葉っぱで「温室」を作って防寒する不思議な花 発見者は日本人

温室を作って花を寒さから守るミヤマニガウリとは?
Credit: ミヤマニガウリの葉が実を守る「温室」を作ることを発見―91 歳自然観察ガイドの 10 年越しの観察が論文に―(2020)

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植物の葉は、主に光合成のための器官であり、開花や結実に直接かかわる葉は知られていません。

ところが、日本に分布する「ミヤマニガウリ」というツル植物には、この常識を覆す驚きの能力を持っています。

なんとミヤマニガウリの葉は、秋になると花や実を包み込んで「温室」をつくり、果実を寒さから守るのです。

温室の内部は、外気温より4度以上も暖かくなるとのこと。

ここでは、このきわめて珍しい現象が発見された経緯と、そのメカニズムを説明していきます。

目次 秋になると花を包み込んで「温室」を作る 秋になると花を包み込んで「温室」を作る この現象は、2008年に、山形県立自然博物園のガイドを務める長…

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参考文献

Unusual type of vine with unique “cocooning” ability discovered by 91-year-old volunteer in Japan
https://www.zmescience.com/science/biology/unique-type-of-vine-26112021/
ミヤマニガウリの葉が実を守る「温室」を作ることを発見―91 歳自然観察ガイドの 10 年越しの観察が論文に―
https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/embed/jaresearchresearch_results2020documents201007_201.pdf

元論文

Green greenhouse: leaf enclosure for fruit development of an androdioecious vine, Schizopepon bryoniifolius
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2020.1718

バナナが出血したように腐敗する「バナナ血液病」がアジアで急拡大している

Banana Blood diseaseにより腐ったバナナ
Credit:Jane Ray et al.(phys)_Arriving in mainland Malaysia, banana Blood disease now poised to spread throughout Southeast Asia(2021)

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バナナは世界中で最も消費されている果物ですが、現在危機的な状況にあります。

オーストラリア・クイーンズランド大学(UQ)の園芸科学センターに所属するジェーン・レイ氏ら研究チームが、治療法の見つかっていない「バナナを殺す病」が東南アジアで拡大していると報告しました。

既に、主流のキャベンディッシュ種を含む18種類のバナナが影響を受けており、早急な対処が必要になっています。

研究の詳細は、11月9日付の学術誌『Plant Disease』に掲載されました。

目次 「バナナを殺す病」が広がる東南アジアで拡大し続けるバナナの病で、「安くて美味しいバナナ」の危機 「バナナを殺す病」が広がる 現在、バナナを殺す…

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参考文献

Arriving in mainland Malaysia, banana Blood disease now poised to spread throughout Southeast Asia
https://phys.org/news/2021-12-mainland-malaysia-banana-blood-disease.html

元論文

Geographic Expansion of Banana Blood Disease in Southeast Asia
https://apsjournals.apsnet.org/doi/10.1094/PDIS-01-21-0149-RE

水を与えず、高塩分で育てる「拷問果樹園」の実態

拷問果樹園
Credit:Pat J. Brown(UC)_The ‘Torture Orchard’ Is a Testing Ground for the Coming Climate Crisis(2021)

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2021年は、アメリカ・カリフォルニア州の農家にとって厳しい年でした。

州の90%近くの地域が極度の干ばつに見舞われたのです。

では、このような気候変動にどのように対処すべきでしょうか?

カリフォルニア大学デービス校(UC)ウォルフスキル実験果樹園では、干ばつに耐える植物を生み出すために過酷な実験が行われています。

いくつかの品種に対して、あえて水を与えなかったり、塩分を含む土壌で栽培したりして、生命力の強い品種を探そうとしているのです。

目次 干ばつ対策のため過酷な実験が行われるピスタチオの木が拷問果樹園での断水実験を生き残る拷問を受けた植物たちには後遺症が残っていた 干ばつ対策のた…

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参考文献

The ‘Torture Orchard’ Is a Testing Ground for the Coming Climate Crisis
https://www.atlasobscura.com/articles/breeding-trees-for-climate-change
Torture orchard: Can science transform California crops to cope with drought?
https://caes.ucdavis.edu/news/torture-orchard-can-science-transform-california-crops-cope-drought

