「史上最高のSF作家」を自称したR.A.ラファティの正体

ニール・ゲイマンやサミュエル・ディレイニー、ハーラン・エリスンなどSF作家たちが愛読しながら、一般にはほとんど読まれなかったSF作家がR・A・ラファティだ。その狂った酔っ払いのような散文は意味を成していないかに見える一方、たった一文でSFを究極の真理のレヴェルにまで高めてみせる。「SFジャンルで最も価値のある本のいくつかはラファティの描く奇妙な非ユートピアに根ざしている」とさえ言われる「SF作家向けのSF作家」の正体に迫る。

現実はかつてないほどサイバーパンクの世界に近づいている:マイク・ポンスミス、サイバーパンクの復活を語る

サイバーパンクの世界では、テクノロジーが奇跡を起こす力をもち、人々は権力を求めてもがき、未来は不透明で、企業は神の力を手にしている。いまなぜ、このSFジャンルが好調なのか? その生みの親のひとりであるマイク・ポンスミスは、この世界が10年後か20年後にどうなっているかを描いているからだと語る。不確実さが増し、人々の無力感がますます高まる時代に彼がサイバーパンクのジャンルに見た希望のメッセージとは。

SFが生み出した造語を網羅する「SF歴史辞典」は、“未来を予測してきた過去”を編み上げる

スペースコロニーの初登場から超空間へ最初にジャンプした人物までを網羅する「SF歴史辞典」は、SFがこの1世紀で定義してきた造語(および新解釈)の歴史を1,800項目にもわたって網羅している。「未来を予測することを使命としていた過去の記録」であるそれは、SFというジャンルを再定義するだけでなく、造語や新解釈がさまざまな作家の作品間でつながり合っている事実を明らかにすることで、こうした言葉に現実世界での物語も与えている。

SF作家かあるいは預言者か? 中国SFと陳楸帆の「空想科学リアリズム」

国内であらゆる文学賞を受賞し、近年評価の高い作家を数多く輩出する中国SFの第一人者となった陳楸帆(ちんしゅうはん)。代表作『荒潮』は国内外で注目を集め、評論家は彼のことを「中国のウィリアム・ギブスン」と称賛する。だが中国人SF作家は商業的な圧力だけでなく、政治的な風向きにも敏感でなければならないし、地政学的な覇権争いにも巻き込まれている。中国の現実に「空想科学リアリズム」で対峙する陳の超現実的な生活に追る。

SFは、「ネイバーフッド」をいかに記述できるのか? ゲスト:吉上亮(SF作家)[音声配信]

緊急事態宣言下で管理的にできあがった真っ暗な東京と、そのカウンター的存在である白夜の東京──雑誌『WIRED』日本版VOL.41にてジュブナイルSF「白夜境」を寄稿した吉上亮は、『生存賭博』『泥の銃弾』といった著書や「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズのノヴェライズでも知られる気鋭のSF作家だ。彼が「白夜境」に込めた想いや執筆する上で見えてきた東京の姿、さらにSFの現在地と今後の展望を訊いた。