卵に完璧に保存された「恐竜ベビー」の化石を発見!

史上最も精巧な「恐竜胚」の化石が発見される
Credit: Shoulin Animation – Impeccably preserved dinosaur embryo looks as if it ‘died yesterday'(2021)

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恐竜はどのように卵から孵っていたのでしょう?

その秘密を解き明かす驚異的な化石がこのほど中国南部で発見されました。

化石は同地の博物館で約10年間保管されていたもので、卵の中に精巧に保存された孵化前の恐竜の赤ちゃんが見つかったのです。

うずくまるような姿勢は、現代の鳥類の胚に近似しており、恐竜と鳥の進化的なつながりが、これまで考えられていた以上に深いことを示しています。

研究は、12月21日付けで学術誌『iScience』に掲載されました。

目次 「うずくまり姿勢」は現代のニワトリと一緒 「うずくまり姿勢」は現代のニワトリと一緒 研究主任で、エディンバラ大学(University of …

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参考文献

Breathtaking Fossil of Baby Dinosaur Tucked in Its Egg Yields New Evolutionary Clues
https://www.sciencealert.com/exquisitely-preserved-dinosaur-embryo-showing-bird-like-behavior-reveals-new-evolutionary-links
Impeccably preserved dinosaur embryo looks as if it ‘died yesterday’
https://www.livescience.com/dinosaur-embryo-fossil-egg-discovered

元論文

An exquisitely preserved in-ovo theropod dinosaur embryo sheds light on avian-like prehatching postures
https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042(21)01487-5

恐竜はくちばしなどの一部だけが「カラフル色」だったという研究

恐竜もカラフルな色を体の一部に持っていた可能性
Credit: Sarah Davis / The University of Texas at Austin(2021)

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ほとんどの鳥は、オウムやクジャクのような例は別として、全身カラフルなわけではありません。

しかし、羽毛以外に目を向ければ、クチバシや足先など明るい色を持った部分がすぐに見つかります。

そしてこのほど、テキサス大学オースティン校(UTA・米)の研究により、絶滅した恐竜たちも、現代の鳥類と同様に「部分的な明色」を持っていた可能性が示唆されました。

鮮やかな色は、仲間とのコミュニケーションやアピールに使われていたと考えられます。

研究は、12月6日付けで学術誌『Evolution』に掲載されました。

目次 恐竜はいかに「カラフルな色」を手にしたのか 恐竜はいかに「カラフルな色」を手にしたのか 恐竜の体色については、現存する鳥類と恐竜の共通祖先であ…

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参考文献

Dinosaur faces and feet may have popped with color
https://phys.org/news/2021-12-dinosaur-feet.html
Non-Avian Dinosaurs May Have Had Bright-Colored Skin, Scales and Beaks
http://www.sci-news.com/paleontology/dinosaur-carotenoid-coloration-10354.html

元論文

Estimating the distribution of carotenoid coloration in skin and integumentary structures of birds and extinct dinosaurs
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/evo.14393

自動車と同レベルの「俊足の恐竜」を示す足跡が発見される

足跡から自動車レベルの走行スピードが判明
Credit: Pablo Navarro-Lorbés(iflscience) – Fossil Footprints Could Set A Record For Dinosaur Speed(2021)

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近年の研究で、ティラノサウルスは実は鈍足だったことが分かってきています。

「じゃあ、恐竜は大して足が速くないんだ」というと、もちろんそんなことはありません。

ガタイの良すぎるティラノサウルスは、足への負担が大きかったため、速く走れなかっただけで、恐竜には様々なサイズがいます。

そしてこのほど、ラ・リオハ大学(University of La Rioja・スペイン)の最新研究で、市街地を走る自動車と同等のスピードを誇る恐竜の存在が確認されました。

これは、新たに見つかった2頭の恐竜の足跡から算出された結果で、時速27.7マイル(約44.6キロ)に達したとのことです。

研究は、12月9日付けで学術誌『Scientific Reports』に掲載されています。

目次 足跡から最高レベルの「俊足」と判明 足跡から最高レベルの「俊足」と判明 2頭の恐竜の足跡は、スペイン北東部ログローニョのラ・リオハ州で発見され…

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参考文献

Meat-eating dinosaurs were terrifyingly fast, footprints reveal
https://www.livescience.com/fossil-tracks-speedy-dinosaurs
Footprints show some two-legged dinosaurs were agile
https://phys.org/news/2021-12-footprints-two-legged-dinosaurs-agile.html

元論文

Fast-running theropods tracks from the Early Cretaceous of La Rioja, Spain
https://www.nature.com/articles/s41598-021-02557-9

100年前の古新聞に包まれた「古代亀の化石」を発見!

