オーストラリアの砂漠の真ん中に豊かな生態系を保存した「化石の楽園」を発見!

オーストラリアで「化石の宝庫」を発見
Credit: MATTHEW R. MCCURRY e al., Science Advances(2022)

全ての画像を見る

オーストラリアの心臓部は現在、乾燥した砂漠地帯となっていますが、かつては緑に覆われ、生命が息づいていました。

そのエリアのひとつ、ニューサウスウェールズ州のセントラル・テーブルランズ(中央台地)にて、当時の豊かな生態系を証明する驚くべき発見がなされました。

約1600万〜1100万年前の中新世に当たる”化石の宝庫”が見つかったのです。

発見された化石の多くは科学的に未知の種で、鳥の羽や魚、昆虫、植物などが含まれています。

研究は、1月7日付けで学術誌『Science Advances』に掲載されました。

目次 生物たちの「色」まで復元できる! 生物たちの「色」まで復元できる! 研究主任の一人で、オーストラリア博物館研究所(AMRI)の古生物学者マシュ…

全ての画像を見る

参考文献

Mind-Blowing New Fossil Site Found in The ‘Dead’ Heart of Australia
https://www.sciencealert.com/incredible-new-fossil-site-found-in-the-dead-heart-of-australia
Rare and fragile fossils found at a secret site in Australia’s ‘dead heart’
https://www.livescience.com/secret-fossils-australia-spiders

元論文

A Lagerstätte from Australia provides insight into the nature of Miocene mesic ecosystems
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abm1406

ニホンリスは猛毒「ベニテングダケ」を普通に食べられると判明!

ベニテングタケを食べるニホンリス(撮影:五味孝一さん)
Credit: Kenji Suetsugu et al., Frontiers in Ecology and the Environment(2021)

全ての画像を見る

毒キノコは、私たち人を含む大半の生き物が手出しできない危険な存在です。

しかしこのほど、長野県の山林において、ニホンリスが、毒キノコとして有名なベニテングタケやテングタケを日頃から常食していることが明らかになりました。

今回の報告は、昨年の12月1日付けで学術誌『Frontiers in Ecology and the Environment』に掲載されています。

目次 ニホンリスは毒キノコを安全に食べられる ニホンリスは毒キノコを安全に食べられる 代表的な毒キノコであるベニテングタケ(学名:Amanita m…

全ての画像を見る

参考文献

「毒キノコ」とニホンリスの関係 ~ ベニテングダケを食べるニホンリス ~(神戸大学)
https://research-er.jp/articles/view/106480

元論文

Squirrel consuming “poisonous” mushrooms
https://esajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/fee.2443

史上最大級の「巨大マンボウ」に遭遇 米カリフォルニア沿岸

史上最大級の巨大マンボウに遭遇(米カリフォルニア州)
Credit: Rich German(livescience) – Enormous sunfish surprises paddleboarders off Laguna Beach(2021)

全ての画像を見る

今月2日、カリフォルニア州ラグナ・ビーチの近海で、パドルボートをしていた二人組の下に、巨大マンボウが出現しました。

二人によれば、「突如そばに現れ、海底に沈んでいくまで30分ほど一緒にいた」という。

マンボウ属は現時点で、マンボウ・ウシマンボウ・カクレマンボウの3種に分類されます。

今回見つかったのはマンボウで、その種の中では、史上最大級の一つとのことです。

目次 過去最大クラスの一つ、全長3メートルに迫る可能性も 過去最大クラスの一つ、全長3メートルに迫る可能性も 今回のマンボウは突如あらわれたため、正…

全ての画像を見る

参考文献

Enormous sunfish surprises paddleboarders off Laguna Beach
https://www.livescience.com/giant-sunfish-encounter-paddleboarders

2000年前のカナダ先住民は、オス鮭ばかり獲り、メスは逃していた

2000年前の先住民は、オスのサケをメインに漁獲し、メスは逃していた
Credit: Thomas Royle et al., Scientific Reports(2021)

全ての画像を見る

人類は古くから、海や山の幸など「自然の恵み」によって命を繋いできました。

しかし、川魚のように豊富に存在する資源も乱獲が行き過ぎると、繁殖が追いつかずに枯渇し、失われてしまう恐れがあります。

では、海や川の魚に頼って生きていた古代人は、どうやってこの問題をクリアしたのでしょうか。

カナダの複数大学による共同研究チームはこのほど、北アメリカの北西部沿岸に数千年にわたって居住してきたツレイル・ウォウトゥス(Tsleil-Waututh)族と協力し、当時のサケ漁の実態を調査。

その結果、地元先住民は、オスをメインに漁獲し、メスの多くは獲らないことで、サケの枯渇を防いでいたことが示唆されました。

当時の人々はすでに、メスを獲り過ぎるとサケ漁が続かなくなることに気づいていたのでしょうか。

研究は、11月10日付けで学術誌『Scientific Reports』に掲載されています。

 

