約7300万年前、現在のチリ南部に暮らしていた新種の恐竜ステゴウロス(想像図)。平たいこん棒のような尾を持ち、河口の三角州で暮らしていた。(ILLUSTRATION BY MAURICIO ÁLVAREZ) 7500万~7200万年前、現在の南米パタゴニア地方で、ごつごつしたある恐竜が河口の三角州に埋もれ、やがて化石となった。 この生物は、…
実は大きい?「古生物の覇者」アノマロカリスの正体とは

アンモナイトや三葉虫と並び、有名な古生物「アノマロカリス」をご存知でしょうか。
名前はピンと来なくとも、ロボットや書籍の表紙等で、その変な見た姿を目にした人は多いと思います。
「古生物」とは、絶滅し今は存在しない生物のことですが、化石の研究から様々な憶測がされています。
今回は、そんな「アノマロカリス」の生態についてご紹介します。
目次 アノマロカリスの生態アノマロカリスの最新研究 アノマロカリスの生態 アノマロカリスの分類は、脊椎動物(背骨のある動物)、節足動物門(エビ、虫、…
参考文献
Anomalocaris, the largest known Cambrian arthropod, D. E. G. Briggs
https://www.google.com/url?q=https://www.palass.org/publications/palaeontology-journal/archive/22/3/article_pp631-664&sa=D&source=docs&ust=1638178732750000&usg=AOvVaw3h4UgvEbpJFXl4hOLyAWU7
Anomalocaris and Other Large Animals in the Lower Cambrian Chengjiang Fauna of Southwest China, Hou Xian‐Guang
https://www.google.com/url?q=https://www.researchgate.net/publication/233050167_Anomalocaris_and_Other_Large_Animals_in_the_Lower_Cambrian_Chengjiang_Fauna_of_Southwest_China&sa=D&source=docs&ust=1638178750800000&usg=AOvVaw2gLG6brn5sokV6dVf5McSy
カンブリア紀のアノマロカリスの遊泳行動の獲得、五十嵐地広(PDFファイル)
http://hokkaido.jspe.or.jp/proc_archive/2017/pdf/17-C-04.pdf
「こん棒の尻尾」を武器にする新種恐竜を発見 チリ大学

南米チリの亜南極域にて、奇妙な尻尾をもつ新種のアンキロサウルスの化石が発見されました。
最大の特徴は、殺傷性の高い武器のような尻尾で、既知種では見られません。
チリ大学(University of Chile)の古生物学者で、本研究主任のアレクサンダー・バルガス(Alexander Vargas)氏は「アステカの棍棒として知られる、マクアフティル(macuahuitl)に似ている」と指摘します。
それだけでなく、新種の化石は、アンキロサウルスの進化について、これまで知られていなかった物語を明らかにしてくれました。
研究は、12月1日付けで学術雑『Nature』に掲載されています。
目次 尻尾はまるで「アステカの棍棒」 尻尾はまるで「アステカの棍棒」 化石の発見は2018年2月のこと。約7490万〜7170万年前に当たる白亜紀の…
参考文献
‘Very weird’ ankylosaur’s tail looked like an Aztec war club
https://www.livescience.com/new-ankylosaur-dinosaur-chile
New dinosaur species from Chile had a unique slashing tail
https://phys.org/news/2021-12-dinosaur-species-chile-unique-slashing.html
元論文
Bizarre tail weaponry in a transitional ankylosaur from subantarctic Chile
https://www.nature.com/articles/s41586-021-04147-1
実は間違いだった!映画『ジュラシック・パーク』の真実10選

スピルバーグ監督の大ヒット映画『ジュラシック・パーク』(1993)。
本作がきっかけで、恐竜好きになったり、古生物学者になろうと決心した人も多いでしょう。
しかし一方で、恐竜学の歴史は非常に浅く、今も毎日のように新知見や新種の化石が発見され続けています。
そのため、30年近くも前に公開された本作には、科学的事実と異なるシーンがたくさん見受けられるのです。
そこで今回は、実は間違いだった『ジュラシック・パーク』の真実10選を紹介していきます。
※ジュラシック・シリーズは全部で5作公開されており、1作目以外の作品に触れている箇所もあります。
1.蚊から「恐竜DNA」は抜き出せない 映画内で、恐竜をどのように蘇らせたか覚えているでしょうか。 琥珀の中に保存された蚊から恐竜の血液を取り出し、…
参考文献
Here’s Just How Wrong Jurassic Park Is About Dinosaurs
https://www.ranker.com/list/factual-inaccuracies-in-jurassic-park/beth-elias?ref=browse_list
二位はメガロドン、一位は?「太古の海に実在した怪物ランキングTOP10」

