野生生物のデジタルアイデンティと「異種間通貨」が地球の生物多様性を守る

少なくとも人間以外の生物にとって、今後10年間は有史以来、最も絶滅の進む期間となる。その再生のため、動物や木やその他の野生生物が「自らの存在を代替する手段」として異種間通貨をもつ未来はどうだろう? 生物種のデジタルツインからフィンテックまで、生物多様性を維持するインセンティヴ・システムを構築するためのテクノロジーはもう整っている。マルチスピーシーズの持続的な存続に根差したコモンズの繁栄を探る提言。

新型コロナウイルスからコウモリを守れ:「人間からの感染」を阻止する取り組み

新型コロナウイルスの起源という説もあるコウモリを含む野生動物を、このウイルスから守る取り組みが米国で始まっている。なかでも懸案となっているのは、人間から動物へとウイルスが広がる「スピルバック」と呼ばれる現象だ。

ロボットは人間ではなく動物だ:ロボット倫理学者ケイト・ダーリングの提言

MITメディアラボの研究者でロボット倫理学者のケイト・ダーリングは新著『The New Breed』において、人間と動物のかかわりの歴史から、人間とロボットとの未来を提示する。人類は何世紀にもわたって動物を家畜や軍事目的で使役してきた。それなのになぜいま、“新たな種”であるロボットを人間と比べることにこだわるのだろうか? マルチスピーシーズと共存する未来を拡張するダーリングの提言。

ロボットとうまく付き合うには、新種の動物だと思ってみるのはどうだろう

ロボットを人間と、AIを人間の知性と比較するのは間違っていると、MITのロボット倫理学者ケイト・ダーリングは言う。人間が動物と共に労働や戦争や生活をしてきた歴史を調査した彼女は、ロボットとの間にも同じような関係を育めると考えているのだ。果たしてロボットに行為主体としての責任は問えるのか?あるいはコンパニオンとして動物同様の関係を築いていくのか? このたび新著『The New Breed』を上梓したダーリングに話を訊いた。

AIは動物の“言葉”をどこまで翻訳できるのか? 鍵となる世界認識と語彙の違い

人工知能(AI)による“動物語”の解読が始まっている。まるでGoogle翻訳のように機械学習によって動物を“翻訳”する試みは、霊長類やイルカからタコのような頭足類まで、そもそも動物が人間にとって理解可能な世界観や語彙をもっているという前提に立っている。だがこの技術が進めば、人間は自らが知らない世界への畏敬の念を深め、自身の先入観や偏見から解放されるかもしれない。