100年前に発掘され、置きっぱにされていた化石を再発見
Credit: University of Alberta – Fossils dug up 100 years ago rediscovered wrapped in old newspaper(2021)

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アルバータ大学(University of Alberta・カナダ)にて、一粒で二度美味しい発見がなされました。

同大の南キャンパスにあるクオンセット(プレハブ工法によるカマボコ型の建物)から、100年前の古新聞に包まれた古代亀の化石が再発見されたのです。

標本に記載してある文字によると、これは、同大初の古生物学者ジョージ・スタンバーグ(George Sternberg)氏が率いた1920年と21年の化石発掘の成果であるという。

しかし、詳しい調査がされないまま、今日まで手付かずの状態で保管されていたと考えられます。

目次 非常にレアな古代亀の化石を発見! 非常にレアな古代亀の化石を発見! クオンセットの棚奥から発見されたのは、20個ほどの様々な化石断片です。 サ…

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参考文献

Fossils dug up 100 years ago rediscovered wrapped in old newspaper
https://www.ualberta.ca/folio/2021/12/fossils-dug-up-100-years-ago-rediscovered-wrapped-in-old-newspaper.html

大型の恐竜は水中で「お尻を浮かせて」泳いでいた?

巨大竜脚類は果たして水中で生活していたのか?
Credit:depositphotos

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ブロントサウルスなどを代表とする巨大竜脚類については、巨大な体重のために水中で生活していたという説と、陸生だったという説で議論がされています。

現在は陸生であったとする説が優勢ですが、これに疑問を唱える足跡の化石が発見されています。

それが白亜紀の恐竜の足跡が数多く見つかる地層(グレン・ローズ層)から発見された、竜脚類の前足だけの足跡化石です。

パデュー大などの調査では、これがかろうじて前足だけがつく状態で、竜脚類が非常に深い水の中を泳ぐようにして歩いていた痕跡ではないかといいます。

研究の詳細は、2019年12月13日付で科学雑誌『Ichnos』に掲載されています。

目次 竜脚類は水の中で生活していた? 竜脚類は水の中で生活していた? 恐竜の中でも、ポピュラーで人気があるのがブロントサウルス、ブラキオサウルス、デ…

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参考文献

Weird Tracks in Texas Indicate Giant Sauropods Walking on Their Front Feet Only
https://www.sciencealert.com/weird-tracks-in-texas-indicate-giant-sauropods-walking-on-their-front-feet-only

元論文

Thunder lizard handstands: Manus-only sauropod trackways from the Glen Rose Formation (Lower Cretaceous, Kendall County, Texas)
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/10420940.2019.1698424?journalCode=gich20

新種の恐竜ステゴウロスを発見、尾に「前例のない」武器

約7300万年前、現在のチリ南部に暮らしていた新種の恐竜ステゴウロス(想像図)。平たいこん棒のような尾を持ち、河口の三角州で暮らしていた。(ILLUSTRATION BY MAURICIO ÁLVAREZ) 7500万~7200万年前、現在の南米パタゴニア地方で、ごつごつしたある恐竜が河口の三角州に埋もれ、やがて化石となった。 この生物は、…

実は大きい?「古生物の覇者」アノマロカリスの正体とは

アノマロカリスの復元予想
credit: depositphotos

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アンモナイトや三葉虫と並び、有名な古生物「アノマロカリス」をご存知でしょうか。

名前はピンと来なくとも、ロボットや書籍の表紙等で、その変な見た姿を目にした人は多いと思います。

「古生物」とは、絶滅し今は存在しない生物のことですが、化石の研究から様々な憶測がされています。

今回は、そんな「アノマロカリス」の生態についてご紹介します。

目次 アノマロカリスの生態アノマロカリスの最新研究 アノマロカリスの生態 アノマロカリスの分類は、脊椎動物(背骨のある動物)、節足動物門(エビ、虫、…

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参考文献

Anomalocaris, the largest known Cambrian arthropod, D. E. G. Briggs
https://www.google.com/url?q=https://www.palass.org/publications/palaeontology-journal/archive/22/3/article_pp631-664&sa=D&source=docs&ust=1638178732750000&usg=AOvVaw3h4UgvEbpJFXl4hOLyAWU7
Anomalocaris and Other Large Animals in the Lower Cambrian Chengjiang Fauna of Southwest China, Hou Xian‐Guang
https://www.google.com/url?q=https://www.researchgate.net/publication/233050167_Anomalocaris_and_Other_Large_Animals_in_the_Lower_Cambrian_Chengjiang_Fauna_of_Southwest_China&sa=D&source=docs&ust=1638178750800000&usg=AOvVaw2gLG6brn5sokV6dVf5McSy
カンブリア紀のアノマロカリスの遊泳行動の獲得、五十嵐地広(PDFファイル)
http://hokkaido.jspe.or.jp/proc_archive/2017/pdf/17-C-04.pdf

