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<独マックスプランク海洋微生物学研究所などが、「地球の自転速度の変化が地球大気の酸素化と関連している可能性がある」との新たな説を発表した> 地球は、約45億年前に誕生して以降、月の引力によって自転速度が遅くなり、1日の長さが徐々に伸びている。 1日の長さはわずか6時間だった 地球誕生直後の1日の長さはわずか6時間であったが、14億年前には約18時間40分にまで長くなった。1日の長さは、1世紀あたり1.8ミリ秒長くなっていると推定されている。 また、地球誕生直後、地球大気や海洋にはわずかな酸素しか存在しなかった。約24億年前、酸素発生を伴う光合成を行う藍藻(シアノバクテリア)が誕生して繁殖し、大量の酸素を放出した「大酸化イベント(GOE)」と呼ばれる現象により、大気中の酸素が大幅に増えたと考えられている。 「自転速度の変化が大気の酸素化と関連している可能性がある」 独マックスプランク海洋微生物学研究所、米ミシガン大学アナーバー校らの研究チームは、地球の自転速度の変化と大酸化イベントに着目。2021年8月2日、学術雑誌「ネイチャージオサイエンス」で「地球の自転速度の変化が地球大気の酸素化と関連している可能性がある」との新たな説を発表した。 研究チームは、この説を検証するため、北米の五大湖のひとつ「ヒューロン湖」の水深80フィート(約24.4メートル)の陥没穴で微生物マットの試料を採取した。この水域は比較的浅く、藍藻が太陽光を十分に吸収して光合成できる一方、湖底から貧酸素水や硫黄ガスが湧き出ており、太古の地球と似た酸素欠乏状態になっている。 この微生物マットにハロゲンランプで人工的に光を与え、光合成によって放出される酸素量を調べたところ、照射時間が長くなるほど、微生物マットから放出される酸素量が増えることがわかった。 さらに研究チームは、地球規模で太古の藍藻が発生させた酸素量を算出する数値モデルを構築し、シミュレーションを行った。その結果、地球の酸素量は段階的に増えたことが示された。 具体的には、約24億年前の大酸化イベントを起点として酸素量が大幅に増加した後、酸素量がほぼ一定となる期間を経て、約5〜7億年前の「新原生代酸化イベント(NOE)」と「古生代酸化イベント(POE)」でさらに増加した。 1日の長さも同様の段階的なパターンで伸びていることから、日照時間が長くなることで微生物の光合成が活発になり、酸素量が増加したのではないかと考えられている。 地球科学において長年の疑問だった 研究論文の責任著者でミシガン大学アナーバー校のグレゴリー・ディック教授は「地球科学において『地球大気がどのように酸素を得、どのような要因が地球大気の酸素化のタイミングを制御したのか』が長年の疑問であった」とし、「この研究成果は、地球の自転速度、つまり1日の長さが、地球の酸素化のパターンやタイミングに重要な影響をもたらしている可能性があることを示している」と述べている。