光でマウスの記憶を消すことに成功! MIBの世界に一歩前進!

光でマウスの記憶を消すことに成功! MIBの世界に一歩前進!
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

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光で記憶が消せるようになりました。

日本の京都大学で行われた研究によれば、脳の特定の場所に光をあてることで、マウスの特定の時期に形成された記憶を消去することに成功した、とのこと。

映画「メン・イン・ブラック」では閃光を放って記憶を消す装置「ニューラライザー」が登場しますが、現実の世界でも同じことができるようになるかもしれません。

研究内容の詳細は11月11日に『Science』に掲載されました。

目次 光でマウスの記憶を消すことに成功! SFの世界に一歩前進!マウスの脳に細い光ファイバーを刺し込む長期記憶は2日目の夜に作られる 光でマウスの記…

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参考文献

Using optogenetics, scientists pinpoint the location and timing of memory formation in mice
https://www.statnews.com/2021/11/11/using-optogenetics-scientists-pinpoint-location-timing-of-memory-formation-in-mice/

元論文

Stepwise synaptic plasticity events drive the early phase of memory consolidation
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abj9195

温暖化の影響で、アマゾンの鳥は体が縮んでいる

温暖化でアマゾンの鳥たちに異変が起きつつある
Credit: jp.depositphotos

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温暖化の魔の手は、人間の息がかかっていないアマゾンの熱帯林にまで及び始めているようです。

カリフォルニア統合生態研究所(Integral Ecology Research Center・米)はこのほど、過去40年間で、アマゾンに生息する鳥類の体が小さくなると同時に、翼幅が長くなっていることを明らかにしました。

これまでにも、鳥の体が小さくなっているという報告はありましたが、そのほとんどは渡り鳥が対象であり、要因も狩猟や殺虫剤、森林破壊が挙げられていました。

しかし今回は、人の手が入っていないアマゾンの鳥たちであり、温暖化が原因と見て間違いないようです。

研究は、11月12日付けで学術誌『Science Advances』に掲載されています。

目次 体は小さくなり、翼は長くなる長くなる翼は「飛行能力」を保つため? 体は小さくなり、翼は長くなる 研究チームは、1970年代から約40年にわたり…

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参考文献

Climate Change May Have Done 2 Odd And Contradictory Things to Birds in The Amazon
https://www.sciencealert.com/climate-change-has-done-2-odd-and-contradictory-things-to-birds-in-the-amazon
Amazon Rainforest birds’ bodies transform due to climate change
https://phys.org/news/2021-11-amazon-rainforest-birds-bodies-due.html

元論文

Morphological consequences of climate change for resident birds in intact Amazonian rainforest
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abk1743

「死んだふり」を操る遺伝子を発見!

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死んだふりに必要な遺伝子があるようです。

東京農業大学で行われた研究によれば、甲虫の死んだふりを操る遺伝子群が発見された、とのこと。

死中に活を見いだす「死んだふり」は虫から脊椎動物まで幅広い動物に採用されています。

いったいどんな遺伝子によって「死んだふり」は操作されているのでしょうか?

研究内容の詳細は11月8日に『Scientific Reports』で公開されています。

目次 「しんだふり」の解明に挑む死んだふりを操る遺伝子を発見「しんだふり」のメカニズムは人間の蘇生にも役立つ 「しんだふり」の解明に挑む 捕食者に食…

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参考文献

世界初! 天敵から逃れる戦略を制御するゲノムの特徴を解明 ~死んだふりを操る遺伝子の全貌を突き止めた~
https://www.nodai.ac.jp/application/files/2616/3607/2242/1.pdf

元論文

Genomic characterization between strains selected for death-feigning duration for avoiding attack of a beetle
https://www.nature.com/articles/s41598-021-00987-z

イキイキ生活で活性化する「ボケ防止遺伝子」を発見! アルツハイマーを封じ込めることに成功

イキイキ生活で活性化する「ボケ防止遺伝子」を発見! アルツハイマーを封じ込めることに成功
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

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イキイキ生活をボケ防止に変換してくれる遺伝子があるようです。

米国MIT(マサチューセッツ工科大学)で行われた研究によれば、刺激が多い環境に反応して、認知機能を維持する遺伝子「MEF2」が発見された、とのこと。

教育レベルが高かったり生きがいを得て刺激的な日々を送っている人間、そしてオモチャの多い環境で育ったマウスは「MEF2」が活性化されており、認知症の発生率が大きく下がっていたのです。

研究内容の詳細は11月3日に『Science TranslationalMedicine』で公開されています。

目次 イキイキ生活で活性化する「ボケ防止遺伝子」を発見!イキイキマウスはアルツハイマー病になっても症状が抑えられるボケ防止遺伝子を破壊されたマウスに…

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参考文献

Study links gene to cognitive resilience in the elderly
https://news.mit.edu/2021/gene-cognitive-resilience-elderly-1103

元論文

MEF2 is a key regulator of cognitive potential and confers resilience to neurodegeneration
https://www.science.org/doi/10.1126/scitranslmed.abd7695

栄養をたくさん取ると成長が促進されるメカニズムは脳にあった!

