2021年の「話題になった科学ニュース解説4コマ」ベスト5!

2021年の「話題になった科学ニュース解説4コマ」ベスト5!
イラスト:川勝康弘・ツイッターより

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今年になってからナゾロジーでは科学ニュースを4コマで紹介するという、無謀な試みをはじめました。

幸いにも多くの方々の目に留まり、いくつかはテレビでも取り上げて頂きました。

今回は、これまで描かれた4コマの中で特に反響が大きかったものをランキング形式で紹介したいと思います。

2021年の「話題になった科学ニュース解説4コマ」ベスト5! 第5位:練習中ではなく「頻繁な休憩」がスキルを上達させると判明 第5位は、練習と上達の…

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参考文献

ナゾロジー
https://nazology.net/archives/category/technology

湯田温泉がカピバラの皮膚に美肌&美白効果を与えていると判明!(山口大学)

湯田温泉がカピバラの皮膚に美肌&美白効果を与えると判明! 山口大学
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

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温泉につかるカピバラが科学的に分析されました。

日本の山口大学で行われた研究によれば、カピバラを21日間、湯田温泉につからせたところ、乾燥肌がしっとり肌になり、リラクゼーション効果も確認された、とのこと。

カピバラが温泉好きなのは知られていましたが、皮膚科学的な解明が行われたのは、今回の研究が世界ではじめてとなります。

しかし、いったいどうして研究者たちは温泉の効能調査に、人間ではなくカピバラを選んだのでしょうか?

研究内容の詳細は12月8日に『Scientific Reports』にて公開されています。

目次 湯田温泉がカピバラの皮膚に美肌&美白効果を与えると判明! 山口大学カピバラのリラックスレベルは目と耳でわかる温泉は湯冷めしにくいという謎現象が…

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参考文献

湯田温泉の入浴効果を動物実験で科学的に証明
http://www.yamaguchi-u.ac.jp/weeklynews/_9039/_9522.html

元論文

Comfortable and dermatological effects of hot spring bathing provide demonstrative insight into improvement in the rough skin of Capybaras
https://www.nature.com/articles/s41598-021-03102-4

遺伝操作で「絶対に片方の性別しか生まないマウス」を開発

遺伝操作で絶対に片方の性別しか生まないマウスを開発! 精度100%
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

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ファンタジーの世界では、男の子だけあるいは女の子だけしか産まれないようにする「呪い」の話は、しばしば見かけます。

しかし今日に至るまで人類は、この「呪い」と同じ現象を脊椎動物で再現するような科学水準には達していませんでした。

X染色体やY染色体などの性染色体の組み合わせによって性別が決まることが解明され、いくつかの産み分け方法が開発されてはいましたが「絶対に一方の性別しか産ませない」ようにさせるのは、意外に難しかったのです。

しかし英国フランシス・クリック研究所(FCI)で行われた研究によって、人類はマウスの産む子供を100%の精度で、どちらかの性別に限定する技術が開発されました。

絶対に片方の性別しか産まないようにさせる技術は、生物を機械部品のように扱うものだとの懸念もあるでしょうが、不要な性別を排除することで無用な殺処分を減らすことにもつながります。

しかし研究者たちは、いったいどんな方法でファンタジー世界にしかなかった「呪い」のような絶対的な効果を、現実の世界で成し遂げたのでしょうか?

研究内容の詳細は12月3日に『Nature Communications』で公開されました。

目次 遺伝操作で絶対に片方の性別しか生まないマウスを開発!無駄のない畜産業、無駄のない動物実験 遺伝操作で絶対に片方の性別しか生まないマウスを開発!…

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参考文献

Gene-editing used to create single sex mice litters
https://www.crick.ac.uk/news/2021-12-03_gene-editing-used-to-create-single-sex-mice-litters

元論文

CRISPR-Cas9 effectors facilitate generation of single-sex litters and sex-specific phenotypes
https://www.nature.com/articles/s41467-021-27227-2

フキノトウから「がんを壊死させる」強力な化合物を発見!

フキノトウから「がんを壊死させる」強力な化合物が発見! 動物実験でも効果確認
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

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がん治療の未来はフキノトウが握っているかもしれません。

9月1日に、日本の岐阜大学の研究者たちにより『The Journal of Clinical Investigation』に掲載された論文によれば、日本原産のフキノトウの苦味成分から、極めて強力かつ副作用の少ない、抗がん作用のある化合物「ペタシン」が発見されたとのこと。

効果は動物実験においても確認されており、がんになったマウスの腹腔(横隔膜の下)にペタシンを投与することで、がん細胞の増殖と転移を防ぎ、縮小させることにも成功

さらにマウスの体には、目立った害も現れなかったそうです。

しかし、どうしてペタシンに、これほどの抗がん作用があったのでしょうか?

以下では、発見につながった研究者たちの地道な努力を紹介しつつ、ペタシンの秘密に迫っていきます。

目次 フキノトウから抽出されたペタシンはがん細胞のミトコンドリアを攻撃するペタシンは動物実験でも抗がん作用が確認されたペタシンは既存のミトコンドリア…

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参考文献

日本原産フキノトウから  がんの増殖・転移を強く抑制する物質を発見
https://www.gifu-u.ac.jp/about/publication/press/20210826.pdf

元論文

Petasin potently inhibits mitochondrial complex I–based metabolism that supports tumor growth and metastasis
https://www.jci.org/articles/view/139933