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国際宇宙ステーションからみた地平線の眺め
Credit:NASA

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温暖化は現代のキーワードとも言える、人類の抱える大きな課題となっていますが、地球の気候変動は何も今になって始まったことではありません。

地球の気候は長い年月の中でダイナミックに変化しており、温暖化問題を考える際も、これは自然のサイクルであって人類の活動はあんまり関係ないんじゃないか? と考える人たちも多く存在します。

そこで、米国アリゾナ大学が主導した新しい研究は、、氷河期以降の地球の気候を再構築し、過去2万4000年間の地球上の気温変化を200年間隔でマッピングしました

その研究結果は、いかに人間の活動が自然なサイクルの限界を超えて気温を押し上げているかを浮き彫りにしている、と研究者は話します。

研究の詳細は、2021年11月10日付けで科学雑誌『nature』に掲載されています。

目次

  • 地球の気温変化の歴史を再構築する
  • 2万4000年間の地球の気温変化を一目で見る

地球の気温変化の歴史を再構築する

2万4000年前までさかのぼった地球のさまざまな機関の平均表面温度を示した地図。青が濃いほど寒い。
Credit:The University of Arizona,Global Temperatures Over Last 24,000 Years Show Today’s Warming ‘Unprecedented'(2021)

今回の研究は、過去2万4000年の間の地球の温度変化を調査しています。

しかし、古い時代の気温をどうやって明らかにしているのでしょうか?

これにはさまざまな方法が存在しますが、今回チームは2つの独立した異なる方法のデータセットを組み合わせることで、過去の地球気温の完全な全体像を作成しようと試みました

1つ目の方法は、海洋堆積物の化学的特徴の調査です。

海洋堆積物に含まれる、動物の死骸(殻)には、時間経過に伴う温度変化の影響が化学的性質として保存されています。

古気候学では、これを測定値として使用し、特定の地域の温度を推定していきます。

これは完璧な温度計とは言えませんが、古い時代の気温を知るための手がかりとなります。

もう1つの方法は、コンピュータシミュレーションで再現された気候モデルです。

これは気候システムの物理学をよく理解している科学者によって提供される情報ですが、こちらも完全なものとはいえません。

チームはこの2つの方法のそれぞれの長所を活用し、組み合わせて、データを作成しました

こうした手法は「データ同化(data assimilation)」と呼ばれていて、地球科学の分野では、正確な数値モデルを作る際によく利用されています。

天気予報でも一般的に利用されている方法です。

「天気予報では、気象学者は現在の天気を反映するモデルから始めて、次に温度、気圧、湿度、風向などの観測データを追加して、予測を完成させます」

アリゾナ大学で地球科学を専攻するジェシカ・ティアニー准教授はそのように説明しています。

チームはこれと同じことを、過去の地球の気候予測に適用させたのです。

では、実際にチームが作製した地図で、地球の気温が2万4000年間でどのように変化していったのか見てみましょう。

2万4000年間の地球の気温変化を一目で見る

過去2万4000年間の気温変化のマッピング
Credit:Popular Science,See 24,000 years of climate history at a glance(2021)/Matthew Osman

気候学の研究では、現在地球が最終氷期を終えてから温暖化に向かっているのか、寒冷化に向かっているのかが議論されてきました。

しかし、今回作成されたマップは、温暖化傾向に向かっていることがはっきりと示されています

この結果は、今年はじめに同じく『nature』で報告された気候モデリングに関する論文とも一致しています。

研究者によると、氷河後退後、炭素レベルは一貫して上昇していたにも関わらず、堆積物コアの調査から寒冷化の傾向が見つかったのは、北半球からの堆積物コアが、サンプルに多すぎたことが原因だったとしています。

また研究は、惑星の間氷期の気温が、以前に考えられていたよりもはるかに寒かったことも示されていると述べています。

同じ期間の平均温度変化をグラフで見たもの
Credit:Popular Science,See 24,000 years of climate history at a glance

この結果から見ると、地球の気温については、約1万8000年前から1万2000年の間に、2回ほど急激な上昇を見せています

こうした、2~3℃程度の温暖化は、間氷期の変化として見ることができます。

しかし、現代の気温については、産業革命以降から現代までの短い期間で大きく上昇しています。

これは1万2000年前から200年前までに起きた温暖化に匹敵する上昇量です。

パリ気候協定では、この急激な温暖化傾向を産業革命以前の気温から2.7℃以内に抑えようとしていますが、実際のところ、そのため約束は、ほとんどの国で実行されていません。

このデータからは、地球の自然な気候変動による温暖化傾向と、人類の関与が疑われる温暖化は明らかにレベルが違うと研究者は語っています。

しかしデータから受ける印象は、見る人よって大きく異なるかもしれません。

あなたはこのデータから何を感じ取るでしょうか?

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参考文献

Global Temperatures Over Last 24,000 Years Show Today’s Warming ‘Unprecedented’
https://news.arizona.edu/story/global-temperatures-over-last-24000-years-show-todays-warming-unprecedented
See 24,000 years of climate history at a glance

See 24,000 years of climate history at a glance

元論文

Globally resolved surface temperatures since the Last Glacial Maximum
https://www.nature.com/articles/s41586-021-03984-4
Globally resolved surface temperatures since the Last Glacial Maximum(Earth ArXiv版)
https://eartharxiv.org/repository/view/2219/