狙った細胞に「自分を殺す毒」を作らせるRNA技術が登場

がん細胞だけを殺す「毒入りRNA」も可能
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

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がん細胞だけを殺すRNAができるかもしれません。

ハーバード大学とMIT(マサチューセッツ工科大学)で行われた研究によれば、狙った細胞に好きなタンパク質を生産させる特殊なRNA(eToehold)を開発した、とのこと。

がん細胞やウイルスに感染した細胞など特定の細胞に対して、毒となるタンパク質を生産させることができれば、がん治療や感染治療に革命が起こる可能性があります。

しかし、1本鎖の核酸に過ぎないRNAに、どうやって狙った細胞を認識させることができたのでしょうか?

研究内容の詳細は10月28日に『Nature Biotechnology』にて公開されました。

目次 「毒入りRNA」で細胞を殺す狙った細胞に狙ったタンパク質を作らせる複合RNA「狙う細胞」と「生産させたいタンパク質」は自由に選べる 「毒入りR…

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参考文献

Engineers devise a way to selectively turn on RNA therapies in human cells
https://news.mit.edu/2021/rna-therapies-control-human-cells-1028
Creating a new toehold for RNA therapeutics, cell therapies, and diagnostics
https://wyss.harvard.edu/news/creating-a-new-toehold-for-rna-therapeutics-cell-therapies-and-diagnostics/

元論文

RNA-responsive elements for eukaryotic translational control
https://www.nature.com/articles/s41587-021-01068-2

史上初、コンドルの「処女懐胎」を確認

カリフォルニアコンドルで初の「単為生殖」を確認
Credit: PUBLIC RELATIONS(stories.sandiegozoo) – San Diego Zoo Wildlife Alliance Conservation Scientists Report First Confirmed Hatchings of Two California Condor Chicks from Unfertilized Eggs(2021)

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史上初となるカリフォルニアコンドル(California condor)の「処女懐胎」が確認されました。

サンディエゴ動物園・野生動物アライアンス(SDZWA)によると、DNAデータベース内にあった2羽のオスの遺伝子を調べたところ、母親の遺伝子しか受け継いでおらず、父親のDNAは一切含まれていなかったとのこと。

ニワトリや七面鳥などの飼い鳥では単為生殖が記録されていますが、野生のコンドルでは前例がありません。

今回の発見は、過去に採取・保存されていたDNAデータから判明したもので、2羽のオスは数年前にすでに死んでいるとのことです。

研究は、10月28日付けで学術誌『Heredity』に掲載されています。

目次 絶滅の危機から、まさかの「処女懐胎」 絶滅の危機から、まさかの「処女懐胎」 カリフォルニアコンドルは、アメリカ南西部・アリゾナ州北部とカリフォ…

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参考文献

Critically endangered condor chicks are species’ 1st known ‘virgin births’
https://www.livescience.com/condor-chicks-virgin-births-parthenogenesis
Study finds California condors can have ‘virgin births’
https://phys.org/news/2021-10-california-condors-virgin-births.html

元論文

Facultative Parthenogenesis in California Condors
https://academic.oup.com/jhered/advance-article/doi/10.1093/jhered/esab052/6412509

偉大な功績を男性に奪われた「女性発明家ランキングTOP10」

科学的な功績を男性に奪われた女性たち
Credit: National Science Foundation

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歴史を振り返ってみると、人類社会には古くから女性差別が存在していました。

時が経ってもそれは変わらず、性差別は科学分野にもおよんでいます。

男性は、聡明な女性たちの科学的発見や偉大な発明をひた隠しにし、自分たちの功績にしようとしたのです。

その陰で、不当に評価されてきた女性たちは数知れません。

そこで今回は、男性の功績にされているが、本当は女性が発見・発明したものトップ10を紹介していきます。

第10位 エスター・レーダーバーグ「ラムダファージ」 エスター・レーダーバーグ(1922-2006)は、アメリカの微生物学者であり、意志の強い野心的…

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参考文献

10 Inventions and Theories Made by Women but Credited to Men
https://listverse.com/2021/09/17/10-inventions-and-theories-made-by-women-but-credited-to-men/

現代人の祖先と見られる新人種が「ホモ・ボドエンシス」と命名される

現代人の直接祖先と思われる人種の新たな学名を命名
Credit: Ettore Mazza(phys) – Experts name new species of human ancestor(2021)

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今や世界人口は78億人を突破していますが、これらの人は全て「ホモ・サピエンス」というたった1種に属します。

しかしかつては、幾種類もの人類が地球を歩き回っていました。

その中で、どの種がホモ・サピエンスの直接祖先に当たるのかは、今もって調査中です。

そしてこのほど、カナダ・セルビア・中国・アメリカの国際研究チームは、現代人の直接祖先の可能性が高い人種の学名を新たに命名しました。

その名は「ホモ・ボドエンシス(Homo bodoensis)」

ホモ・ボドエンシスは、約50〜60万年前のアフリカにいた人種で、現代人につながる系統の解明に役立つと考えられます。

研究は、10月28日付けで学術誌『Evolutionary Anthropology』に掲載されました。

 

目次 混沌とする「人種」の世界 混沌とする「人種」の世界 発見された古代人の化石が、既知の種に属するのか、あるいは新種なのかを決めるのは、非常に難し…

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参考文献

Newly named human species may be the direct ancestor of modern humans
https://www.livescience.com/new-human-species-named-bodoensis
Experts name new species of human ancestor
https://phys.org/news/2021-10-experts-species-human-ancestor.html

元論文

Resolving the “muddle in the middle”: The case for Homo bodoensis sp. nov.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/evan.21929

世田谷一家の殺人犯と疑われかねない言動の変質者(2016年編)

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「半殺し」にしたがん細胞を体に戻すと免疫療法が上手くいくと判明!

「半殺し」にしたがん細胞を体に戻すと免疫療法が上手くいくと判明! 利用されるがん細胞最後の良心
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

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がん消滅の秘訣は「半殺し」にありました。

アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)で行われた研究によれば、マウスの体から切り取った、がん細胞のDNAをズタズタにして(半殺しにして)、再び腫瘍に戻したところ、免疫療法の治療効果が大幅に上昇したとのこと。

新たに開発された「半殺し」法は、黒色腫と乳がんに対しても効果を発揮し、免疫療法の併用によってマウスの40%において腫瘍が完全に消滅しました。

しかし、いったいどうして一部の細胞を「半殺し」にして戻すだけで、免疫システムは腫瘍全体を攻撃し始めたのでしょうか?

研究内容の詳細は10月19日に『Science Signaling』に公開されています。

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参考文献

Chemotherapy-Injured Tumor Cells Boost Anticancer Effectiveness of Immune Checkpoint Inhibition
https://www.genengnews.com/news/live-chemotherapy-injured-tumor-cells-boost-anticancer-effectiveness-of-immune-checkpoint-inhibition/
New cancer treatment may reawaken the immune system
https://news.mit.edu/2021/new-cancer-treatment-may-reawaken-immune-system-1019

元論文

The injury response to DNA damage in live tumor cells promotes antitumor immunity
https://www.science.org/doi/10.1126/scisignal.abc4764

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