「こん棒の尻尾」を武器にする新種恐竜を発見 チリ大学

新種のアンキロサウルスを南米チリで発見
Credit: Alexander Vargas et al., Nature(2021)

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南米チリの亜南極域にて、奇妙な尻尾をもつ新種のアンキロサウルスの化石が発見されました。

最大の特徴は、殺傷性の高い武器のような尻尾で、既知種では見られません。

チリ大学(University of Chile)の古生物学者で、本研究主任のアレクサンダー・バルガス(Alexander Vargas)氏は「アステカの棍棒として知られる、マクアフティル(macuahuitl)に似ている」と指摘します。

それだけでなく、新種の化石は、アンキロサウルスの進化について、これまで知られていなかった物語を明らかにしてくれました。

研究は、12月1日付けで学術雑『Nature』に掲載されています。

目次 尻尾はまるで「アステカの棍棒」 尻尾はまるで「アステカの棍棒」 化石の発見は2018年2月のこと。約7490万〜7170万年前に当たる白亜紀の…

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参考文献

‘Very weird’ ankylosaur’s tail looked like an Aztec war club
https://www.livescience.com/new-ankylosaur-dinosaur-chile
New dinosaur species from Chile had a unique slashing tail
https://phys.org/news/2021-12-dinosaur-species-chile-unique-slashing.html

元論文

Bizarre tail weaponry in a transitional ankylosaur from subantarctic Chile
https://www.nature.com/articles/s41586-021-04147-1

実は間違いだった!映画『ジュラシック・パーク』の真実10選

映画『ジュラシック・パーク』の科学的な間違いトップ10
Credit: jp.depositphotos

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スピルバーグ監督の大ヒット映画『ジュラシック・パーク』(1993)。

本作がきっかけで、恐竜好きになったり、古生物学者になろうと決心した人も多いでしょう。

しかし一方で、恐竜学の歴史は非常に浅く、今も毎日のように新知見や新種の化石が発見され続けています。

そのため、30年近くも前に公開された本作には、科学的事実と異なるシーンがたくさん見受けられるのです。

そこで今回は、実は間違いだった『ジュラシック・パーク』の真実10選を紹介していきます。

※ジュラシック・シリーズは全部で5作公開されており、1作目以外の作品に触れている箇所もあります。

1.蚊から「恐竜DNA」は抜き出せない 映画内で、恐竜をどのように蘇らせたか覚えているでしょうか。 琥珀の中に保存された蚊から恐竜の血液を取り出し、…

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参考文献

Here’s Just How Wrong Jurassic Park Is About Dinosaurs
https://www.ranker.com/list/factual-inaccuracies-in-jurassic-park/beth-elias?ref=browse_list

「肉食なのに歯がない」新種のクチバシ恐竜が発掘される

肉食なのに歯がない新種の「クチバシ恐竜」を発見
Credit: Geovane Alves de Souza et al., Scientific Reports(2021)

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ブラジル南部パラナ州にて、非常にめずらしい新種の恐竜化石が発見されました。

この恐竜は、約7000万年前の白亜紀後期に存在し、ノアサウルス科という肉食類に属します。

ところが、ブラジル国立博物館(Brazil’s National Museum)の声明によると、肉食類なのに歯がなく、代わりに「クチバシ」を持っているというのです。

一体どのような食生活をしていたのか、研究者たちの注目を集めています。

研究は、11月18日付けで学術誌『Scientific Reports』に掲載されました。

目次 肉食なのに歯がない? 肉食なのに歯がない? 新種の化石は、2011年〜2014年にかけて、パラナ州の田舎道沿いにある岩石層から発見されました。…

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参考文献

Remains of ‘very rare’ dinosaur species discovered in Brazil
https://phys.org/news/2021-11-rare-dinosaur-species-brazil.html

元論文

The first edentulous ceratosaur from South America
https://www.nature.com/articles/s41598-021-01312-4