<閲覧注意>命懸けで離陸する米軍機に取り付き、落下したアフガンの男たち

<突然の政権崩壊で混乱に陥ったアフガニスタンの首都カブールで、アメリカ人を国外退避させる米軍機に乗せてくれと追いすがる> 米軍の輸送機がアフガニスタンのカブール国際空港を離陸したとき、国外へ脱出しようと必死で機体に取り付いた若い男性が、上空から落下したと、現地報道が伝えた。その恐ろしい動画の視聴回数は100万回を超えた。 アフガニスタンの地元ニュース「アスバカ」が投稿した動画では、上空を飛行する機体から、識別不能の2つの「点」が落ちる様子が見てとれる。 「カブール空港から離陸する航空機を撮影したこの動画には、2人が飛行機から落ちて住宅街に突っ込んでいく様子が映っている」という説明が添えられた11秒の動画は、視聴回数が100万回を超えた。 落ちた2人はアフガニスタン人の男性で、米軍のC17輸送機の車輪付近にしがみついていたとアスバカは伝える。 Exclusive- A clear video (from other angle) of men falling from C-17. They were Clinging to some parts of the plane that took off from Kabul airport today. #Talibans #Afghanistan #Afghanishtan pic.twitter.com/CMNW5ngqrK— Aśvaka – آسواکا News Agency (@AsvakaNews) August 16, 2021 Exclusive – The video shows a flight from #Kabul airport where two people are thrown from a plane into the the people’s homes.#Afghanistan #Taliban pic.twitter.com/GlSgjNApJj— Aśvaka – آسواکا News Agency (@AsvakaNews) August 16, 2021 「カブール空港近くに暮らす地元の人たちの話によれば、航空機の車輪付近にしがみついていた若い男性が、住宅街の上に落下した」と、アスバカは8月16日のツイートのなかで述べている。「住民の1人はこの話を確認し、犠牲者が落下したときには大きな、すさまじい音がしたと話した」 ===== アスバカが公開した別の動画には、カブールのハイルカハナ地区近くの地面に落下した男性の遺体を、地元の人々が回収していると見られる様子が映っている(閲覧注意)。 Warning-Graphic Locals while collecting the bodies of three men Clinging to the wheels of the plane that took off from #Kabul airport, they were then fell to the ground near Khairkahana area of Kabul#Afghanistan #Taliban pic.twitter.com/N14U55CZmj— Aśvaka – آسواکا News Agency (@AsvakaNews) August 16, 2021 「カブール空港を離陸する航空機の車輪付近にしがみつき、その後、カブールのハイルカハナ地区近くの地面に落下した3人の男性の遺体を回収する住民」と、アスバカは説明している。 ジャーナリストのアフメル・ハーンが投稿した動画には、搭乗ブリッジに入り込もうとする無数の人々が、タラップをよじ登る様子が映っている。 The sheer helplessness at Kabul airport. It’s heartbreaking! #KabulHasFallen pic.twitter.com/brA3WRdPp8— Ahmer Khan (@ahmermkhan) August 16, 2021 「今朝のカブール空港では、絶望的な場面が繰り広げられている」と、ハーンはツイートした。「カブール空港には、無数のアフガニスタン人がいる。彼らは、動き出した飛行機を追って走っている」 別の動画には、滑走路を移動して離陸態勢に入ろうとする米軍機と、それに並んで走る大勢のアフガニスタン人たちが映っている。一握りの男性たちが翼の下に入り込み、機体側面にしがみついているように見える。 Not a

