2021年の「最も驚いた動物ニュース」ベスト5!

2021年丑年で最もおもしろかった動物ニュースは?
Credit: jp.depositphotos

全ての画像を見る

今年もまたたく間に、終わりが来てしまいました。

新型コロナの収束が見えない中で、私たちの生活も大きく変わりましたが、人間の活動の変化は自然界にも影響を与えています。

また、気候変動や環境変化も含め、未知の生態を示した動物がたくさんいました。

そこで今回は、2021年にお届けした記事の中で「最も驚いた動物ニュース」ベスト5を発表していきます。

目次 2021年の動物ニュースBEST5! 2021年の動物ニュースBEST5! 第5位 ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見! 自然界…

全ての画像を見る

参考文献

https://nazology.net/archives/category/science/biology/animals_plants

卵に完璧に保存された「恐竜ベビー」の化石を発見!

史上最も精巧な「恐竜胚」の化石が発見される
Credit: Shoulin Animation – Impeccably preserved dinosaur embryo looks as if it ‘died yesterday'(2021)

全ての画像を見る

恐竜はどのように卵から孵っていたのでしょう?

その秘密を解き明かす驚異的な化石がこのほど中国南部で発見されました。

化石は同地の博物館で約10年間保管されていたもので、卵の中に精巧に保存された孵化前の恐竜の赤ちゃんが見つかったのです。

うずくまるような姿勢は、現代の鳥類の胚に近似しており、恐竜と鳥の進化的なつながりが、これまで考えられていた以上に深いことを示しています。

研究は、12月21日付けで学術誌『iScience』に掲載されました。

目次 「うずくまり姿勢」は現代のニワトリと一緒 「うずくまり姿勢」は現代のニワトリと一緒 研究主任で、エディンバラ大学(University of …

全ての画像を見る

参考文献

Breathtaking Fossil of Baby Dinosaur Tucked in Its Egg Yields New Evolutionary Clues
https://www.sciencealert.com/exquisitely-preserved-dinosaur-embryo-showing-bird-like-behavior-reveals-new-evolutionary-links
Impeccably preserved dinosaur embryo looks as if it ‘died yesterday’
https://www.livescience.com/dinosaur-embryo-fossil-egg-discovered

元論文

An exquisitely preserved in-ovo theropod dinosaur embryo sheds light on avian-like prehatching postures
https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042(21)01487-5

歌声でミトコンドリアの熱生産を制御する鳥がいると判明!

歌でミトコンドリアの性能を調節する鳥がいると判明!
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

全ての画像を見る

歌がミトコンドリアの性能を制御するようです。

オーストラリアのディーキン大学で行われた研究によれば、暑い日に親鳥が発する特殊な鳴き声がヒナのミトコンドリアの性能を調節し、熱生産を抑えている、とのこと。

熱生産を抑えることで、ヒナが暑い環境に適応するのを助けていると考えられます。

ミトコンドリアについてはさまざまな研究がなされていますが、音によって機能が調節されることが示されたのは、今回の研究がはじめてです。

研究内容の詳細は12月8日に『Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences』に掲載されています。

目次 歌でミトコンドリアの性能を調節する鳥がいると判明!実際の気温よりも親の歌声が優先される 歌でミトコンドリアの性能を調節する鳥がいると判明! オ…

全ての画像を見る

参考文献

Parents’ “Heat Warning Calls” Change Zebra Finch Chicks’ Mitochondrial Function
https://www.iflscience.com/plants-and-animals/heat-warning-calls-change-zebra-finch-chicks-mitochondrial-function/

元論文

Prenatal acoustic programming of mitochondrial function for high temperatures in an arid-adapted bird
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2021.1893

恐竜はくちばしなどの一部だけが「カラフル色」だったという研究

恐竜もカラフルな色を体の一部に持っていた可能性
Credit: Sarah Davis / The University of Texas at Austin(2021)

