デジタルリアリティを脳に直接送れば、『マトリックス』の世界は実現する?

『マトリックス』をはじめとして、サイバースペースやメタヴァースにおいて人工的に合成した体験を心にアップロードするというアイデアは、少なくとも75年にわたってSFの重要なテーマとなってきた。しかし現実は、すべての人のうなじにデータポートがある状況からはずいぶんとかけ離れている。はたして脳とコンピューターを繋ぐインターフェース技術はどこまで進展し、どこまでが実現可能なのだろうか?

これは確かに7周目の〈進化〉したマトリックスである:『マトリックス レザレクションズ』池田純一レヴュー

1999年に公開された『マトリックス』とは、哲学的考察というハイカルチャーと香港ノワール的暴力というサブカルチャーが混在する世界であり、そのごった煮状態こそが当時のインターネットの「エッジ感」をも伝えていた。そんな、極めて「同時代的な作品」だった第1作目から22年。現在公開中の『マトリックス レザレクションズ』は、いかなる「同時代性」を孕んでいるのか。デザインシンカー・池田純一がひも解く。