寄生RNAにとっては生物もウイルスも道具のようです。
日本の北海道大学で行われた研究によれば、ウイルスの内部に潜む「寄生RNA(Y-sat)」に、アブラムシの形態を変化させる能力があることが発見された、とのこと。
「寄生RNA」とは、ウイルス遺伝子の中に配列情報となって寄生する、生命よりも情報に近い存在です。
今回の「寄生RNA(Y-sat)」は植物とアブラムシに感染するウイルスに寄生して、植物内に入り込むと葉の色をアブラムシの好む黄色に変色させ、葉の汁とともにアブラムシの体内に侵入。
その後、今度はアブラムシに翅を生えさせて、自らをさらに広範囲に拡散させているようです。
しかしそのような配列情報が、いったいどのようにして生物の体を操作しているのでしょうか?
研究内容の詳細は12月6日に『Nature Communications』にて公開されています。
目次 アブラムシに翅を生やさせて拡散する「寄生RNA」の仕組みを解明!「寄生RNA」は宿主の宿主までコントロールする アブラムシに翅を生やさせて拡散…
参考文献
アブラムシを引き寄せ,翅を生やして自らを運ばせるRNAがいた!~植物ウイルスに寄生するY-サテライトRNA分子の驚くべき生き残り戦略の解明~
https://www.hokudai.ac.jp/news/2021/12/rnay-rna.html
元論文
A plant virus satellite RNA directly accelerates wing formation in its insect vector for spread
https://www.nature.com/articles/s41467-021-27330-4