マンモスの絶滅により「草原火災」が急増していた

大型草食動物の絶滅により、草原での火災が増えていた
Credit: scitechdaily – Extinction of Ancient Grazers Triggered a Global Rise in Fires(2021)

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5万年前から6000年前にかけて、マンモスやジャイアントバイソン、古代馬など、大型の草食動物たちが姿を消しました。

エール大学(Yale University・米)の研究チームはこのほど、これらの草食種が失われたことによる生態系への影響を調査。

その結果、草を食む動物の絶滅により、草原における自然火災が劇的に増加していたことが判明しました。

研究は、11月26日付けで学術誌『Science』に掲載されています。

目次 絶滅率が高い地ほど、草原火災が急増 絶滅率が高い地ほど、草原火災が急増 エール大の研究チームは、ユタ自然史博物館(Utah Natural H…

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参考文献

Extinction of Ancient Grazers Triggered a Global Rise in Fires
https://scitechdaily.com/extinction-of-ancient-grazers-triggered-a-global-rise-in-fires/

元論文

Global response of fire activity to late Quaternary grazer extinctions
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abj1580

人間サイズのアンモナイト「パラプゾシア」が巨大進化した理由とは?

最大のアンモナイト「パラプゾシア」の標本。画像のものは直径1.8mに達する
Credit:Wikipedia

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アンモナイトはすでに絶滅している種ですが、多くの人がすぐ頭に思い浮かべられるほど有名な巻き貝です。

そのアンモナイトの一種、白亜紀後期に登場した「パラプゾシア(Parapuzosia)」は、発見された化石の直径が2m近くもある非常に巨大化した種です。

これまでパラプゾシアが、どのように巨大な進化を遂げたのかはわかっていませんでしたが、ドイツのハイデルベルク大学などの国際研究チームは、さまざまなサイズの154のアンモナイト化石から、進化の様子を明らかにしています。

これまでパラプゾシアの巨大化の原因は気候変動だと考えられてきました。

しかし今回の研究は、巨大化の時期が当時の気候変動とうまく一致していない可能性を示しています。では、なにがパラプゾシアを巨大化させたのでしょうか?

研究の詳細は、11月10日付で、科学雑誌『PLOS ONE』に掲載されています。

目次 世界最大のアンモナイト巨大化した進化の流れを発見! 世界最大のアンモナイト アンモナイトは、現在のオウムガイの仲間とされる巨大な殻を持った軟体…

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参考文献

We May Finally Understand Why These Gargantuan Mollusks Got So Huge
https://www.sciencealert.com/here-s-the-possible-reason-why-the-world-s-largest-ammonite-got-so-danged-huge
Human-size ammonites swam the Atlantic Ocean 80 million years ago
https://www.livescience.com/largest-ammonites-evolved-80-million-years-ago
Shelled krakens of the Mesozoic deep
https://eartharchives.org/articles/shelled-krakens-of-the-mesozoic-deep/index.html
Parapuzosia
https://oriasokfoldjen.hu/parapuzosia/

元論文

Ontogeny, evolution and palaeogeographic distribution of the world’s largest ammonite Parapuzosia (P.) seppenradensis (Landois, 1895)
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0258510

5億年前のペニスワームが「ヤドカリ風の貝殻生活」を発明していた

5億年前の「ペニスワーム」は貝殻を身にまとっていた
Credit: Martin R. Smith et al., A ‘hermit’ shell-dwelling lifestyle in a Cambrian priapulan worm(2021)

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地球には奇っ怪な形をした生き物がたくさんいます。

中でも奇妙なのが、海に棲む「プリアプルス」です。

プリアプルスは、容姿が男性器に似ていることから、英名では「ペニスワーム(penis worm)」と呼ばれています。

普段は海底の泥砂にもぐって身を隠し、姿を見せようとはしません。海中をふらふらと泳ぐには、あまりに無防備な姿だからです。

ところが今回、イギリスと中国の研究チームによって発見された、約5億年前のプリアプルスの化石は様子が違っていました。

なんと太古のプリアプルスは、泥砂にもぐるのではなく、手頃な貝殻を身につけるヤドカリスタイルで暮らしていたのです。

これは、貝殻を保護のために使う甲殻類の出現より、遥かに前のこと。

プリアプルスは、引きこもりの先駆者だったのかもしれません。

研究は、11月7日付けで学術誌『Current Biology』に掲載されています。

目次 天敵から身を守るために「貝殻」をまとった? 天敵から身を守るために「貝殻」をまとった? プリアプルスという名は、ギリシャ神話に登場する男性の生…

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参考文献

Ferocious ‘penis worms’ were the hermit crabs of the ancient seas
https://www.livescience.com/penis-worms-hermit-shell-behavior
Ancient Penis Worms Invented the “Hermit Crab” Lifestyle 500 Million Years Ago
https://scitechdaily.com/ancient-penis-worms-invented-the-hermit-crab-lifestyle-500-million-years-ago/

