イメージ崩壊? 中世英国騎士の軍馬は「ポニーサイズ」だった

中世イギリスの軍馬はポニーサイズだった
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

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中世の騎士物語には必ず、鼻息荒く雄々しい軍馬が出てきます。

しかし実際は、現代のポニーくらいのサイズしかなかったようです。

このほど、エクセター大学(University of Exeter・英)の研究により、中世イギリスの騎士が乗っていた軍馬は、背の高さが150センチに満たなかったことが明らかになりました。

騎士たちの騎乗姿もイメージほど立派なものではなかったかもしれません。

研究は、昨年8月31日付で学術誌『International Journal of Osteoarchaeology』に掲載されています。

※馬の背の高さは、足元から肩の骨の出っ張っている部分までを指し、頭は含まれません。

目次 ポニーサイズだが、小さいなりに利点もあった ポニーサイズだが、小さいなりに利点もあった 研究チームは今回、イングランドの古城や中世の馬の墓地を…

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参考文献

Medieval warhorses no bigger than modern-day ponies, study finds
https://www.theguardian.com/science/2022/jan/10/medieval-warhorses-no-bigger-than-modern-day-ponies-study-finds
Study: Medieval Warhorses Were No More Than Pony-Sized by Modern Standards
http://www.sci-news.com/archaeology/medieval-warhorses-10449.html

元論文

In search of the ‘great horse’: A zooarchaeological assessment of horses from England (AD 300–1650)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/oa.3038

腹をすかせたアナグマが餌と間違え「ローマ時代の埋蔵金」を掘り当てる

アナグマがローマ時代のコインを見つける
Credit: phys – Burrowing badger unearths Roman-era treasure in Spain(2022)

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昨年4月、スペイン北西部・アストゥリアス州にあるラ・クエスタ洞窟で見つかった古代ローマ時代のコイン。

これが、マドリード自治大学(AUM)の研究により、腹をすかせたアナグマによって掘り当てられたものと判明しました。

合計で209枚のコインが出土し、スペイン北部で見つかったローマ時代の硬貨としては「史上最大の宝の山」と報じられています。

研究は、昨年12月に学術誌『Journal of Prehistory and Archaeology』に掲載されました。

目次 エサを探していたのに、出て来たのはコイン エサを探していたのに、出て来たのはコイン コインは、地元住民のロバート・ガルシア(Robert Ga…

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参考文献

A Hungry Badger Discovered a Roman-Era Treasure Trove, Archaeologists Say
https://www.sciencealert.com/hungry-badger-unexpectedly-discovers-roman-era-treasure-trove
Badger Finds Largest Ever Roman Coin Hoard in Northern Spain
https://www.ancient-origins.net/news-history-archaeology/roman-coin-hoard-0016293
Badger leads archaeologists to hoard of Roman coins in Spain
https://edition.cnn.com/style/article/badger-roman-coins-spain-scli-intl-scn/index.html

元論文

El tesorillo tardorromano de la cueva de La Cuesta de Berció (Grado, Asturias). Primeras valoraciones en su contexto cantábrico.
https://www.academia.edu/65259307/El_tesorillo_tardorromano_de_la_cueva_de_La_Cuesta_[…]sturias_Primeras_valoraciones_en_su_contexto_cant%C3%A1brico

時代と共に視覚的に簡略化されていく「文字の進化モデル」研究

文字はどのように進化するのか?
Credit: Momolu Massaquoi (1911)- Rare African script offers clues to the evolution of writing(2022)

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世界最初の文字は5000年以上前の中東で発明され、中国や中米がそれに続きました。

文字は今や、娯楽や教育、政治からコンピューターコードまで使用され、私たちと切っても切れないものとなっています。

一方で、文字がどのように進化したのか、その経緯はほとんどわかっていません。

文字の起源となる場所が少なかったり、最初期の痕跡が断片的すぎるためです。

しかし今回、マックス・プランク人類史科学研究所(Planck Institute for the Science of Human History・独:SHH)らの調査により、文字の進化の一端を垣間見ることに成功しました。

それによると、文字は効率的な読み書きを達成するために、かなり短期間で「簡略化」されるようです。

研究の詳細は先日、学術誌『Current Anthropology』に掲載されました。

目次 文字は次第に「シンプルな形」になっていく? 文字は次第に「シンプルな形」になっていく? 研究チームは、この洞察を得るために、19世紀に西アフリ…

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参考文献

Rare African script offers clues to the evolution of writing
https://phys.org/news/2022-01-rare-african-script-clues-evolution.html

元論文

The Predictable Evolution of Letter Shapes An Emergent Script of West Africa Recapitulates Historical Change in Writing Systems
https://www.journals.uchicago.edu/doi/10.1086/717779

ヴァイキングは「ツノ付き兜」をかぶっていなかった可能性が高い

ヴァイキングは「ツノ付き兜」をかぶっていなかった可能性
Credit: National Museum of Denmark – Horned ‘Viking’ helmets were actually from a different civilization, archaeologists say(2022)

