毒入りドリンクを注ぎ分けられる「暗殺ティーポット」のトリックを解説

3つの飲み物を注ぎ分けられる「暗殺者のティーポット」
Credit: Steve Mould/youtube(2021)

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ここに一つのティーポットがあります。

中に入った飲み物を自分用と相手用に注ぎ分けます。

それを互いに飲み干したところ、自分は何の問題もありませんでしたが、相手だけが毒死しました。

コップには何の仕掛けもしていません。

さて、なぜでしょうか?

その答えは、この不気味なティーポットに隠されています。

これは「暗殺者のティーポット(Assassin’s Teapot)」と呼ばれる一品で、中国で生まれたものです。

同じ注ぎ口から、違う種類の飲み物を注ぎ分けられるので、相手にだけ毒入りドリンクを飲ませられるという。

一体、どんなトリックが使われているのか、以下で見ていきましょう。

目次 「暗殺ティーポット」の中身はどうなってる?注ぎ分けを可能にする物理的メカニズム 「暗殺ティーポット」の中身はどうなってる? 暗殺者のティーポッ…

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参考文献

This Is How the Assassin’s Teapot Works
https://interestingengineering.com/video/how-the-assassins-teapot-works?utm_source=rss&utm_medium=video&utm_content=12122021
The Assassin’s Teapot Is Weird(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=jJL0XoNBaac&t=9s

イヌは「一日一食」にすると有病率が低くなるという研究

イヌは「1日1食」にすると健康に年を重ねられる?
Credit: jp.depositphotos

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ワシントン大学(University of Washington・米)はこのほど、約2万4000頭の飼い犬を対象とした研究で、1日1回しか食事を与えないイヌは、食事の回数が多いイヌに比べて、加齢にともなう疾患の有病率が低いことを発見しました。

10年間の追跡調査の結果、1日1食の個体では、消化器系、腎臓・分泌系などの病気発症リスクが有意に低かったとのこと。

しかし、研究チームと獣医師らは「まだ相関関係の段階にあり、科学的証拠が見つかるまで食事方法を変えるべきではない」としています。

本研究は、査読前論文として、11月11日付けのプレプリントジャーナル『bioRxiv』に掲載されています。

目次 「断食」は体に良い食事法 「断食」は体に良い食事法 特定の時間にだけ食事をする「断続的断食(インターミッテント・ファスティング)」について聞い…

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参考文献

Feeding dogs only once a day may protect them from age-related disease
https://www.zmescience.com/ecology/animals-ecology/feeding-dogs-only-once-a-day-may-protect-them-from-age-related-disease/

元論文

Once-daily feeding is associated with better cognitive function and health in companion dogs: Results from the Dog Aging Project
https://europepmc.org/article/ppr/ppr418863

車に引かれても潰れない「スーパーゼリー」が開発される

ケンブリッジ大学が開発したスーパーゼリーは80%以上が水分であるのに高い圧力耐性を持っている
Credit:University of Cambridge/Zehuan Huang

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ゼリーのような物質は80%が水で構成されていて、圧力に弱く、押しつぶすと簡単に崩れてしまいます。

しかし、英国ケンブリッジ大学の研究チームは、柔らかいゼリーのようでありながら、最大100MPaの圧力にも耐えられるという、非常に不思議な素材「スーパーゼリー(Super jelly’)」を開発しました。

チームはこのゼリーを車で何度も何度も轢き潰す実験動画を公開していますが、ゼリーは驚いたことに無傷です。

研究の詳細は、9月25日付で科学雑誌『Nature Materials』に掲載されています。

目次 車が轢いても崩れない強靭なゼリー 車が轢いても崩れない強靭なゼリー チームが公開した動画では、明らかに柔らかそうなゼリー(ヒドロゲル、水を含ん…

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参考文献

‘Super jelly’ can survive being run over by a car
https://www.cam.ac.uk/research/news/super-jelly-can-survive-being-run-over-by-a-car

元論文

Highly compressible glass-like supramolecular polymer networks
https://www.nature.com/articles/s41563-021-01124-x

液滴同士がくっつかない「新しいライデンフロスト効果」を発見

ライデンフロスト効果で、異なる種類の液滴が弾きあう現象が確認された
Credit:F. Pacheco-Vázquez et al.,PhysRevLett(2021)

