ヒト科の犬歯、450万年前に「縮小し始めた」と推定 東大研究

現代人の犬歯はいつ縮小に転じたのか?
Credit: Suwa(phys) – Statistical methods used to estimate when canine teeth shrunk in modern humans(2021)

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ゴリラやチンパンジーといった霊長類では、普通、オスがメスより大きな犬歯を持っています。

ところが、現代人の男性の犬歯は、類人猿の中で最も小さく、女性と比べても大して変わりありません。

現代人の犬歯がいつ頃から縮小し始めたのか、これは人類学の大きな謎でした。

今回、東京大学総合研究博物館の人類学教授、諏訪元(すわ・げん)氏の率いる研究チームは、過去数百万年におけるヒト科の歯を集めて、犬歯の変化を調査。

その結果、ヒト科の犬歯は、約450万年前に縮小に転じたことが示唆されました。

研究論文は、「Canine sexual dimorphism in Ardipithecus ramidus was nearly human-like」のタイトルで、学術誌『PNAS』に掲載されています。

目次 約450万年前に「縮小」に転じた可能性が浮上 約450万年前に「縮小」に転じた可能性が浮上 チンパンジーのような類人猿のオスは、メスよりも大き…

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参考文献

Statistical methods used to estimate when canine teeth shrunk in modern humans
https://phys.org/news/2021-11-statistical-methods-canine-teeth-shrunk.html

元論文

Canine sexual dimorphism in Ardipithecus ramidus was nearly human-like, Proceedings of the National Academy of Sciences (2021)

2000年前のカナダ先住民は、オス鮭ばかり獲り、メスは逃していた

2000年前の先住民は、オスのサケをメインに漁獲し、メスは逃していた
Credit: Thomas Royle et al., Scientific Reports(2021)

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人類は古くから、海や山の幸など「自然の恵み」によって命を繋いできました。

しかし、川魚のように豊富に存在する資源も乱獲が行き過ぎると、繁殖が追いつかずに枯渇し、失われてしまう恐れがあります。

では、海や川の魚に頼って生きていた古代人は、どうやってこの問題をクリアしたのでしょうか。

カナダの複数大学による共同研究チームはこのほど、北アメリカの北西部沿岸に数千年にわたって居住してきたツレイル・ウォウトゥス(Tsleil-Waututh)族と協力し、当時のサケ漁の実態を調査。

その結果、地元先住民は、オスをメインに漁獲し、メスの多くは獲らないことで、サケの枯渇を防いでいたことが示唆されました。

当時の人々はすでに、メスを獲り過ぎるとサケ漁が続かなくなることに気づいていたのでしょうか。

研究は、11月10日付けで学術誌『Scientific Reports』に掲載されています。

 

目次 PCR法から「オス鮭」ばかり食べていたことが判明「持続可能な漁獲システム」を目的としていた? PCR法から「オス鮭」ばかり食べていたことが判明…

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参考文献

2,000-Year-Old Salmon DNA Reveals Secret to Sustainable Fisheries
https://www.the-scientist.com/news-opinion/2000-year-old-salmon-dna-reveals-secret-to-sustainable-fisheries-69466

元論文

Indigenous sex-selective salmon harvesting demonstrates pre-contact marine resource management in Burrard Inlet, British Columbia, Canada
https://www.nature.com/articles/s41598-021-00154-4

ペルー遺跡で千年前の「縄で縛られたミイラ」を発見

南米ペルーの遺跡で発見、縄で縛られたミイラ
Credit: Reuters/youtube(2021)

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南米ペルーにある遺跡にて、800年以上前のものと推定されるミイラが発見されました。

ミイラは縄で縛られた状態で地下墓地に安置されており、保存状態がかなり良いとのこと。

発見したサンマルコス州立大学(CSUSM・米)の考古学チームは、紀元800〜1200年の間にアンデス山脈で見られた儀式の一環と考えています。

目次 アンデス民族は、世界で初めて「ミイラ化」を始めた アンデス民族は、世界で初めて「ミイラ化」を始めた 今回のミイラは、ペルーの首都リマから約24…

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参考文献

Archaeologists Discover 800-year-old Rope-bound Mummy in Peru
https://www.ancient-origins.net/news-history-archaeology/rope-bound-mummy-0016122
Archaeologists unearth mummy estimated to be at least 800 years old in Peru
https://www.theguardian.com/world/2021/nov/27/archaeologists-unearth-mummy-estimated-to-be-at-least-800-years-old-in-peru