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西暦800年頃から約250年にわたり、西ヨーロッパの海を席巻した強戦士ヴァイキング

ヴァイキングといえば、あの雄牛のような力強いツノで装飾されたヘルメットを思い浮かべるでしょう。

しかし実は、ヴァイキングがツノ付き兜(かぶと)を実際に付けていた証拠はどこにもないのです。

その一方で、「ヴァイキング=ツノ付き兜」のイメージを定着させたヘルメットは実際に存在します。

これまで、そのヘルメットの正確な年代は不明でしたが、オーフス大学(AU・デンマーク)の最新研究により、紀元前900年頃のものであることが判明しました。

詳しい経緯を以下で見ていきましょう。

研究は、昨年の12月21日付けで学術誌『Journal Praehistorische Zeitschrift』に掲載されています。

目次 ヴァイキングは「ツノ付き兜」をかぶっていなかった⁉︎ ヴァイキングは「ツノ付き兜」をかぶっていなかった⁉︎ デンマーク文化省(DMC)によると…

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参考文献

Horned ‘Viking’ helmets were actually from a different civilization, archaeologists say
https://www.livescience.com/horned-viking-helmets-from-different-civilization

元論文

Anthropomorphised warlike beings with horned helmets: Bronze Age Scandinavia, Sardinia, and Iberia compared
https://www.degruyter.com/document/doi/10.1515/pz-2021-2012/html

3000年の時を経て「アメンホテプ1世」のミイラの調査に初成功

古代エジプトのファラオ「アメンホテプ1世」のミイラを初調査
Credit: Sahar Saleem et al., Frontiers in Medicine(2021)

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アメンホテプ1世は、古代エジプトの歴代ファラオの中でも知名度の高い王の一人です。

第18王朝の第2代ファラオとして、紀元前1551〜1524年頃(BC1525〜1504の説もある)まで在位しました。

彼のミイラは1881年に見つかっているものの、棺が花輪で装飾されたり、精巧なフェイスマスクで覆われていたため、今日まで開封がためらわれていました。

しかし今回、3次元CTスキャンを用いることで初めて、棺の中をのぞき見る「デジタル開封」が行われました。

埋葬から3000年の時を経て、ついにアメンホテプ1世の遺体を調べることに成功しています。

研究は、12月28日付けで学術誌『Frontiers in Medicine』に掲載されました。

目次 「アメンホテプ1世」はどんなファラオだったのか 「アメンホテプ1世」はどんなファラオだったのか アメンホテプ1世は、少年期に第18王朝の初代フ…

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参考文献

Mummy of famous Egyptian pharaoh digitally unwrapped for first time in 3,000 years
https://www.livescience.com/mummy-of-pharaoh-amenhotep-unwrapped
Scientists digitally ‘unwrap’ mummy of pharaoh Amenhotep I for the first time in 3,000 years
https://phys.org/news/2021-12-scientists-digitally-unwrap-mummy-pharaoh.html

元論文

Digital Unwrapping of the Mummy of King Amenhotep I (1525–1504 BC) Using CT
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmed.2021.778498/full

2021年の「驚きに満ちた歴史ニュース」ベスト5!

2021年の「驚きに満ちた歴史ニュース」ベスト5を発表!
Credit: jp.depositphotos

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今年もまた1年があっという間に過ぎてしまいました。

コロナパンデミックによって、フィールドワークを中心とする研究者は大いに苦しめられたことでしょう。

それでも、研究者の努力と忍耐により、多くの歴史的発見がなされました。

そこで今回は、2021年の「歴史ニュース」ベスト5を発表していきます。

目次 2021年の歴史ニュースBEST5! 2021年の歴史ニュースBEST5! 第5位 マリーアントワネットの「黒塗りで隠された手紙」の解読に成功…

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参考文献

https://nazology.net/archives/category/humanities/history_archeology

史上もっとも残酷なヴァイキングの拷問法「血のワシ」は実際に可能だったと判明

ヴァイキングが行なったとされる「血のワシ」の儀式とは?
Credit: Luke John Murphy et al., University of Chicago Press Journals(2021)

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人類史を振り返ってみれば、儀式と称して、残酷な処刑が数々行われてきました。

その中で最も悪名高い儀式の一つに、「血のワシ(blood eagle)」と呼ばれるものがあります。

これは中世ヨーロッパ時代にヴァイキングが行なった儀式と伝えられていますが、実は、本当にやっていたのかどうかは今もって分かっていません

しかしこのほど、シカゴ大学(University of Chicago・米)の研究により、実際に「血のワシ」は実施可能であったことが示唆されました。

一体、どんな儀式なのか?

