リスカなど自傷行為の根底にある脳のメカニズムを解明!

リスカなど自傷行為の根底にある脳のメカニズムを解明!
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

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自傷行為と脳の関係が解き明かされました。

米国のミネソタ大学で行われた研究によれば、リストカットなどの自傷行為をしている少女たちの脳を調べたところ、恐怖を感じる脳領域(偏桃体)の活動量が変化し、理性にかかわる脳領域(前頭前野内側)との接続性が低下していた、とのこと。

さらに重度の自傷行為を行っている少女たちは、ストレスを感じてもストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が鈍くなっていました。

どうやら重度の自傷行為の裏には、脳の接続不良やホルモンの分泌不足など、神経系の物理的な異常が潜んでいるようです。

研究内容の詳細は『Development and Psychopathology』で公開されています。

目次 リスカなどの自傷行為の根底にある脳のメカニズムを解明!自傷によって脳の接続が失われ「恐怖」が壊れる「逃げ」のリスカが自傷中毒を引き起こす リス…

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参考文献

New study sheds light on the neurobiological mechanisms underlying non-suicidal self-injury
https://www.psypost.org/2021/11/new-study-sheds-light-on-the-neurobiological-mechanisms-underlying-non-suicidal-self-injury-62170
The Self-Harming Brain New research looks at the neurobiology of self-harm in teens.
https://www.psychologytoday.com/us/blog/domestic-intelligence/202001/the-self-harming-brain

元論文

Multimodal assessment of sustained threat in adolescents with nonsuicidal self-injury
https://www.cambridge.org/core/journals/development-and-psychopathology/article/multimodal-assessment-of-sustained-threat-in-adolescents-with-nonsuicidal-selfinjury/698AD1E73B8E0061BA9C48156F63AA40
Incidence, clinical management, and mortality risk following self harm among children and adolescents: cohort study in primary care
https://www.bmj.com/content/359/bmj.j4351

言語能力は「道具を使った作業をすると向上する」と判明

道具の練習で言語能力が上達し逆も起こると判明! 根元は同じ回路
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

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言語能力を高めるには道具を使った作業が効くようです。

フランスのリヨン神経科学センター(CRNL)で行われた研究によれば、言語の構文を理解する脳回路と道具の使用スキルにかかわる脳回路が共通であり、一方を練習すれば他方の上昇が起こった、とのこと。

複雑な構文を学習をしようと思っているなら合間合間に、道具を使った複雑な作業をすると、相乗効果が得られるかもしれません。

研究内容は11月12日に『Science』に掲載されました。

目次 言語能力と道具スキルは同じ脳回路が担当している道具の練習で言語能力が上がり言語の練習で道具の扱いが上手くなる本業の地力をあげるには他分野に手を…

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参考文献

Using Tools Improves Our Language Skills
https://presse.inserm.fr/en/using-tools-improves-our-language-skills/44084/

元論文

Tool use and language share syntactic processes and neural patterns in the basal ganglia
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abe0874

シナプスは筋肉に匹敵する「力で情報伝達」していたと判明!

シナプスでは筋肉に匹敵する「力で情報伝達」がされていたと判明!
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脳は力(物理)で記憶するようです。

日本の東京大学で行われた研究によれば、脳細胞の接合部「シナプス」は細胞同士の物理的な圧力を使って情報伝達を行い長期記憶を形成していく、とのこと。

脳細胞の情報伝達といえば、電気を使う「電気伝達」や神経伝達物質による「化学伝達」だけであると考えられていましたが、細胞同士の押し合いによる純粋な「力学的伝達」も存在するようです。

さらに脳細胞同士の押し合いの力を測定したところ、1cm平方あたり500gと筋肉に匹敵することが判明。

どうやら私たちの脳細胞は思ったよりもずっとマッスル(ある意味で脳筋)な方法で情報伝達を行っていたようです。

研究内容の詳細は11月24日に『Nature』に掲載されました。

目次 シナプスでは筋肉に匹敵する「力で情報伝達」がされていたと判明!個人差の根源は脳細胞の力学的特性にあるかもしれない シナプスでは筋肉に匹敵する「…

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参考文献

「 脳は記憶を力で刻む—シナプスの力と圧感覚による新しい伝達様式の発見— 」
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20211125/pdf/20211125.pdf