11歳の少女が、30枚しか見つかっていない「ユダヤ戦争」のコインを発見

11歳の少女が2000年近く前のレアなコインを発見
Credit: Yaniv Berman, City of David and the Israel Antiquities Authority(2021)

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イスラエル考古学庁(IAA)はこのほど、同国エルサレムで発掘プロジェクトに参加していた11歳の少女、リール・クルトコップ(Liel Krutokop)さんが、2000年近く前のレアなコイン(銀貨)を発見したと発表しました。

コインは、ユダヤ属州を支配していたローマ人に対する最初の大反乱、ユダヤ戦争(Great Revolt)の際に司祭が鋳造したもの。

ユダヤ人の反乱と独立のシンボルとして作られたと考えられます。

また、ユダヤ戦争時に鋳造されたコインは、これまで30枚ほどしか見つかっておらず、非常に貴重な発見となっています。

目次 コインは「民族独立」のシンボル コインは「民族独立」のシンボル クルトコップさん(11)は、エルサレムにあるダビデの町国立公園(City of…

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参考文献

11-year-old finds ‘Holy Jerusalem’ silver coin likely minted in the Temple
https://www.jpost.com/archaeology/11-year-old-finds-holy-jerusalem-silver-coin-likely-minted-in-the-temple-685758
Girl, 11, finds rare 2,000-year-old coin in Jerusalem that was minted by a priest in 68BC who joined the Jewish rebels during the Great Revolt against the Romans
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-10234715/Girl-11-finds-2-000-year-old-coin-minted-Jewish-priest-68BC-joined-Great-Revolt.html?ns_mchannel=rss&ns_campaign=1490&ito=1490

「2000年前のローマ兵の短剣」をスイスのアマチュア探知家が大発見

発見された2000年前の古代ローマ兵の短剣
Credit: Archäologischen Dienst Graubünden (ADG) – Metal detectorist finds 2,000-year-old dagger wielded by Roman soldier in battle with Rhaetians(2021)

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スイスのアマチュア考古学者が、同国南東部で、古代ローマ兵の使っていた約2000年前の短剣を発見しました。

その後、専門の考古学研究チームが、短剣の出土した地を調査。

その結果、コインや盾の欠片を含む数百点の遺物が発見され、同地が、ローマ軍とラエティア人(後述します)による「失われた戦場(lost battlefield)」である可能性が高いことが判明しました。

「短剣は、ローマ兵の一人が戦争の勝利を祝って、意図的に埋めたものではないか」と考えられています。

目次 一生に一度の大発見! 一生に一度の大発見! 2018年の春、まだ歯学部の学生だったルーカス・シュミット(Lucas Schmid)氏は、スイス…

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参考文献

Metal detectorist finds 2,000-year-old dagger wielded by Roman soldier in battle with Rhaetians
https://www.livescience.com/metal-detectorist-finds-dagger-ancient-roman-battle

蘇生法にまつわる驚きの歴史「タバコ浣腸」

18世紀の心肺蘇生法とは
Credit:Depositphotos

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現代では、ほとんどの人が心肺蘇生法(CPR)を学ぶ機会があります。

医療従事者でなくても、心臓マッサージ(胸骨圧迫)と人工呼吸の方法、さまざまな場所に設置されているAEDの活用方法をある程度知っていることでしょう。

しかし、正しい心肺蘇生法がこれほど普及するまでには長い道のりがありました

今回は蘇生法の歴史と、その中で生まれてきた奇妙な治療法をご紹介します。

目次 18世紀の蘇生「溺れた少年が息を吹き返す」18~19世紀の蘇生法「タバコ浣腸」外科医たちの介入と現代の蘇生法 18世紀の蘇生「溺れた少年が息を…

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参考文献

Reversing death: the weird history of resuscitation
https://theconversation.com/reversing-death-the-weird-history-of-resuscitation-168592

25万年前に絶滅した小型ヒト属の「こぶしサイズの頭蓋骨」を発見

25万年前のヒト属の子どもの頭蓋骨を発見
Credit: WITS UNIVERSITY(sciencenews) – A child’s partial skull adds to the mystery of how Homo naledi treated the dead(2021)

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南アフリカにある遺跡で、約25万年前の絶滅したヒト属の頭蓋骨が発見されました。