イモカタバミの花

画像はイモカタバミの花{%上昇webry%}。
本来の花期は春から初夏だが、
秋から冬にかけての寒い季節にも咲く。

南米原産の多年草だが、
野外に逸出して野生化している。
群生してたくさんの花を咲かせている様子は見事。

よく似たムラサキカタバミは、
アスファルトの道端でも見られるが、
本種は基本的に……

アブラムシを引き寄せて翅を生やして拡散する驚くべき「寄生RNA」

Credit:Canva

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寄生RNAにとっては生物もウイルスも道具のようです。

日本の北海道大学で行われた研究によれば、ウイルスの内部に潜む「寄生RNA(Y-sat)」に、アブラムシの形態を変化させる能力があることが発見された、とのこと。

「寄生RNA」とは、ウイルス遺伝子の中に配列情報となって寄生する、生命よりも情報に近い存在です。

今回の「寄生RNA(Y-sat)」は植物とアブラムシに感染するウイルスに寄生して、植物内に入り込むと葉の色をアブラムシの好む黄色に変色させ、葉の汁とともにアブラムシの体内に侵入。

その後、今度はアブラムシに翅を生えさせて、自らをさらに広範囲に拡散させているようです。

しかしそのような配列情報が、いったいどのようにして生物の体を操作しているのでしょうか?

研究内容の詳細は12月6日に『Nature Communications』にて公開されています。

目次 アブラムシに翅を生やさせて拡散する「寄生RNA」の仕組みを解明!「寄生RNA」は宿主の宿主までコントロールする アブラムシに翅を生やさせて拡散…

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参考文献

アブラムシを引き寄せ,翅を生やして自らを運ばせるRNAがいた!~植物ウイルスに寄生するY-サテライトRNA分子の驚くべき生き残り戦略の解明~
https://www.hokudai.ac.jp/news/2021/12/rnay-rna.html

元論文

A plant virus satellite RNA directly accelerates wing formation in its insect vector for spread
https://www.nature.com/articles/s41467-021-27330-4

餌やり・水替え不要。机に置ける小さな地球「エコスフィア」とは

室内で植物を育てたいとがんばっているのですが、どうやら私にはその才能がないようです。エコスフィアは、園芸が得意ではないけれど室内に植物を置きたい人向けの素晴らしいアイデアです。 理科の実験をした日々は遠い昔かもしれませんが、TikTokの#ecosphereタグを見ればわかるように、エコスフィアという自立した小さ…

ブドウの種にマウスの寿命を9%伸ばす「老化除去剤」が存在すると判明!

ブドウの種にマウスの寿命を9%伸ばす「老化除去剤」が存在すると判明!
Credit:Canva

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ブドウの種に含まれる成分が、体から老いを切り取ってくれるようです。

中国科学院(CAS)で行われた研究によれば、ブドウの種に含まれる化学物質には、老化した細胞のみを破壊する老化除去効果があり、老いたマウスに注射すると余命が60%、総寿命が9%も伸び、運動能力も改善したとのこと。

体内の老化細胞のみを除去することで、相対的な若さが得られたようです。

「老化を逆転」させるのではなく「老化を除去」するという戦略をとることで、より合理的な長寿薬の開発につながると考えられます。

研究内容の詳細は12月6日に『Nature Metabolism』にて公開されています。

目次 ブドウの種にマウスの寿命を9%伸ばす「老化除去剤」が存在すると判明!老化を逆転するのではなく除去する ブドウの種にマウスの寿命を9%伸ばす「老…

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参考文献

“WE’RE GOING AFTER A CELL TYPE LIKE ANTIBIOTICS GO AFTER BACTERIA.”
https://www.inverse.com/mind-body/grape-seeds-longevity

元論文

The flavonoid procyanidin C1 has senotherapeutic activity and increases lifespan in mice
https://www.nature.com/articles/s42255-021-00491-8

マリモのMRI調査から「年輪」を発見! 年齢推定も可能に(神戸大学)

マリモに年齢があることが判明
Credit: 神戸大学 – マリモにも年輪がある!〜地上最小スケールの栄養循環〜(2021)

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神戸大学を中心とした研究グループはこのほど、MRIを用いた調査により、マリモが樹木とよく似た年輪を持つことを明らかにしました。

また、年輪の幅から、個々のマリモの年齢推定にも成功したとのこと。

本研究の成果は、温暖化や環境破壊に直面しているマリモの保護・管理に役立つと期待されています。

研究は、11月10日付けで学術誌『Scientific Reports』に掲載されました。

目次 丸いマリモがいるのは「世界で2ヵ所」だけ!マリモ内部をMRIで走査 丸いマリモがいるのは「世界で2ヵ所」だけ! マリモ(学名:Aegagrop…

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参考文献

マリモにも年輪がある!〜地上最小スケールの栄養循環〜(神戸大学)
https://research-er.jp/articles/view/105453

元論文

The structure and formation of giant Marimo (Aegagropila linnaei) in Lake Akan, Japan
https://www.nature.com/articles/s41598-021-01028-5