<温室効果ガス排出量の抑制と経済をめぐる意見の果てしなき対立の「正解」は> 気候変動は間違いなく最大の脅威だ ヘザー・ゴールドストーン(ウッドウェル気候研究センター) 緊急性があり、かつ生死に関わるが、まだ打つ手はある――そんな状況を「非常事態」と呼ぶ。同様な状況でも、既に打つ手がなければ「悲劇」であって、非常事態ではない。 この違いを忘れないでほしい。気候変動は深刻だが、まだ打つ手がある。だから非常事態なのだ。7月末には約1万4000人の科学者が連名で、地球の気候は非常事態にあると改めて宣言してい…
神は6日で世界を造ったとの「真実」を理解する意味…理不尽な世界に対峙する「神学」の力
<「なぜ」と問う力──リベラルアーツの本質はICUの神学から学ぶ。話題の本『ICU式「神学的」人生講義 この理不尽な世界で「なぜ」と問う』の一部を抜粋紹介> 国際基督教大学(ICU)で必須教養科目の「キリスト教概論」を担当する魯 恩碩(ロ・ウンソク)教授によると、ICUのリベラルアーツ教育とは、「なぜ」の精神を持つ学生を育てることであり、そこに「キリスト教概論」の存在意義があるという。なぜか。 キリスト教になじみのない者は、信仰とは、神を賛美することと思うかもしれない。しかし、聖書を読むと、多くの場…
1人の子供がいじめられ続けることで、全体の幸せが保たれる社会…「神学」から考える人権
<ICUの「キリスト教概論」がリベラルアーツに強い学生を育てる理由。話題の本『ICU式「神学的」人生講義 この理不尽な世界で「なぜ」と問う』の一部を抜粋紹介、第2回> 国際基督教大学(ICU)で人気の必須教養科目「キリスト教概論」を書籍化した、魯 恩碩(ロ・ウンソク)著『ICU式「神学的」人生講義 この理不尽な世界で「なぜ」と問う』(CCCメディアハウス)は、個人が多様な他者と出会っていくこの世界で、愛し、赦し、共に生きるためのヒントを与えてくれる一冊だ。 日常の、そして世界で起きている問題の多くは…
自らの至らなさを自覚できるからこそ人間は偉大…現代世界の根源的理解を「神学」に学ぶ
<リベラルアーツ教育で名高い国際基督教大学(ICU)の必須教養科目が待望の書籍化。その一部を3回にわたって掲載する> 日本のリベラルアーツ教育を牽引する国際基督教大学(ICU)で、必須教養科目として採択されているのが「キリスト教概論」だ。このたび、『ICU式「神学的」人生講義 この理不尽な世界で「なぜ」と問う』(CCCメディアハウス)として書籍になった。 魯恩碩(ロ・ウンソク)教授のパッション溢れる「キリスト教概論」は、信仰を勧めるための授業ではない。競争社会で他人を出し抜くことなく生きることはでき…
独立の祝砲に沸くタリバンに中国はどう向き合うのか?
米軍が最終撤退した瞬間、タリバンは独立の雄たけびを上げて祝砲を鳴らし続けた。中国の第一報はこの場面と、国連安保理対タリバン決議に対する中露の棄権だった。中国は今後どのようにタリバンと向き合うのか? アフガンの夜空に轟く祝砲を報道した中国 8月31日未明、米軍を載せた最後の一機がカブール空港を飛び立った瞬間、カブール空港はタリバンの管轄下に入り、タリバン軍は勝利の雄たけびを上げた。 曳光弾(えいこうだん)(発光体を内蔵した特殊な弾丸)や機関銃などによる祝砲が夜空に向かって打ち上げられ、それは2時間ほど…
日本で「食えている画家」は30~50人だけ 完売画家が考える芸術界の問題点
<15年以上のキャリアの中で描いた約700枚の絵を完売させ、その作風は唯一無二と評される洋画家の中島健太氏。「『絵描きは食えない』を変えたい」という彼はこのたび、『完売画家』(CCCメディアハウス)を上梓した。日本の芸術界の現状、業界で生きるために必要なこと、これからの芸術とビジネスの在り方について、赤裸々に綴った本書から「はじめに」を抜粋する> ■はじめに 「絵描きは食えない」を変えたい――700以上のご縁 本書は現役プロ画家の僕が、「日本の芸術界(以下、業界)の現状」「業界で生きるために必要なこ…
「それでもルーティンは欠かせない」ハリケーン渦中の路上でワークアウトする男たち