元論文

Mechanical actions of dendritic-spine enlargement on presynaptic exocytosis
https://www.nature.com/articles/s41586-021-04125-7

ポップコーンを食べながらの映画は「楽しみが減少する」と明らかに

ポップコーンを食べながらだと、映画体験が阻害されるという研究
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映画のオトモと言えば、やはりポップコーン。

映画館に着くと、まずポップコーンを買っておくという人も多いのではないでしょうか。

しかし、新たな研究によると、ポップコーンの存在はかえって映画体験をジャマしてしまうようです。

エラスムス大学ロッテルダム経営大学院(RSM・オランダ)は、食べ物がレジャー体験の楽しみに与える影響を調査。

その結果、脳は、食べ物の味に注意が向くことで、レジャー体験に集中できなくなることが示されました。

研究は、8月1日付けで学術誌『Journal of Marketing Research』に掲載されています。

目次 食べ物はレジャー体験の「楽しみ」を阻害する? 食べ物はレジャー体験の「楽しみ」を阻害する? 主任研究員のアン=キャスリン・クレッセ(Anne-…

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参考文献

Ditch the popcorn! Bringing a delicious snack to the cinema can RUIN your experience by distracting your brain and making it focus on how the food will taste rather than on the movie itself
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-10237721/Bringing-delicious-snack-cinema-ruin-experience-distracting-brain.html
Having popcorn makes you enjoy the film less, new research reveals
https://pressreleases.responsesource.com/news/102089/having-popcorn-makes-you-enjoy-the-film-less-new-research/

元論文

How (and When) the Presence of Food Decreases Enjoyment of Customer Experiences
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/00222437211010465

「アウトプットしまくる人」がやっぱり強いワケ。圧倒的行動力にも心の安定にもつながる – STUDY HACKER|これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディア

「仕事も勉強もアウトプットが大事!」と聞くけど、アウトプットってそこまで重要なんだろうか? クリエイターでもなければ、論文を書くような勉強をしているわけでもないし……。 そんなあなたに、「アウトプットしまくる人はやっぱり強い!」と納得できる3つのメリットをお伝えします。 「やることが多すぎて手をつけら…

赤ちゃんの頭の匂いは男性を落ち着かせ、女性を勇敢にすると判明!

赤ちゃんの頭の匂いは男性を落ち着かせ、女性を勇敢にすると判明!
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赤ちゃんの頭には魔法がかかっているようです。

イスラエルのワイツマン研究所(WIS)で行われた研究によれば、人間の赤ちゃんの頭から発せられる揮発性物質には、男性の攻撃性を減らす一方で、女性の攻撃性を増加させる効果があった、とのこと。

男性の攻撃性が減ることで赤ちゃんの虐待が防がれ、女性の攻撃性が増加することで赤ちゃんを守る勇敢さが与えられたと研究者たちは結論付けています。

自分の血を引かない子に対して常習的な子殺しを行っているチンパンジーやライオンと比べて、人間は弱き者を大事にする理性と道徳が備わった存在、とする意見もありますが……少なくとも赤ちゃんが自衛の必要に迫られる程度には、人間もチンパンジーやライオンに近かったようです。

研究内容の詳細は11月19日に『Science Advances』で公開されました。

目次 赤ちゃんの頭の匂いは男性を落ち着かせ、女性を勇敢にすると判明!男性は20%のマイナス、女性は20%のプラス赤ちゃんの頭の匂いは男性による虐待を…

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参考文献

Body Odor Chemical HEX Surprising Effects: Compound Calms Men But Triggers Aggression in Women
https://www.sciencetimes.com/articles/34615/20211120/body-odour-chemical-calms-men-triggers-aggression-women-study.htm

元論文

Sniffing the human body volatile hexadecanal blocks aggression in men but triggers aggression in women
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abg1530