あまりにも血なまぐさいので、この先も読まれる方はご注意ください。

研究は、同大のプレスリリース『University of Chicago Press Journals』に掲載されています。

目次 「血のワシ」とは、どんな儀式なのか?「実行可能だが、生贄はすぐに死んでしまう」 「血のワシ」とは、どんな儀式なのか? 「血のワシ」に関する考古…

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参考文献

Brutal Viking Ritual Called ‘Blood Eagle’ Was Anatomically Possible, Study Shows
https://www.sciencealert.com/brutal-viking-torture-method-anatomically-possible-concludes-new-research

元論文

An Anatomy of the Blood Eagle: The Practicalities of Viking Torture
https://www.journals.uchicago.edu/doi/10.1086/717332

古代ギリシアで作られた人類初の飛行ロボ「空飛ぶハト」

史上初の自走式飛行ロボ「空飛ぶハト」のイメージ図
Credit: ancient-origins – The Steam-Powered Pigeon of Archytas – The Flying Machine of Antiquity(2021)

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アルキタス(紀元前428〜紀元前347年)は、古代ギリシアの哲学者、数学者として知られます。

マグナグラシアのターラント(現在の南イタリア)で生まれた彼は、幼少の頃、ピタゴラス教団の一員で、数学者であったフィロラオスの教えを受けました。

やがて彼自身もピタゴラス派となり、数学を絶対視するように。

算術のみが満足のいく証明の根拠となり、それは幾何学では達成できないと考えました。

数学的な原理を機械学(力学)に応用した最初の人物はアルキタスだったと言われています。

彼はそれを証明するためにある発明をしました。

それが、史上初の自走式飛行装置「空飛ぶハト(Flying Pigeon)」です。

目次 「数学で全ては説明できる」 「数学で全ては説明できる」 アルキタスにとって、すべては数学を中心に展開し、数学によって説明できるという。 また、…

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参考文献

The Steam-Powered Pigeon of Archytas – The Flying Machine of Antiquity
https://www.ancient-origins.net/history-famous-people/steam-powered-pigeon-002179

中世の墓地から出土した「手厚く埋蔵されたイルカ」の謎 

中世時代の墓地から見つかった「イルカの骨」
Credit: bbc – Guernsey’s medieval ‘Porpoise grave’ remains a mystery(2018)

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イギリスとフランスの間に浮かぶ英国王室領・ガーンジー島

この島で2017年、とても奇妙な考古学的発見がなされました。

島の南西部シャペル・ドム・フエ(Chapelle Dom Hue)にある中世時代の修道士の隠遁所にて、ある一体の遺骨が墓地から出土

それは人骨ではなく、なんと「イルカの骨」だったのです。

「35年もの間、発掘に携わってきましたが、こんなものは見たことがない」

遺骨の発見者で、オックスフォード大学(Oxford University・英)、ガーンジー博物館・美術館の考古学者であるフィリップ・ド・ジャージー(Philip de Jersey)氏は語ります。

イルカの骨が手厚く埋葬された理由はなんなのでしょうか。

目次 なぜ「イルカの骨」を埋葬したのか なぜ「イルカの骨」を埋葬したのか ド・ジャージー氏は、同年8月から発掘を開始し、その11日目にイルカの骨が埋…

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参考文献

Archaeologists Found a Truly Bizarre Burial in an Isolated Medieval Graveyard
https://www.sciencealert.com/archaeologists-find-a-truly-bizarre-burial-in-an-isolated-medieval-graveyard(2018)
Guernsey’s medieval ‘Porpoise grave’ remains a mystery
https://www.bbc.com/news/world-europe-guernsey-46037369(2018)

「釘が刺さった」かかとの骨を発見 はりつけ刑の物的証拠

磔刑の物的証拠となる「かかとの骨」を発見
Credit: Adam Williams – Best physical evidence of Roman crucifixion found in Cambridgeshire(2021)

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イングランド東部・ケンブリッジシャーにて、北ヨーロッパで初、世界では4例目となる磔刑(たっけい)の物的証拠が発見されました。

見つかったのは、3〜4世紀頃に埋葬された男性の遺骨で、右足のかかとの骨に釘が打ち込まれたままとなっています。

報告によると、この骨は、古代ローマ帝国に統治されていたイングランドのある男性(おそらく奴隷)のもので、十字架にかけられ、残酷な死を遂げたことを示しているという。

磔刑の物的証拠が見つかるのはきわめて稀であり、さらに釘が刺さったままのものは今回が2例目とのことです。

目次 十字架刑は「重罪人」にしか執行されない 十字架刑は「重罪人」にしか執行されない 磔刑に処せられた男性の骨は、2017年11月、ケンブリッジシャ…

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参考文献

Rare evidence of Roman crucifixion uncovered in the UK
https://www.livescience.com/crucified-roman-era-man-found-uk
Best physical evidence of Roman crucifixion found in Cambridgeshire
https://www.theguardian.com/science/2021/dec/08/best-physical-evidence-of-roman-crucifixion-found-in-cambridgeshire