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水の沸点を大きく超えたホットプレートに雫を落とすと、雫はすぐに蒸発せずにわずかに宙に浮いたまま維持されることがあります。

これをライデンフロスト効果と呼びます。

メキシコのプエブラ大学(University of Puebla)の研究チームは、この効果が発生しているときに、異なる種類の液滴がぶつかると、合体せずに連続して跳ね返ることを発見

チームはこれを「トリプルライデンフロスト効果(Triple Leidenfrost Effect)」と名付け、どういった条件でそれが起きるかについて、分析して報告を行っています。

研究の詳細は、11月12日付で、科学雑誌『PHYSICAL REVIEW LETTERS』に掲載されています。

目次 高温の表面で液体が蒸発せずに宙に浮く「ライデンフロスト効果」液滴同士の間でも起きるライデンフロスト効果 高温の表面で液体が蒸発せずに宙に浮く「…

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参考文献

Amazing Video Reveals a New Kind of Leidenfrost Effect We’ve Never Seen Before
https://www.sciencealert.com/we-ve-just-discovered-a-new-kind-of-leidenfrost-effect
Bouncing Droplets Reveal New Leidenfrost Effect
https://physics.aps.org/articles/v14/160

元論文

Triple Leidenfrost Effect: Preventing Coalescence of Drops on a Hot Plate
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.127.204501

極寒の南極で「空気中の水素をエサにして生きるバクテリア」を発見

南極東部マッケイ氷河のの北にある氷のない砂漠地帯。バクテリアはここから発見された。
Credit:Ian Hogg

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エネルギーとして得るものが何もなく、乾燥して細胞を維持することさえ困難な環境にも数多くのバクテリアが存在しています。

彼らはいったいどうやって生きるためのエネルギーを得て、細胞を維持しているのでしょうか?

南アフリカのプレトリア大学(UP)の研究チームは、東南極の凍土に潜む451種類のバクテリアを調査し、そのほとんどが空気中の水素を燃料とし、副産物として水を生成していることを明らかにしました。

また遺伝子解析から、これらの細菌は10億年前にこのような形態に分岐したこともわかったといいます。

人間が水素をエネルギー源として活用し始めたのはつい最近のことですが、南極に住むバクテリアは10億年前からそれをしていたようです。

研究の詳細は、11月9日付で科学雑誌『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』に掲載されています。

目次 極限の環境で生きる微生物霞を食べて生きる微生物たち水がない環境でも生命が生存できる可能性 極限の環境で生きる微生物 今回調査が行われたのは、東…

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参考文献

Antarctic bacteria live on air and make their own water using hydrogen as fuel
https://theconversation.com/antarctic-bacteria-live-on-air-and-make-their-own-water-using-hydrogen-as-fuel-171808

元論文

Multiple energy sources and metabolic strategies sustain microbial diversity in Antarctic desert soils
https://www.pnas.org/content/118/45/e2025322118

最強生物クマムシは「体内の水分を抜きタンパク質をゲル化」して無敵になっていた

クマムシの無敵モード「乾眠」を可能にするメカニズムとは?
Credit: ja.wikipedia

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クマムシの驚異的な環境適応力は、「乾眠」という特殊な脱水状態によって発動されます。

しかし、生き物は普通、体内の水分を抜くと生きていけません。

クマムシについても、乾眠を可能にするメカニズムはほとんど何も分かっていませんでした。

自然科学研究機構・生命創成探究センター(ExCELLS・日本)は今回、クマムシの乾燥耐性の仕組みを調査。

その結果、脱水ストレスがかかると、細胞内のタンパク質が集まってゲル状のファイバーを作ることが明らかになりました。

このファイバーが、乾燥した細胞を保護している可能性があるようです。

研究は、11月4日付けで学術誌『Scientific Reports』に掲載されています。

目次 脱水に反応して、タンパク質が集合 脱水に反応して、タンパク質が集合 クマムシは過酷な環境にさらされると、体の水分を抜いて「乾眠」に移行します。…

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参考文献

“地上最強生物”クマムシの乾燥耐性の仕組みの解明に挑む ―水分消失に伴って細胞の中のタンパク質が集まってファイバーをつくることを発見
https://research-er.jp/articles/view/104621

元論文

Desiccation-induced fibrous condensation of CAHS protein from an anhydrobiotic tardigrade
https://www.nature.com/articles/s41598-021-00724-6