「40歳までの禁煙」でがん死亡リスクを87%改善できる

喫煙を45歳までにやめた場合、がんなどのリスクは87%低下する
Credit:depositphotos

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喫煙者は、喫煙したことがない人に比べてがんによる死亡リスクが3倍高くなることがわかっています。

ではもともと吸っていたけれど、喫煙をやめた場合、そのリスクはどの程度下げることができるのでしょうか?

アメリカがん協会(American Cancer Society)は、喫煙の開始と停止の年齢とがんの死亡率との関連を、40万人以上のアメリカ人を対象として大規模に調査しました。

その結果によると、45歳までに喫煙習慣をやめた場合、がんによる死亡リスクを87%低下させることができると報告しています。

この研究の詳細は、科学雑誌『JAMA Oncology』に10月21日付で掲載されています。

 

目次 喫煙に伴う過剰ながん死亡リスク 喫煙に伴う過剰ながん死亡リスク 喫煙に関する大規模研究では、喫煙習慣を持つ人はそうでない人に比べてがん死亡リス…

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参考文献

Smokers Who Quit Before Age 40 Can Avoid 90% of the Excess Risk of Cancer Death Associated with Continued Smoking
http://pressroom.cancer.org/SmokingAndCancer
Study: 87% of excess lung cancer risk eliminated if smokers quit before age 45
https://www.upi.com/Health_News/2021/10/25/smoking-quit-lower-lung-cancer-risk/1681635185177/?u3L=1

元論文

Association of Smoking Initiation and Cessation Across the Life Course and Cancer Mortality
https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/article-abstract/2784990?resultClick=1

ミノムシの糸を使った「クモ糸よりも強力な繊維」が登場

ミノムシをモデルにしたドラゴンクエストのモンスター「ミノーン」
Credit:© 2021 SQUARE ENIX/DRAGON QUEST Wiki

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クモの糸が高い強度を持つ優秀な材料であるという話は、最近良く耳にしている人も多いと思います。

しかし、実は最近の研究では、ミノムシが作る糸の方が、クモよりも優れていることが示されているのです。

この発見に基づいて、筑波大学の研究チームは、ミノムシの作るシルク繊維と導電性高分子ポリアニリンを組み合わせた複合繊維を開発

この繊維は電気伝導性を持つと同時に、柔軟性や光ファイバーとしての性質も示しているそうです。

研究の詳細は、10月19日付で科学雑誌『Journal of Applied Polymer Science』に掲載されています。

目次 実は強かったミノムシの糸光ファイバーになる繊維 実は強かったミノムシの糸 これまで天然由来のシルク繊維の中では、クモが産生する糸が最強といわれ…

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参考文献

ミノムシが産生する高強度繊維と導電性高分子を組み合わせた新規複合繊維材料を開発
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/technology-materials/20211022140000.html
Stronger than spider silk: Bagworm silk enables strong conducting fibers
https://www.eurekalert.org/news-releases/932418

元論文

Preparation of bagworm silk/polyaniline composite
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/app.51791

簡単なコーティングだけで歩くと発電できるハイテク木製フローリングが登場

新しい研究はフローリングをミニ発電機にした
Credit:Jianguo Sun et al.,Matter(2021)

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圧力を電気に変えるというデバイスがありますが、スイスの研究チームはそれを非常にエコな材料によって実現しました。

チューリッヒ工科大学(ETHZ)の新しい研究は、木製のフローリングにシリコンとナノ粒子のコーティングを施し、歩くだけで電気を生み出すナノ発電機を開発したと報告しています。

これはLED電球や小型電子機器を動かすのに十分なエネルギーを生み出せます

研究の詳細は、科学雑誌『Matter』に7月22日付で掲載されています。

目次 木材をナノ発電機にする歩いたり叩いたりするだけで発電する木の板 木材をナノ発電機にする ナノ発電機とは、微小な物理現象からエネルギーを取り出し…

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参考文献

Hi-tech wooden flooring can turn footsteps into electricity
https://www.theguardian.com/environment/2021/sep/01/hi-tech-wooden-flooring-can-turn-footsteps-into-electricity

元論文

Functionalized wood with tunable tribopolarity for efficient triboelectric nanogenerators
https://doi.org/10.1016/j.matt.2021.07.022

世界が仰天! パルクールに挑戦するロボット

複雑なパルクールコースを俊敏に駆け回るボストンダイナミクス社のヒューマノイドロボットAtlas
Credit:Boston Dynamics

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とうとうロボットはパルクールに挑戦します。

ロボットの研究開発を手掛ける米企業ボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)は、自社の人型ロボット「ATLAS(アトラス)」の能力を限界まで引き出し、複雑な障害物コースを駆け回る動画を公開しました。

ロボットは段差や隙間をジャンプで飛び越え、狭い平均台を器用に駆け抜けています。

その動画は驚きとともに猛烈な勢いで共有されていますが、ロボットがこんな器用な動作を獲得するには、人間同様に多くの失敗を積み重ねたトレーニングがあるのです。

目次 驚異の身体能力を発揮するヒューマノイドロボット開発者とこだわりとATLASのトレーニング 驚異の身体能力を発揮するヒューマノイドロボット もう…

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参考文献

LEAPS, BOUNDS, AND BACKFLIPS
https://blog.bostondynamics.com/atlas-leaps-bounds-and-backflips

ホーキング定理が50年を経て実証される「ブラックホール合体後に表面積増大」

ブラックホールの表面積はエントロピーと一致する
Credit:canva

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宇宙でも非常に特殊な天体ブラックホール。

ブラックホールは観測が難しいですが、理論物理学者たちのインスピレーションの源泉ともなっていて、その性質についてさまざま予想が発表されています。

その中でも有名なものが、ホーキングとベッケンシュタインが予想した「ブラックホールはエントロピーを持っていて、それはブラックホールの表面積に保存されている」というものです。

この理論は2つのブラックホールが合体した場合、その表面積が元の2つのブラックホールの和より大きくなるということを予想していましたが、これを確認することは極めて困難だと考えられていました。

しかし、7月1日に科学雑誌『Physical Review Letters』に発表された新しい研究は、重力波観測の分析からホーキング・ベッケンシュタインの予想が事実であったことを確認したと報告しています。

すでに何をいっているのかわけがわからないという人が大多数でしょうが、今回はこの発見について解説していきます。

 

目次 ブラックホールに物質が飲み込まれると宇宙のエントロピーは下がる?ブラックホールはエントロピーを表面に溜め込んでいる?合体したブラックホールの表…

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参考文献

Hawking Made a Prediction About Black Holes, and Physicists Just Confirmed it(universetoday)
https://www.universetoday.com/151713/hawking-made-a-prediction-about-black-holes-and-physicists-just-confirmed-it/

元論文

Testing the Black-Hole Area Law with GW150914
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.127.011103