目次 PCR法から「オス鮭」ばかり食べていたことが判明「持続可能な漁獲システム」を目的としていた? PCR法から「オス鮭」ばかり食べていたことが判明…

全ての画像を見る

参考文献

2,000-Year-Old Salmon DNA Reveals Secret to Sustainable Fisheries
https://www.the-scientist.com/news-opinion/2000-year-old-salmon-dna-reveals-secret-to-sustainable-fisheries-69466

元論文

Indigenous sex-selective salmon harvesting demonstrates pre-contact marine resource management in Burrard Inlet, British Columbia, Canada
https://www.nature.com/articles/s41598-021-00154-4

極寒の南極で「空気中の水素をエサにして生きるバクテリア」を発見

南極東部マッケイ氷河のの北にある氷のない砂漠地帯。バクテリアはここから発見された。
Credit:Ian Hogg

全ての画像を見る

エネルギーとして得るものが何もなく、乾燥して細胞を維持することさえ困難な環境にも数多くのバクテリアが存在しています。

彼らはいったいどうやって生きるためのエネルギーを得て、細胞を維持しているのでしょうか?

南アフリカのプレトリア大学(UP)の研究チームは、東南極の凍土に潜む451種類のバクテリアを調査し、そのほとんどが空気中の水素を燃料とし、副産物として水を生成していることを明らかにしました。

また遺伝子解析から、これらの細菌は10億年前にこのような形態に分岐したこともわかったといいます。

人間が水素をエネルギー源として活用し始めたのはつい最近のことですが、南極に住むバクテリアは10億年前からそれをしていたようです。

研究の詳細は、11月9日付で科学雑誌『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』に掲載されています。

目次 極限の環境で生きる微生物霞を食べて生きる微生物たち水がない環境でも生命が生存できる可能性 極限の環境で生きる微生物 今回調査が行われたのは、東…

全ての画像を見る

参考文献

Antarctic bacteria live on air and make their own water using hydrogen as fuel
https://theconversation.com/antarctic-bacteria-live-on-air-and-make-their-own-water-using-hydrogen-as-fuel-171808

元論文

Multiple energy sources and metabolic strategies sustain microbial diversity in Antarctic desert soils
https://www.pnas.org/content/118/45/e2025322118

廃タイヤが「ヤドカリ」を殺すトラップになっていた

廃タイヤによってヤドカリが「捕殺」されている
Credit: Atsushi Sogabe et al., Marine-dumped waste tyres cause the ghost fishing of hermit crabs(2021)

全ての画像を見る

場違いも甚だしいですが、海や川に不法投棄されたタイヤを見かけることがあるでしょう。

廃タイヤは、悪臭や蚊の発生源、水質・土壌の汚染源となっており、専門家も大いに懸念しています。

そして、弘前大学・農学生命科学部の研究チームはこのほど、海に捨てられたタイヤが一種のトラップとなり、ヤドカリを捕殺していることを明らかにしました。

ヤドカリは、海底の死骸や有機物を食べてくれる「海の掃除屋」としての役割があります。

廃タイヤによる個体数の減少で、生態系に悪影響が出るかもしれません。

研究は、10月27日付けで学術誌『Royal Society Open Science』に掲載されています。

目次 年間1300匹近くのヤドカリが「捕殺」されていた 年間1300匹近くのヤドカリが「捕殺」されていた 海や川に投棄、あるいは放出された漁具は、知…

全ての画像を見る

参考文献

海洋投棄された廃タイヤがヤドカリを捕殺している
https://research-er.jp/articles/view/104646

元論文

Marine-dumped waste tyres cause the ghost fishing of hermit crabs
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.210166

ダーウィンもドン引きの寄生バチは2000万人もの命を救っていた

寄生バチは、人類の救世主だった?
Credit: jp.depositphotos

全ての画像を見る

居住空間の都市化が進むにつれ、虫たちの存在がどんどん遠いものになっています。

これでは虫嫌いになる人が続出しても仕方ないでしょう。

しかし、虫が地球からいなくなってしまうと、私たちは生きていけません。

彼らは受粉を媒介することで、世界中の植物を繁殖してくれています。

そして、人の役に立っているにもかかわらず、まったく名の売れていない虫が「寄生バチ」です。

寄生バチは「イモムシに寄生するおぞましいヤツ」というレッテルを貼られがちですが、それだけでは悪評が広がるばかり。

実は、彼らには数千万人の命を救った立派な功績があるのです。

それを詳しく見ていきましょう。

目次 悪魔か、救世主か農薬に比べてメリットだらけ 悪魔か、救世主か 寄生バチは主に、コバチ科・ツチバチ科・コマユバチ科・ヒメバチ科に分かれ、種類も豊…

全ての画像を見る

参考文献

PARASITIC WASPS TURN OTHER INSECTS INTO ‘ZOMBIES,’ SAVING MILLIONS OF HUMANS ALONG THE WAY
https://www.dal.ca/news/2021/10/29/parasitic-wasps-turn-other-insects-into–zombies—saving-millio.html