「細部を覚えていない」ことはボケではなく脳が正常に機能している証だった

細部を覚えていないのは脳機能が正常な証拠
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私たちの脳は、細部を忘れたり、間違って記憶していたりする場合があります。

「先週、ピクニックのお弁当に入れてくれた梅おにぎり美味しかったよ」なんて話を家族としたら、「あら、作ったの高菜のおにぎりよ」なんて言われたり、そんな記憶違いは日常でちょくちょく起こります。

そんなふうに、つい最近の出来事が正確に記憶できていないと、「私、ボケてきた?」と不安になるかもしれません。

最近のことを記憶違いしてしまうのは、いわゆるボケの始まりなのでしょうか?

ところがアメリカ・ロンチェスター大学(University of Rochester)の認知科学者ロバート・ジェイコブス氏は、「細部を覚えていないのは脳機能が正常に働いている証拠」だと語ります。

実のところ、記憶の不確かさを理由に、脳機能の低下を心配する必要はないかもしれません。

目次 人間の知覚や認知は最適なのか?細部を間違えて覚えるのは脳の最適化によるものだった 人間の知覚や認知は最適なのか? 私たちは、細部を事実とは異な…

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参考文献

Misremembering might actually be a sign your memory is working optimally
https://theconversation.com/misremembering-might-actually-be-a-sign-your-memory-is-working-optimally-166089

突然の痙攣に倒れた男性、原因は「20年前に感染したサナダムシ⁈」

20年前に感染したサナダムシが原因で、てんかん発作が現れる?
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先日、ボストン在住の男性(38歳、身元は非公開)が、夜中に突然の発作を起こして、せん妄状態に陥り、救急搬送されました。

男性の妻によると、午前4時頃にベッドから落ちて、痙攣を引き起こし、意味不明な言葉を発し始めたという。

搬送先の病院で検査した結果、男性の脳は、数年前からサナダムシの幼虫に侵されていたことが判明しました。

男性に基礎疾患はなく、前日まで健康状態に何の問題なかったとのことです。

症例報告は、11月11日付けで学術誌『The New England Journal of Medicine』に掲載されています。

目次 サナダムシの感染による「神経嚢虫症」とは サナダムシの感染による「神経嚢虫症」とは 搬送後、MRIとCTで男性の脳をスキャンしたところ、3カ所…

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参考文献

Dead tapeworm in man’s brain caused him to speak ‘gibberish’ and have seizures
https://www.livescience.com/dead-brain-tapeworm-twenty-year-infection

元論文

Case 34-2021: A 38-Year-Old Man with Altered Mental Status and New Onset of Seizures
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMcpc2027080

赤ちゃんは生後2カ月で「ユーモア」を理解し11カ月で自己生成すると判明

赤ちゃんは生後2か月で「ユーモア」を理解し11カ月で自己生成すると判明
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

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赤ちゃんにとって両親は最初のコメディアンなようです。

英国ブリストル大学(UB)で行われた研究によれば、赤ちゃんは生後2カ月で「いないいないばぁっ!」などの「変顔」「変声」に代表されるユーモアを理解しはじめ、11カ月になると自分からユーモアを生み出しはじめる、とのこと。

赤ちゃんたちの笑いを理解する能力が年齢別にマッピングされたのは、今回の研究がはじめてになります。

どうやら私たち人間の脳は、早期からユーモアの学習と実戦を優先するよう、生まれつきプログラムされているようです。

しかし、なぜ赤ちゃんは言語よりも先にユーモアを理解できるのでしょうか?

研究内容の詳細は11月18日に『Behavior Research Methods』で公開されました。

目次 赤ちゃんは生後2カ月で「ユーモア」を理解し11カ月で自己生成すると判明赤ちゃんとユーモアの関係が発達障害の検出法になる 赤ちゃんは生後2カ月で…

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参考文献

Study Captures Humor’s Earliest Emergence in Young Children
https://neurosciencenews.com/humor-neurodevelopment-19675/

元論文

The Early Humor Survey (EHS): A reliable parent-report measure of humor development for 1- to 47-month-olds
https://link.springer.com/article/10.3758%2Fs13428-021-01704-4