元論文

A ‘hermit’ shell-dwelling lifestyle in a Cambrian priapulan worm
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(21)01357-9?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS0960982221013579%3Fshowall%3Dtrue

25万年前に絶滅した小型ヒト属の「こぶしサイズの頭蓋骨」を発見

25万年前のヒト属の子どもの頭蓋骨を発見
Credit: WITS UNIVERSITY(sciencenews) – A child’s partial skull adds to the mystery of how Homo naledi treated the dead(2021)

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南アフリカにある遺跡で、約25万年前の絶滅したヒト属の頭蓋骨が発見されました。

ホモ・ナレディ(Homo naledi)」という非常に小柄なヒト属のもので、大きさは握り拳ほどしかありません。

子どもの頭蓋骨と推定されており、岩壁の間に安置されるように置いてあったとのこと。

ここから、ヒト属における埋葬文化が、従来考えられていたより、ずっと前から存在していたことが示唆されています。

研究は、11月4日付けで学術誌『PaleoAnthropology』に掲載されました。

目次 大人でも身長150cmの「ホモ・ナレディ」とは? 大人でも身長150cmの「ホモ・ナレディ」とは? ホモ・ナレディの化石が初めて見つかったのは…

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参考文献

Child fossil find in South Africa sheds light on enigmatic hominids
https://phys.org/news/2021-11-child-fossil-south-africa-enigmatic.html
A child’s partial skull adds to the mystery of how Homo naledi treated the dead
https://www.sciencenews.org/article/homo-naledi-child-skull-hominid-cave-discovery

元論文

Immature Hominin Craniodental Remains From a New Locality in the Rising Star Cave System, South Africa
https://paleoanthropology.org/ojs/index.php/paleo/article/view/64

史上初、コンドルの「処女懐胎」を確認

カリフォルニアコンドルで初の「単為生殖」を確認
Credit: PUBLIC RELATIONS(stories.sandiegozoo) – San Diego Zoo Wildlife Alliance Conservation Scientists Report First Confirmed Hatchings of Two California Condor Chicks from Unfertilized Eggs(2021)

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史上初となるカリフォルニアコンドル(California condor)の「処女懐胎」が確認されました。

サンディエゴ動物園・野生動物アライアンス(SDZWA)によると、DNAデータベース内にあった2羽のオスの遺伝子を調べたところ、母親の遺伝子しか受け継いでおらず、父親のDNAは一切含まれていなかったとのこと。

ニワトリや七面鳥などの飼い鳥では単為生殖が記録されていますが、野生のコンドルでは前例がありません。

今回の発見は、過去に採取・保存されていたDNAデータから判明したもので、2羽のオスは数年前にすでに死んでいるとのことです。

研究は、10月28日付けで学術誌『Heredity』に掲載されています。

目次 絶滅の危機から、まさかの「処女懐胎」 絶滅の危機から、まさかの「処女懐胎」 カリフォルニアコンドルは、アメリカ南西部・アリゾナ州北部とカリフォ…

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参考文献

Critically endangered condor chicks are species’ 1st known ‘virgin births’
https://www.livescience.com/condor-chicks-virgin-births-parthenogenesis
Study finds California condors can have ‘virgin births’
https://phys.org/news/2021-10-california-condors-virgin-births.html

元論文

Facultative Parthenogenesis in California Condors
https://academic.oup.com/jhered/advance-article/doi/10.1093/jhered/esab052/6412509

ネアンデルタール人の俊敏な鳥の狩猟方法 研究したら素手で十分だった

「素手」でカラスを捕えるネアンデルタール人の狩猟技術を再現!
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

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失われた狩猟技術が復活したようです。

スペインの国立研究協議会(CSIC)で行われた研究によれば、ネアンデルタール人が行っていたであろう、素手で鳥を捕獲する技術を再現したとのこと。

研究者たちは復活させた技術により最終的に、5525匹ものベニハシカラスを捕えることに成功しています。

研究内容の詳細は『Frontiers in Ecology and Evolution』にて公開されています。

目次 ネアンデルタール人はどうやって鳥を捕えていたのか?夜襲して素手でとらえるいつでも「ヤキトリ」が食べられるのになぜ絶滅したのか? ネアンデルター…

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参考文献

Scientists pretend to be Neanderthals to explore how they caught birds in caves for food
https://www.eurekalert.org/news-releases/928550
ネアンデルタール人絶滅の謎の解明に手がかり —ヨーロッパ最初のホモ・サピエンスの投射技術の解明—
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20190926_03web_neanderthal.pdf

元論文

Night Capture of Roosting Cave Birds by Neanderthals: An Actualistic Approach
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fevo.2021.733062/full
The earliest evidence for mechanically delivered projectile weapons in Europe
https://www.nature.com/articles/s41559-019-0990-3#:~:text=The%20multiple%20findings%2C%20such%20as,is%20more%20than%2020%2C000%20years
Reintroduction of the archaic variant of NOVA1 in cortical organoids alters neurodevelopment
https://www.science.org/doi/10.1126/science.aax2537