全ての画像を見る

ほとんどの鳥は、オウムやクジャクのような例は別として、全身カラフルなわけではありません。

しかし、羽毛以外に目を向ければ、クチバシや足先など明るい色を持った部分がすぐに見つかります。

そしてこのほど、テキサス大学オースティン校(UTA・米)の研究により、絶滅した恐竜たちも、現代の鳥類と同様に「部分的な明色」を持っていた可能性が示唆されました。

鮮やかな色は、仲間とのコミュニケーションやアピールに使われていたと考えられます。

研究は、12月6日付けで学術誌『Evolution』に掲載されました。

目次 恐竜はいかに「カラフルな色」を手にしたのか 恐竜はいかに「カラフルな色」を手にしたのか 恐竜の体色については、現存する鳥類と恐竜の共通祖先であ…

全ての画像を見る

参考文献

Dinosaur faces and feet may have popped with color
https://phys.org/news/2021-12-dinosaur-feet.html
Non-Avian Dinosaurs May Have Had Bright-Colored Skin, Scales and Beaks
http://www.sci-news.com/paleontology/dinosaur-carotenoid-coloration-10354.html

元論文

Estimating the distribution of carotenoid coloration in skin and integumentary structures of birds and extinct dinosaurs
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/evo.14393

アホウドリの夫婦は海水温が高い年に「離婚率が急上昇する」と判明

アホウドリの夫婦に「温暖化離婚」が増加中?
Credit: F. VENTURA(sciencenews) – Albatrosses divorce more often when ocean waters warm(2021)

全ての画像を見る

鳥類の90%以上は一夫一婦で、ほとんどが生涯パートナーに忠実であると言われています。

中でも貞節さにおいて信頼できるのが、アホウドリです。

アホウドリのカップルは毎年同じ相手と交尾し、めったに別れることはありません。

しかし、このほど発表された最新研究により、これまで知られていなかった驚くべき離婚原因が判明しました。

フォークランド諸島に生息するマユグロアホウドリ(学名:Thalassarche melanophris)は、海面温度が高くなった年に離婚率が急上昇していたのです。

これは、近年の温暖化がアホウドリの夫婦仲を悪化させていることを示唆します。

研究は、リスボン大学(ULisboa・ポルトガル)、モンタナ大学(University of Montana・米)らが中心となり、11月24日付けで学術誌『Proceedings of the Royal Society B』に掲載されました。

目次 アホウドリの世界で「温暖化離婚」が増加中 アホウドリの世界で「温暖化離婚」が増加中 アホウドリは海洋に生息し、飛行できる鳥類の中では最大級の鳥…

全ての画像を見る

参考文献

Albatross divorce rates found to climb during times of warm sea surface temperature
https://phys.org/news/2021-11-albatross-divorce-climb-sea-surface.html
Albatrosses divorce more often when ocean waters warm
https://www.sciencenews.org/article/albatross-bird-divorce-ocean-warm-breeding-climate

元論文

Environmental variability directly affects the prevalence of divorce in monogamous albatrosses
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2021.2112

「肉食なのに歯がない」新種のクチバシ恐竜が発掘される

肉食なのに歯がない新種の「クチバシ恐竜」を発見
Credit: Geovane Alves de Souza et al., Scientific Reports(2021)

全ての画像を見る

ブラジル南部パラナ州にて、非常にめずらしい新種の恐竜化石が発見されました。

この恐竜は、約7000万年前の白亜紀後期に存在し、ノアサウルス科という肉食類に属します。

ところが、ブラジル国立博物館(Brazil’s National Museum)の声明によると、肉食類なのに歯がなく、代わりに「クチバシ」を持っているというのです。

一体どのような食生活をしていたのか、研究者たちの注目を集めています。

研究は、11月18日付けで学術誌『Scientific Reports』に掲載されました。

目次 肉食なのに歯がない? 肉食なのに歯がない? 新種の化石は、2011年〜2014年にかけて、パラナ州の田舎道沿いにある岩石層から発見されました。…

全ての画像を見る

参考文献

Remains of ‘very rare’ dinosaur species discovered in Brazil
https://phys.org/news/2021-11-rare-dinosaur-species-brazil.html

元論文

The first edentulous ceratosaur from South America
https://www.nature.com/articles/s41598-021-01312-4

温暖化の影響で、アマゾンの鳥は体が縮んでいる

温暖化でアマゾンの鳥たちに異変が起きつつある
Credit: jp.depositphotos

全ての画像を見る

温暖化の魔の手は、人間の息がかかっていないアマゾンの熱帯林にまで及び始めているようです。

カリフォルニア統合生態研究所(Integral Ecology Research Center・米)はこのほど、過去40年間で、アマゾンに生息する鳥類の体が小さくなると同時に、翼幅が長くなっていることを明らかにしました。