ホモ・ナレディ(Homo naledi)」という非常に小柄なヒト属のもので、大きさは握り拳ほどしかありません。

子どもの頭蓋骨と推定されており、岩壁の間に安置されるように置いてあったとのこと。

ここから、ヒト属における埋葬文化が、従来考えられていたより、ずっと前から存在していたことが示唆されています。

研究は、11月4日付けで学術誌『PaleoAnthropology』に掲載されました。

目次 大人でも身長150cmの「ホモ・ナレディ」とは? 大人でも身長150cmの「ホモ・ナレディ」とは? ホモ・ナレディの化石が初めて見つかったのは…

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参考文献

Child fossil find in South Africa sheds light on enigmatic hominids
https://phys.org/news/2021-11-child-fossil-south-africa-enigmatic.html
A child’s partial skull adds to the mystery of how Homo naledi treated the dead
https://www.sciencenews.org/article/homo-naledi-child-skull-hominid-cave-discovery

元論文

Immature Hominin Craniodental Remains From a New Locality in the Rising Star Cave System, South Africa
https://paleoanthropology.org/ojs/index.php/paleo/article/view/64

かつてヨーロッパでは「人間の頭蓋骨を使った飲み薬」が流通していた

頭蓋骨の粉末を使った飲み薬
Credit:Depositphotos

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ヨーロッパではかつて人間の頭蓋骨が飲み薬として用いられていました

当時の医師たちは、頭蓋骨の粉末を含んだ薬が「あらゆる病気を治してくれる」と考えていたのです。

ほんの300年ほど前に流通していた狂気の治療薬について、当時の様子をご紹介します。

目次 チャールズ2世が死の淵で飲んだ「頭蓋骨の飲み薬」「頭を摂取すれば、頭の病気が良くなる」という考えが広まる頭蓋骨の薬は市場を大きくした後、科学に…

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参考文献

Europeans Once Drank Distilled Human Skulls as Medicine
https://www.atlasobscura.com/articles/drinking-skulls

現代人の祖先と見られる新人種が「ホモ・ボドエンシス」と命名される

現代人の直接祖先と思われる人種の新たな学名を命名
Credit: Ettore Mazza(phys) – Experts name new species of human ancestor(2021)

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今や世界人口は78億人を突破していますが、これらの人は全て「ホモ・サピエンス」というたった1種に属します。

しかしかつては、幾種類もの人類が地球を歩き回っていました。

その中で、どの種がホモ・サピエンスの直接祖先に当たるのかは、今もって調査中です。

そしてこのほど、カナダ・セルビア・中国・アメリカの国際研究チームは、現代人の直接祖先の可能性が高い人種の学名を新たに命名しました。

その名は「ホモ・ボドエンシス(Homo bodoensis)」

ホモ・ボドエンシスは、約50〜60万年前のアフリカにいた人種で、現代人につながる系統の解明に役立つと考えられます。

研究は、10月28日付けで学術誌『Evolutionary Anthropology』に掲載されました。

 

目次 混沌とする「人種」の世界 混沌とする「人種」の世界 発見された古代人の化石が、既知の種に属するのか、あるいは新種なのかを決めるのは、非常に難し…

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参考文献

Newly named human species may be the direct ancestor of modern humans
https://www.livescience.com/new-human-species-named-bodoensis
Experts name new species of human ancestor
https://phys.org/news/2021-10-experts-species-human-ancestor.html

元論文

Resolving the “muddle in the middle”: The case for Homo bodoensis sp. nov.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/evan.21929

聖書のモチーフが彫刻された「2000年前のアメジスト」がエルサレムで見つかる

エルサレムで発見されたライラックのアメジスト
Credit:Eliyahu Yanai(City of David)_נחשף חותם ראשון מסוגו מתקופת בית שני

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エルサレム旧市街にある「嘆きの壁(Western Wall)」の基礎部分から、2000年前のものと思われる「ライラックアメジスト」が発見され話題となっています。

この古代のアメジストが話題となる理由には、考古学的に見て非常に興味深い点があるためです。

それは宝石に施された彫刻にあります。

ダビデの町(City of David)財団」は、この彫刻が聖書に登場する象徴的な植物「バルサム(学名:Commiphora gileadensis)の木」ではないかと推測しています。

バルサムが彫刻された宝石は、世界で初めての発見です。

目次 世界で初めて発見された「聖書のバルサム」が彫刻されたアメジスト 世界で初めて発見された「聖書のバルサム」が彫刻されたアメジスト 発見された宝石…

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参考文献

Unique Biblical “Persimmon” Amethyst Seal Discovered In Jerusalem Sewer
https://www.ancient-origins.net/news-history-archaeology/persimmon-amethyst-seal-0015974
נחשף חותם ראשון מסוגו מתקופת בית שני
https://www.cityofdavid.org.il/amethyst