been "a one-year war fought 20 times over with ineffective strategies based on flawed assumptions." pic.twitter.com/HiwqH4IjQu— Meet the Press (@MeetThePress) August 29, 2021 アフガニスタンからの米軍撤退のやり方について、トランプ政権とバイデン政権の両方を批判しながら、この戦争は自滅という形で敗北に終わった、とマクマスターは言う。 2017年の時点で「持続可能な取り組み」に着手していれば、タリバンによるアフガニスタンの政権奪取を防げる可能性があったが、当時のトランプ大統領は計画を放棄し、「オバマ政権のときと同じ問題をさらに悪化させた」と述べた。 「彼らは、たとえイスラム過激派組織に降伏しても、その結果として悪いことなど起こらないと自分に思い込ませたのだ」と、彼は言った。「結果は、ご覧の通りだ」。 タリバンをつけあがらせた マクマスターは、アメリカがいかにアフガニスタン政府と政府軍の心理に「次々と打撃を与えてきたか」を説明し、アフガニスタン政府にとっては、この上「(アメリカとタリバンの)和平交渉に加われないというという打撃に耐えることは不可能だった」と語った。 「トランプ政権時代の政策が引き起こした最も嘆かわしい結果は、アメリカが実質的にタリバンを強くしてしまったこと、そして米軍撤退の過程でアフガニスタン政府と政府軍を弱体化させたことだ。それはバイデン政権でさらに悪化し、挽回できなかった」と、マクマスターは指摘した。 マクマスターのコメントと前後して、米議会や国家安全保障の専門家からも、アフガニスタンからの米軍撤退のやり方を批判する声があがっている。最近、フロリダ州選出のマイケル・ワルツ下院議員(共和党)は、米軍撤退はアルカイダの復活につながると述べた。 過激派組織「イスラム国」(IS)傘下のグループ「ISホラサン州」(IS-K)は、8月26日にカブール国際空港でテロ攻撃を実行し、米軍人13人とアフガニスタン人160人以上を殺害した。アメリカはテロを企てたIS-Kの計画者をドローンで攻撃し、殺害した。 バイデンは8月28日の演説で、これは報復の最終形態ではないと言明。そしてアメリカは「凶悪なテロ攻撃に関与した者を今後も追い続け、代償を払わせる」と約束した。 ===== 番組出演中、マクマスターはタリバンを打ち負かすことはできたし、アフガン軍は「時とともにゆっくりと強くなる道を」歩んでいたと語った。米軍撤退を前提としてタリバンと和平交渉するのも「筋がとおらない」」と付け加えた。 「結果として起きたのは、タリバンへの譲歩に次ぐ譲歩だった。そしてそこからは何も生まれなかった」 マクマスターは28日、公共放送ネットワーク(PBS)のインタビューにも答えた。アフガニスタンから撤退するアメリカに「屈辱を与える」試みの一環として、タリバンがカブール空港の攻撃を扇動した可能性を示唆した。