これまでにも、鳥の体が小さくなっているという報告はありましたが、そのほとんどは渡り鳥が対象であり、要因も狩猟や殺虫剤、森林破壊が挙げられていました。

しかし今回は、人の手が入っていないアマゾンの鳥たちであり、温暖化が原因と見て間違いないようです。

研究は、11月12日付けで学術誌『Science Advances』に掲載されています。

目次 体は小さくなり、翼は長くなる長くなる翼は「飛行能力」を保つため? 体は小さくなり、翼は長くなる 研究チームは、1970年代から約40年にわたり…

全ての画像を見る

参考文献

Climate Change May Have Done 2 Odd And Contradictory Things to Birds in The Amazon
https://www.sciencealert.com/climate-change-has-done-2-odd-and-contradictory-things-to-birds-in-the-amazon
Amazon Rainforest birds’ bodies transform due to climate change
https://phys.org/news/2021-11-amazon-rainforest-birds-bodies-due.html

元論文

Morphological consequences of climate change for resident birds in intact Amazonian rainforest
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abk1743

哺乳類の鼻は「祖先の上アゴ」から進化したと明らかに

哺乳類における鼻と上あごの分化の秘密を解明
Credit: 東京大学 – 哺乳類の顔を作ったダイナミックな進化過程 ~哺乳類の鼻は祖先の口先だった~(2021)

全ての画像を見る

哺乳類の顔は、考えてみれば不思議なかたちをしています。

ヘビやカエルなど、他の脊椎動物では、上あごの先端に鼻がありますが、哺乳類では、上あごと別に動く鼻があります。

こうした哺乳類の顔の進化はまったくの謎でした。

しかし今回、東京大を中心とする国際研究チームにより、顔面形成の進化プロセスが明らかにされました。

これまで同じプロセスと見なされていた顔面形成が、哺乳類において大幅に変更していたようです。

研究は、11月2日付けで学術誌『PNAS』に掲載されています。

目次 「上あご」と「鼻」はどうやって分かれた? 「上あご」と「鼻」はどうやって分かれた? 哺乳類の顔は、上あごから独立した鼻を持つことが大きな特徴で…

全ての画像を見る

参考文献

哺乳類の顔を作ったダイナミックな進化過程 ~哺乳類の鼻は祖先の口先だった~
https://research-er.jp/articles/view/104473
Mammals’ noses come from reptiles’ jaws: Evolutionary development of facial bones
https://phys.org/news/2021-11-mammals-noses-reptiles-jaws-evolutionary.html

元論文

Mammalian face as an evolutionary novelty
https://www.pnas.org/content/118/44/e2111876118

史上初、コンドルの「処女懐胎」を確認

カリフォルニアコンドルで初の「単為生殖」を確認
Credit: PUBLIC RELATIONS(stories.sandiegozoo) – San Diego Zoo Wildlife Alliance Conservation Scientists Report First Confirmed Hatchings of Two California Condor Chicks from Unfertilized Eggs(2021)

全ての画像を見る

史上初となるカリフォルニアコンドル(California condor)の「処女懐胎」が確認されました。

サンディエゴ動物園・野生動物アライアンス(SDZWA)によると、DNAデータベース内にあった2羽のオスの遺伝子を調べたところ、母親の遺伝子しか受け継いでおらず、父親のDNAは一切含まれていなかったとのこと。

ニワトリや七面鳥などの飼い鳥では単為生殖が記録されていますが、野生のコンドルでは前例がありません。

今回の発見は、過去に採取・保存されていたDNAデータから判明したもので、2羽のオスは数年前にすでに死んでいるとのことです。

研究は、10月28日付けで学術誌『Heredity』に掲載されています。

目次 絶滅の危機から、まさかの「処女懐胎」 絶滅の危機から、まさかの「処女懐胎」 カリフォルニアコンドルは、アメリカ南西部・アリゾナ州北部とカリフォ…

全ての画像を見る

参考文献

Critically endangered condor chicks are species’ 1st known ‘virgin births’
https://www.livescience.com/condor-chicks-virgin-births-parthenogenesis
Study finds California condors can have ‘virgin births’
https://phys.org/news/2021-10-california-condors-virgin-births.html

元論文

Facultative Parthenogenesis in California Condors
https://academic.oup.com/jhered/advance-article/doi/10.1093/jhered/esab052/6412509