海は生命の母であり、これまで数えきれないほどの生物が海で誕生しては消えていきました。
現在、地球上で最大の生物であるクジラも海にいます。
しかし過去を振り返ってみると、クジラでさえ尻尾を巻いて逃げ出すであろう「シーモンスター」たちがワンサカいました。
そこで今回は、太古の海に存在した「奇妙で凶暴なモンスターTOP10」を紹介していきます。
第10位 リードシクティス・プロブレマティカス いきなり長ったらしい名前で申し訳ないですが、これは地球に存在した「史上最大の魚類」と言われています。…
参考文献
The Most Horrifying Sea Monsters To Ever Terrorize The Ocean
https://www.ranker.com/list/most-horrifying-sea-creatures-of-all-time/eric-vega?ref=browse_list&l=1
世界最大のトリケラトプス化石「ビッグジョン」売却がもたらす波紋
「ビッグジョン」の通称で知られるトリケラトプスの化石の競売を監視する競売人のアレクサンドレ・ジクエロ氏。2021年10月21日、ビッグジョンは匿名の米国人に手数料込み770万ドル(約8億7000万円)で売却された。(PHOTOGRAPH BY MICHEL STOUPAK, NURPHOTO VIA GETTY IMAGES) 2014年、米サウスダコタ州の牧場で、浸食…
人間サイズのアンモナイト「パラプゾシア」が巨大進化した理由とは?

アンモナイトはすでに絶滅している種ですが、多くの人がすぐ頭に思い浮かべられるほど有名な巻き貝です。
そのアンモナイトの一種、白亜紀後期に登場した「パラプゾシア(Parapuzosia)」は、発見された化石の直径が2m近くもある非常に巨大化した種です。
これまでパラプゾシアが、どのように巨大な進化を遂げたのかはわかっていませんでしたが、ドイツのハイデルベルク大学などの国際研究チームは、さまざまなサイズの154のアンモナイト化石から、進化の様子を明らかにしています。
これまでパラプゾシアの巨大化の原因は気候変動だと考えられてきました。
しかし今回の研究は、巨大化の時期が当時の気候変動とうまく一致していない可能性を示しています。では、なにがパラプゾシアを巨大化させたのでしょうか?
研究の詳細は、11月10日付で、科学雑誌『PLOS ONE』に掲載されています。
目次 世界最大のアンモナイト巨大化した進化の流れを発見! 世界最大のアンモナイト アンモナイトは、現在のオウムガイの仲間とされる巨大な殻を持った軟体…
参考文献
We May Finally Understand Why These Gargantuan Mollusks Got So Huge
https://www.sciencealert.com/here-s-the-possible-reason-why-the-world-s-largest-ammonite-got-so-danged-huge
Human-size ammonites swam the Atlantic Ocean 80 million years ago
https://www.livescience.com/largest-ammonites-evolved-80-million-years-ago
Shelled krakens of the Mesozoic deep
https://eartharchives.org/articles/shelled-krakens-of-the-mesozoic-deep/index.html
Parapuzosia
https://oriasokfoldjen.hu/parapuzosia/
元論文
Ontogeny, evolution and palaeogeographic distribution of the world’s largest ammonite Parapuzosia (P.) seppenradensis (Landois, 1895)
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0258510
5億年前のペニスワームが「ヤドカリ風の貝殻生活」を発明していた