<暴風雨のなかで腕立て伏せに腹筋、傍らには楽しそうに撮影する人々> ハリケーンは何十年、何世紀にわたってメキシコ湾岸に暮らす人々の生活に甚大な被害をもたらしてきた。 29日昼過ぎ、大型ハリケーン「アイダ」がルイジアナ州南部にカテゴリー4の非常に強力な状態で上陸。そんななか、同州最大都市ニューオーリンズの歴史地区の路上で撮影された目を疑うような映像が話題になっている。 ツイッターに投稿されたこの動画は、4人の男性が暴風雨にさらされながら腕立て伏せや腹筋を披露するというもの。傍らには楽しげな様子で彼らにスマホを向ける人々の姿も映っている。 Please don’t put yourself in harm’s way. Try to stay in a safe space if you can. The winds are strong and potentially dangerous. #HurricaneIda @KSLA Credit: Yasmin Renè pic.twitter.com/s1p2U2rCVT— Jade Myers KSLA (@theJadeMyers) August 29, 2021 ルイジアナ州、ミシシッピ州、アラバマ州の各知事はアイダの上陸に先立って非常事態宣言を出し、ルイジアナ州南東部の一部地域では強制避難命令を発出。しかし、ニューオーリンズでは市長の判断によって強制的な避難令は出されなかった。そのため、横殴りの雨の中で彼らは堂々と「日課」をこなした。 午後から夕方にかけて猛烈な風がニューオーリンズを襲い、市内の広い範囲が停電に見舞われた。州内で最も人口の多い地域を通過したため、その影響は100万人以上の住民に及んでいる。 ニューオーリンズは2005年、ハリケーン「カトリーナ」の高潮によって堤防が決壊し、市内の大部分が冠水。壊滅的な被害を受けた。それ以降、同じ規模の嵐を経験しておらず、住民の間には不安が広がっていた。 彼らの行為が軽率な印象を与えたのは言うまでもない。 ===== Please don’t put yourself in harm’s way. Try to stay in a safe space if you can. The winds are strong and potentially dangerous. #HurricaneIda @KSLA Credit: Yasmin Renè pic.twitter.com/s1p2U2rCVT— Jade Myers KSLA (@theJadeMyers) August 29, 2021 ■台風の高波を背景にセルフィする男性も NOT RECOMMENDED: No time for a selfie; this was in south Louisiana ► https://t.co/5Qu3VV9XJp pic.twitter.com/AOjQPOC6i0— KSLA News 12 (@KSLA) August 30, 2021 ===== LAFOURCE PARISH: Part of the roof of Lady of the Sea General Hospital, in Galliano, blew off. @BrennanMatherne told me @LafourcheSO is hearing reports of some broken power poles, roof damage, some structure damage. @wdsu #HurricaneIda pic.twitter.com/iXMmURLNH2— Christina Watkins (@CWatkinsWDSU) August 29, 2021
寝苦しい暑い夜には「全裸でベッド」…たしかな安眠効果が認められる
<体温の低下が質のよい眠りをもたらし、解放感やパートナーとの絆の深さも味わえる> 夏の夜に困るのが、暑さでうまく寝付けないことだ。その手っ取り早い解決法として、パジャマを脱いで裸で寝る人もいる。 睡眠について詳しい臨床心理士のカーラ・マンリーによれば、裸で寝ることがいい睡眠をもたらすかどうかは基本的には各人の好みの問題だ。一見些細なことであっても、自分にとっての快不快を無視するといい眠りを得られなくなる可能性があるという。 「暑さのあまり裸で寝るのを好む人もいれば、寝間着を着ることによる締め付け感が…
「共同富裕」と格差是正を掲げた習近平だが、身内は例外というまやかし
<富裕層や大企業による富の独占を許さないと息巻く習近平だが、もちろん自分の身内に適用されることはない> 国の習近平(シー・チンピン)国家主席が8月17日の演説で「共同富裕(みんなで豊かになろう)」を強調し、大企業や富裕層の間に動揺が広がっている。 習は昨年来、社会への富の還元を掲げて財界への規制を強め、巨大IT企業などに巨額の罰金や資産売却を科してきた。富のさらなる吸い上げを恐れる大企業は、中国共産党への忠誠と社会貢献を必死にアピール。電子商取引大手の拼多多(ピンドゥオドゥオ)は早速、農村開発プロジ…
タリバンがブラックホークを操縦する異常事態、しかも誰かぶら下がっている!
