今年面白かった社会学論文10選(2021年)

2019年、2020年と年末に面白かった社会学論文の10選を載せたが、今年も10本の論文を紹介することにした。例年通り、今年私が読んだものの中で、特に「面白い」と感じた10本で、今年出版されたとは限らない。 私の専門フィールドは社会学の中でも移民研究(migration studies)なので、移民研究関係の論文が多い。方法論…

ベツレヘムのクリスマスイブ

イスラエルの占領地ベツレヘム(キリスト生誕の地とされる)では、クリスマスイブに深夜ミサがおこなわれ、(イスラエルの)占領の終結への祈りがささげられた由写真は生誕教会の前の広場だと思われるが、今年はクリスマスイブのキリスト教徒の行進等の行事は行われた(確か…

「Was ist die Muttersprache Jesu? — イエスの母語は何か?紀元1世紀ローマ帝国のポリグロシアについて」by 宮川創「言語学な人々」Adventar 2021

「言語学な人々」アドベントカレンダー12月25日 本記事は、北星学園大学の松浦年男先生がご企画なされた「言語学な人々」というアドベントカレンダーの企画のために書かれました。本記事はこのアドベントカレンダーの最終日のためのものです。「言語学な人々」のアドベントカレンダーの最終日の執筆を承りまして、言語学…

中世の墓地から出土した「手厚く埋蔵されたイルカ」の謎 

中世時代の墓地から見つかった「イルカの骨」
Credit: bbc – Guernsey’s medieval ‘Porpoise grave’ remains a mystery(2018)

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イギリスとフランスの間に浮かぶ英国王室領・ガーンジー島

この島で2017年、とても奇妙な考古学的発見がなされました。

島の南西部シャペル・ドム・フエ(Chapelle Dom Hue)にある中世時代の修道士の隠遁所にて、ある一体の遺骨が墓地から出土

それは人骨ではなく、なんと「イルカの骨」だったのです。

「35年もの間、発掘に携わってきましたが、こんなものは見たことがない」

遺骨の発見者で、オックスフォード大学(Oxford University・英)、ガーンジー博物館・美術館の考古学者であるフィリップ・ド・ジャージー(Philip de Jersey)氏は語ります。

イルカの骨が手厚く埋葬された理由はなんなのでしょうか。

目次 なぜ「イルカの骨」を埋葬したのか なぜ「イルカの骨」を埋葬したのか ド・ジャージー氏は、同年8月から発掘を開始し、その11日目にイルカの骨が埋…

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参考文献

Archaeologists Found a Truly Bizarre Burial in an Isolated Medieval Graveyard
https://www.sciencealert.com/archaeologists-find-a-truly-bizarre-burial-in-an-isolated-medieval-graveyard(2018)
Guernsey’s medieval ‘Porpoise grave’ remains a mystery
https://www.bbc.com/news/world-europe-guernsey-46037369(2018)

【悲報】温泉むすめの平戸基恵さん キリスト教に喧嘩を売ってしまう→「一神教として成立している宗教があたかも八百万の神のごくごく一柱に過ぎないかのような扱い」

塚田 穂高 @hotaka_tsukada 「温泉むすめ」(onsen-musume.jp/character/)、全部は見てないけど、この「平戸基恵」描写・設定はダメだよ。キリスト教は実在の宗教で、「クリスチャン」「シスター」は現実に同じ社会に暮らす人々だよ。これが観光庁後援プロジェクトとは…。教育の失敗だよ。 twitter.com/shige_pain_yuj……

儀式や祈りは人の徳を育てる─「宗教の利点」を科学的に検証してわかったこと | 心理学教授が毎日「祈りを捧げる」理由

宗教は、人類の歴史と切っても切り離せないものの一つだろう。世界中どこへ行っても何かしらの宗教が存在するものだが、それはなぜなのか。一度は考えたことがあるだろうこの疑問に、心理学教授が科学的観点から答えた。科学からほど遠いものと思われる宗教を実践することによる「科学的利点」とは。 遠いようで近い「宗…

神は6日で世界を造ったとの「真実」を理解する意味…理不尽な世界に対峙する「神学」の力

<「なぜ」と問う力──リベラルアーツの本質はICUの神学から学ぶ。話題の本『ICU式「神学的」人生講義 この理不尽な世界で「なぜ」と問う』の一部を抜粋紹介> 国際基督教大学(ICU)で必須教養科目の「キリスト教概論」を担当する魯 恩碩(ロ・ウンソク)教授によると、ICUのリベラルアーツ教育とは、「なぜ」の精神を持つ学生を育てることであり、そこに「キリスト教概論」の存在意義があるという。なぜか。 キリスト教になじみのない者は、信仰とは、神を賛美することと思うかもしれない。しかし、聖書を読むと、多くの場…

1人の子供がいじめられ続けることで、全体の幸せが保たれる社会…「神学」から考える人権

<ICUの「キリスト教概論」がリベラルアーツに強い学生を育てる理由。話題の本『ICU式「神学的」人生講義 この理不尽な世界で「なぜ」と問う』の一部を抜粋紹介、第2回> 国際基督教大学(ICU)で人気の必須教養科目「キリスト教概論」を書籍化した、魯 恩碩(ロ・ウンソク)著『ICU式「神学的」人生講義 この理不尽な世界で「なぜ」と問う』(CCCメディアハウス)は、個人が多様な他者と出会っていくこの世界で、愛し、赦し、共に生きるためのヒントを与えてくれる一冊だ。 日常の、そして世界で起きている問題の多くは…

自らの至らなさを自覚できるからこそ人間は偉大…現代世界の根源的理解を「神学」に学ぶ

<リベラルアーツ教育で名高い国際基督教大学(ICU)の必須教養科目が待望の書籍化。その一部を3回にわたって掲載する> 日本のリベラルアーツ教育を牽引する国際基督教大学(ICU)で、必須教養科目として採択されているのが「キリスト教概論」だ。このたび、『ICU式「神学的」人生講義 この理不尽な世界で「なぜ」と問う』(CCCメディアハウス)として書籍になった。 魯恩碩(ロ・ウンソク)教授のパッション溢れる「キリスト教概論」は、信仰を勧めるための授業ではない。競争社会で他人を出し抜くことなく生きることはでき…