地球には奇っ怪な形をした生き物がたくさんいます。
中でも奇妙なのが、海に棲む「プリアプルス」です。
プリアプルスは、容姿が男性器に似ていることから、英名では「ペニスワーム(penis worm)」と呼ばれています。
普段は海底の泥砂にもぐって身を隠し、姿を見せようとはしません。海中をふらふらと泳ぐには、あまりに無防備な姿だからです。
ところが今回、イギリスと中国の研究チームによって発見された、約5億年前のプリアプルスの化石は様子が違っていました。
なんと太古のプリアプルスは、泥砂にもぐるのではなく、手頃な貝殻を身につけるヤドカリスタイルで暮らしていたのです。
これは、貝殻を保護のために使う甲殻類の出現より、遥かに前のこと。
プリアプルスは、引きこもりの先駆者だったのかもしれません。
研究は、11月7日付けで学術誌『Current Biology』に掲載されています。
目次 天敵から身を守るために「貝殻」をまとった? 天敵から身を守るために「貝殻」をまとった? プリアプルスという名は、ギリシャ神話に登場する男性の生…
参考文献
Ferocious ‘penis worms’ were the hermit crabs of the ancient seas
https://www.livescience.com/penis-worms-hermit-shell-behavior
Ancient Penis Worms Invented the “Hermit Crab” Lifestyle 500 Million Years Ago
https://scitechdaily.com/ancient-penis-worms-invented-the-hermit-crab-lifestyle-500-million-years-ago/
元論文
A ‘hermit’ shell-dwelling lifestyle in a Cambrian priapulan worm
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(21)01357-9?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS0960982221013579%3Fshowall%3Dtrue
25万年前に絶滅した小型ヒト属の「こぶしサイズの頭蓋骨」を発見

南アフリカにある遺跡で、約25万年前の絶滅したヒト属の頭蓋骨が発見されました。
「ホモ・ナレディ(Homo naledi)」という非常に小柄なヒト属のもので、大きさは握り拳ほどしかありません。
子どもの頭蓋骨と推定されており、岩壁の間に安置されるように置いてあったとのこと。
ここから、ヒト属における埋葬文化が、従来考えられていたより、ずっと前から存在していたことが示唆されています。
研究は、11月4日付けで学術誌『PaleoAnthropology』に掲載されました。
目次 大人でも身長150cmの「ホモ・ナレディ」とは? 大人でも身長150cmの「ホモ・ナレディ」とは? ホモ・ナレディの化石が初めて見つかったのは…
参考文献
Child fossil find in South Africa sheds light on enigmatic hominids
https://phys.org/news/2021-11-child-fossil-south-africa-enigmatic.html
A child’s partial skull adds to the mystery of how Homo naledi treated the dead
https://www.sciencenews.org/article/homo-naledi-child-skull-hominid-cave-discovery
元論文
Immature Hominin Craniodental Remains From a New Locality in the Rising Star Cave System, South Africa
https://paleoanthropology.org/ojs/index.php/paleo/article/view/64
ネアンデルタール人の俊敏な鳥の狩猟方法 研究したら素手で十分だった

失われた狩猟技術が復活したようです。
スペインの国立研究協議会(CSIC)で行われた研究によれば、ネアンデルタール人が行っていたであろう、素手で鳥を捕獲する技術を再現したとのこと。
研究者たちは復活させた技術により最終的に、5525匹ものベニハシカラスを捕えることに成功しています。
研究内容の詳細は『Frontiers in Ecology and Evolution』にて公開されています。
目次 ネアンデルタール人はどうやって鳥を捕えていたのか?夜襲して素手でとらえるいつでも「ヤキトリ」が食べられるのになぜ絶滅したのか? ネアンデルター…
参考文献
Scientists pretend to be Neanderthals to explore how they caught birds in caves for food
https://www.eurekalert.org/news-releases/928550
ネアンデルタール人絶滅の謎の解明に手がかり —ヨーロッパ最初のホモ・サピエンスの投射技術の解明—
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20190926_03web_neanderthal.pdf
元論文
Night Capture of Roosting Cave Birds by Neanderthals: An Actualistic Approach
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fevo.2021.733062/full
The earliest evidence for mechanically delivered projectile weapons in Europe
https://www.nature.com/articles/s41559-019-0990-3#:~:text=The%20multiple%20findings%2C%20such%20as,is%20more%20than%2020%2C000%20years
Reintroduction of the archaic variant of NOVA1 in cortical organoids alters neurodevelopment
https://www.science.org/doi/10.1126/science.aax2537