クマムシを「量子もつれ」状態にすることに成功!

クマムシを「量子もつれ」状態にすることに成功! 実験後も生還
Credit:Canva , ナゾロジー編集部

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クマムシが量子的なもつれ状態になったようです。

シンガポールの南洋理工大学で行われた研究によれば、クマムシを極低温の量子ビット回路に組み込んだところ、クマムシにも量子世界に特有の、観察するまでは状態が確定しない「量子もつれ」に移行した、とのこと。

クマムシは絶対零度に近いマイナス272℃から水の沸点を上回る150℃までの温度を生き延び、宇宙空間でも10日間が生存可能と異常な能力が知られていますが、どうやら量子的な能力を獲得することも可能なようです。

研究内容の詳細は12月16日にプレプリントサーバーである『arXiv』にて公開されています。

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元論文

Entanglement between superconducting qubits and a tardigrade
https://arxiv.org/pdf/2112.07978.pdf

「原子を透明にする現象」が実験で観測される

原子を極端に冷やしたり押しつぶしたりすると、光を散乱させる能力が抑制されることが新しい研究で確認された
Credit: Christine Daniloff, MIT

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通常、私たちは原子にぶつかった光(光子)が散乱し、目に届くことで物質を見ることができます。

ところがMITのある研究者は30年前に、原子を超低温状態で、隙間なく高密度に配置したとき、光子がぶつかったエネルギーを散乱させる余地がなくなるため、原子が透明化するという予想をしていました。

そして今回、MITの研究チームはレーザーを使った超低温技術で実験を行い、実際に原子が光の散乱を38%も低下させるのを確認したと報告しています。

チームの考えでは、完全な絶対零度を実現できた場合には、原子は完全に光を散乱できなくなって見えなくなるといいます。

この研究の詳細は、11月18日付で、科学雑誌『Science』に掲載されています。

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参考文献

How ultracold, superdense atoms become invisible
https://news.mit.edu/2021/atoms-ultracold-scatter-light-1118
MIT Physicists Use Fundamental Atomic Property To Turn Matter Invisible
https://scitechdaily.com/mit-physicists-use-fundamental-atomic-property-to-turn-matter-invisible/

元論文

Pauli blocking of light scattering in degenerate fermions
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abi6153