<カブール陥落>米大使館の屋上からヘリで脱出する「サイゴン陥落」再び

<バイデンが「ありえない」と言った「サイゴン陥落」がカブールでも起こった。バイデンは厳しい問いに直面することになる> アフガニスタンの反政府勢力タリバンが15日、首都カブールの主要施設を制圧する一方で、アメリカはカブールにある大使館の屋上からヘリコプターで職員を退避させる事態に追い込まれた。 ソーシャルメディアでは、ジョー・バイデン米大統領が先月の記者会見で「起こりえない」と言っていた状況がまさに現実のものになったと話題になっている。 1975年に南ベトナムの首都サイゴン(現在のホーチミン市)が陥落してベトナム戦争が終結した際には、アメリカ大使館の屋上から人々がヘリコプターで救出される写真が多くのメディアで報道された。 バイデンは7月8日、アフガニスタンからの米軍の全面撤退について記者会見した際、アメリカ国民があの時のような映像を見ることはないと断言していたのだ。 「タリバンは北ベトナム軍ではない。(両者は)能力という意味で比べものにならない。人々がアフガニスタンのアメリカ大使館の屋上からヘリコプターで運び出されるのを目にする状況にはならないだろう。まったく比較にならない」とバイデンは述べた。 Perfectly Aged Biden in July: “The Taliban is not the North Vietnamese army. They’re not remotely comparable in terms of capability. “There’s going to be no circumstances where you’re going to see people being lifted off the roof of a US Embassy in Afghanistan.” pic.twitter.com/Dw7ghFs8Vz— IndSamachar News (@Indsamachar) August 15, 2021 だが15日、インターネットやメディアではカブールのアメリカ大使館の屋根から職員を退避させるヘリコプターの映像が流れ始めた。ロイター通信やワシントン・ポストを初めとする報道機関は、タリバンがカブール中心部に迫る中、アメリカがヘリコプターを使って職員を緊急避難させていると伝えた。 ■カブールvsサイゴン PHOTO 1: US diplomat evacuate US from embassy via helicopter as the #Taliban enter #Kabul from all sides. #Afghanistan (2021)PHOTO 2: US diplomat evacuate US from embassy via helicopter as the PAVN & Viet Cong capture of Saigon, Vietnam (1975) pic.twitter.com/YamWmzjOay— Stefan Simanowitz (@StefSimanowitz) August 15, 2021 「米史上最長の戦争」のあっけない幕切れ ツイッターでは、7月の記者会見でバイデンが「そんな状況は起こりえない」と語る動画が拡散された。このバイデンの発言を引用しつつ、1975年のサイゴンと今回のカブール、それぞれの大使館からヘリコプターで職員らが退避する写真を並べた投稿も多くの人にシェアされた。 もともと駐留米軍の完全撤退は、トランプ前政権がタリバンとの間で締結した和平合意に盛り込まれたものだった。にも関わらず、共和党の下院議員らは撤退をめぐってバイデンを強く批判している。ツイッターでも議員らは「これはたった38日前の発言」というキャプションを付けて、バイデンの7月の記者会見の動画をシェアした。 また、バイデンは7月8日の記者会見で、タリバンによる政権奪還は「不可避」なのではとの懸念を一蹴した。アメリカが支援してきたアフガニスタン政府の瓦解は近いとする見方についても否定的で、「私はアフガニスタン軍の能力を信頼している。訓練も装備も、戦争の遂行という意味での能力も向上している」とバイデンは述べた。 アフガニスタンへの派兵はアメリカにとって「史上最も長い戦争」となっていた。米軍は9・11同時多発テロを受け、2001年に同国に侵攻。それからもうすぐ20年になる。 ===== ドナルド・トランプ前大統領はアフガニスタン駐留を続けることは「ばかげており」、アメリカの国益にとってためにならないとつねづね述べていた。そしてマイク・ポンペオ国務長官(当時)の主導の下、トランプ政権はタリバンと交渉を行い、昨年2月に和平合意にこぎ着けた。合意には米軍は今年5月1日までにアフガニスタンから全面撤退することが盛り込まれた。 1月に大統領に就任したバイデンは、この合意に従うことを選択したが、撤退期限は8月末に変更されたが、その前にアフガニスタン政府は瓦解してしまった。 先週、タリバンが急速に支配地域を拡大する中でも、バイデンは米軍の全面撤退は正しいとする姿勢を変えなかった。9.11を計画・実行した国際テロ組織アルカイダの制圧はとっくの昔に果たされた、というわけだ。 「私は決断を後悔していない」とバイデンは述べた。「アフガニスタンの指導者らは力を合わせなければならない。われわれは数多くのアメリカ兵を死や負傷で失った。アフガニスタン政府軍の兵士たちも自分のために、自分たちの国のために戦わなければならない」 アメリカは「破綻国家を建設していた」 アメリカの情報関係者や軍事専門家からは、1カ月以内、長くても3カ月のうちにタリバンがカブールを制圧する可能性があるとの声が上がっていた。だがバイデン政権は、タリバンがこれほど急速に支配地域を拡大するとは思っていなかったようだ。米軍撤退に関してバイデン政権を批判する人は多いが、この決断を擁護する人もまた多い。 米シンクタンク「ディフェンス・プライオリティーズ」の政策ディレクター、ベンジャミン・フリードマンは本誌の取材に電子メールでこう答えた。「(現在の状況は)どんなタイミングであれ米軍の撤退に合わせて起こりうる事態だった。それが10年前であっても10年後であってもだ」 また、フリードマンはこうも述べた。「今回の(政権)崩壊のスピードに驚く人は多い。だが、事態の進展に関して当局がどうごまかそうと、われわれは破綻国家を立ち直らせていたのではなく、破綻国家を建設していたのだという事実を隠しおおすことはできないだろう。米軍が撤退する一方で、アフガニスタン軍はほとんどの地域で相手方についたり、単に戦列を離れたりして、まともに(タリバンと)戦わなかった」 ===== ■カブール陥落vsサイゴン陥落 PHOTO 1: US diplomat evacuate US from embassy via helicopter as the #Taliban enter #Kabul from all sides. #Afghanistan (2021)PHOTO 2: US diplomat evacuate US from embassy via

タリバンがアフガニスタンを奪い返す勢い──バイデンは何を読み違えたのか

<米軍撤退の方針に変化はなく、タリバンが首都カブールも制圧する事態になれば、アフガン侵攻から20年間の進歩は全て無に帰す> アフガニスタンの反政府勢力タリバンは8月12日、同国南東部ガズニ州の州都ガズニを制圧した。この1週間でタリバンの手に落ちた州都は、これで10カ所目だ。(注:報道によると、タリバンはその後一夜にして、人口で第2、第3の都市であるカンダハルとヘラートも制圧した)。 同盟諸国の軍がアフガニスタンからの撤退を進めるなか、タリバンは急速に国内の幅広い地域を掌握しつつある。この事態に当局者…

米軍はベトナムで起きた悲劇を、アフガンでも繰り返そうとしている

<米軍のアフガニスタン完全撤退は8月末に迫っているが、タリバンの報復を恐れる「米軍協力者」たちの国外退避は進まず> バイデン米政権は8月末までにアフガニスタンから米軍を完全撤退させるとしている。だが米軍が去れば、米軍に協力してきた通訳などのアフガン人が反政府武装勢力タリバンに報復される恐れがある。 タリバンが支配地域を急速に拡大するなか、多くの現地協力者とその家族が国外退避を希望。アメリカに永住できる特別移住ビザの申請件数は2万件に達しているが、手続きは遅々として進んでいない。タイムリミットが迫るな…