いつかまた花を咲かせる希望/『ニューヨーカー』を読む:#23「MARRIAGE QUARANTINE」 

トルーマン・カポーティーやJD・サリンジャーなど名文筆家たちが寄稿し、英語圏で小説を書く者ならば誰もが憧れる雑誌『ニューヨーカー』。そこに描かれる作品には、時代の空気を敏感に感じ、翻弄され、あるいは抗いながら生きる人々の姿が至極の筆致で刻まれている。『ニューヨーカー』を読むことは、すなわち時代の変化をいち早く「体感」することでもあるのだ。ニューヨーク在住の作家・新元良一が今月選ぶのは、パンデミック下の巣ごもりで改めて向き合うことになったパートナーとの…

150年以上の時を超えて果たされた「妖怪」の復権と創造:現代美術のアルケオロジー第6回「ホー・ツーニェン 百鬼夜行」展

先鋭的な表現手法で世界に批評的な視点をもたらす「現代美術」。その表現の深層には、必ずや人類学的、民俗学的な文脈が流れている。気鋭の民俗学者・畑中章宏が現代美術を読み解く不定期連載第6回は、シンガポール出身のアーティスト、ホー・ツーニェンによる、妖怪を主題とした「ホー・ツーニェン 百鬼夜行」展。近代美術の合理主義のなかで隠蔽されてきた妖怪の復権と新たなる創造がいかなる意味をもつのか。展覧会とその周辺から「考古学的」に探索する。