<米軍の兵器を見せびらかすタリバンは、今やアフガン全土に見られる光景だ> タリバンの一員と見られる人物が、米軍の軍用ヘリコプター「ブラックホーク」から吊り下げられて降下する様子を映した動画が拡散している。アフガニスタン南部の都市カンダハルを「パトロール中」のものだというこの映像は、再生回数が200万回を超えた。 この動画を8月29日にツイッターでシェアしたのは、アフガニスタン・イスラム首長国を自称するタリバンの公式ニュースアカウント「Talib Times」だ。映像では、アメリカ軍が残したUH-60ブラックホークと見られるヘリコプターから吊り下げられた男性の姿が確認できる。 動画には、「我々の空軍だ! これは、イスラム首長国の空軍ヘリコプターが、カンダハル上空を飛行しながらパトロールをしているところである」というキャプションが添えられている。 この動画は、内容について第三者の確認は取れていないが、複数のSNSユーザーによってシェアされている。 動画が投稿された8月29日は、アメリカ軍がアフガニスタンから完全撤退するとされていた日の前日だ。 戦争終結とともに アメリカが先頭に立ってきた20年におよぶアフガニスタン戦争は、8月30日(米東部時間)に正式に終結した。アフガニスタンに滞在していたアメリカ人と、戦争中にアメリカに協力したアフガン人協力者を国外に退避させようとする混乱のなか、タリバン支配下にあるカブールの国際空港を、最後の米軍用機が飛び立った。 米大統領ジョー・バイデンは2021年4月に初めて、アフガニスタン駐留アメリカ軍を撤退させると発表した。その際に明言したのが、2021年9月11日までの完全撤退だ。国際テロ組織アルカイダがニューヨークのツインタワーを攻撃した2001年の米同時多発テロから、ちょうど20年目の日だ。 アメリカ軍が2001年にアフガニスタンに軍を派遣したのは、米同時多発テロの報復のためだった。その後アメリカ軍は、アルカイダと同盟関係にあったタリバンの排除に成功した。 だがアメリカ軍とその同盟国軍がアフガニスタンから引き上げるなか、タリバンはたちどころに全土を掌握し、首都も支配下に収めた。 タリバンは、アフガニスタンの実権を再び掌握した際に、アメリカ軍がアフガニスタン政府軍に提供した多数の武器や砲弾などを没収した。そのなかには、ブラックホークや全地形対応の軍用車両「ハンビー」も含まれている。SNSの写真や動画を見ると、8月半ばにはすでに、タリバン戦闘員が各地で武器などを見せびらかしている様子がわかる。 ===== New video of a Taliban operated Black Hawk heli, circulating on pro-TB accounts. #Afghanistan pic.twitter.com/D6tcKmersl— FJ (@Natsecjeff) August 30, 2021 I’m told this video of a Taliban-operated heli is from Kandahar. #Afghanistan pic.twitter.com/DYT07X5diI— FJ (@Natsecjeff) August 30, 2021 アメリカ政府監査院(GAO)の報告書によると、アメリカは2003年から2016年に、アフガン政府軍に対して大量の戦闘機器を提供。各種のライフル銃が35万8530丁、機関銃が6万4000挺以上、自動擲弾発射器(グレネードランチャー)が2万5327基、ハンビーが2万2174台などだ。 アメリカを拠点とするアフガニスタン復興特別査察官(SIGAR)の報告書によると、2021年6月末の段階では、アフガン空軍がそれまでに運用していた航空機は、戦闘ヘリコプターや航空機など167機だった。 SIGARの報告書はさらに、2017年12月から2021年6月までに、少なくとも3012台のハンビーがアフガン軍に提供されたとしている。 (翻訳:ガリレオ) ===== New video of a Taliban operated Black Hawk heli, circulating on pro-TB accounts. #Afghanistan pic.twitter.com/D6tcKmersl— FJ (@Natsecjeff) August 30, 2021 I’m told this video of a Taliban-operated heli is from Kandahar. #Afghanistan pic.twitter.com/DYT07X5diI— FJ (@Natsecjeff) August 30, 2021