100年前より背が高く思春期が早くなった理由を解明! 栄養と成長をつなげるメカニズム
Credit:Canva . ナゾロジー編集部

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栄養と成長をリンクさせる仕組みが解明されました。

英国ケンブリッジ大学で行われた研究によれば、栄養を検知して子供の成長と思春期入りのタイミングを調節する遺伝子を発見した、とのこと。

この遺伝子に異常があると、両親が高身長で十分な栄養をとっている子供でも、背は低くなり、思春期入りも遅くなってしまうとのこと。

研究内容の詳細は11月3日に『Nature』に公開されています。

目次 100年前より背が高く思春期が早くなった理由ダイエットで性欲がなくなる理由も同じ遺伝子のせいかもしれない 100年前より背が高く思春期が早くな…

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参考文献

Protein in the brain uses energy status to influence maturation, body size, new research shows
https://news.umich.edu/protein-in-the-brain-uses-energy-status-to-influence-maturation-body-size-new-research-shows/
Scientists have discovered the receptor in the human brain that is responsible for people growing taller and reaching puberty earlier than ever
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-10162351/Scientists-brain-receptor-responsible-people-growing-taller-reaching-puberty-earlier.html?ns_mchannel=rss&ns_campaign=1490&ito=1490

元論文

MC3R links nutritional state to childhood growth and the timing of puberty
https://www.nature.com/articles/s41586-021-04088-9

「ハゲを逆転させて元に戻せる」可能性を持った遺伝子が見つかる!

幹細胞が脱毛に影響を与える可能性のある新しいメカニズムが発見された
Credit:depositphotos

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多くの男性が加齢に伴って、薄毛や脱毛を経験しています。

これは毛包と呼ばれる毛を作り出す器官内で、細胞を分化させている幹細胞が失われることで発生しているとわかっています。

しかし、なぜ毛包幹細胞が老化によって失われてしまうのか、そのメカニズムは未だによくわかっていないのです。

米国ノースウェスタン大学(Northwestern University)の研究チームは、初めて生きた生物の幹細胞が老化とともにどうなるかを追跡監視し、幹細胞が本来あるべき位置から移動してしまい、移動先に環境に慣れずに死んでしまうことを発見しました。

これは幹細胞を固定する接着剤が失われるためで、チームはこの接着剤を作り出す遺伝子も特定しています。

この遺伝子をもとに戻すことができれば、脱毛現象を逆転させられるかもしれません。

研究の詳細は、10月4日付で科学雑誌『Nature Aging』に掲載されています。

目次 毛根が死ぬ理由細胞の接着剤がなくなっていた 毛根が死ぬ理由 私たちの毛は常に死と再生を繰り返しています。 これは毛包と呼ばれる皮膚内の器官(一…

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参考文献

Stem cells lose their ‘glue’ and escape from hair follicle to cause hair loss
https://news.northwestern.edu/stories/2021/10/of-balding-mice-and-men-and-women/
Maintaining stem cell stickiness could be the key to battling baldness
https://newatlas.com/medical/stickiness-stem-cells-hair-loss-baldness-treatment/

元論文

Escape of hair follicle stem cells causes stem cell exhaustion during aging
https://www.nature.com/articles/s43587-021-00103-w?proof=tr

トゲマウスに哺乳類で初となる「腎臓再生」の能力を発見

トゲマウスに哺乳類で初となる「再生能力」を発見
Credit: ja.wikipedia

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魚類や爬虫類、両生類には、傷ついた体の再生能力を持つものがいます。

その一方で、ヒトを含む哺乳類は、残念ながら、失われた部位の再生を得意とはしていません。

しかしこのほど、ワシントン大学(University of Washington・米)の研究チームは、トゲマウスというげっ歯類に、腎臓組織を再生する力があることを発見しました。

人為的にダメージを与えた腎臓の構造および機能が再生しただけでなく、腎不全の原因ともなる傷跡も残らなかったとのこと。

こうした臓器の再生能力が哺乳類に見つかるのは初であり、人体の再生医療にも役立つと考えられています。

研究は、11月3日付けで学術誌『iScience』に掲載されました。

目次 損傷から2週間で、腎臓が完全再生「心臓」の再生にも適用できる? 損傷から2週間で、腎臓が完全再生 トゲマウス(Spiny mouse)とは、ネ…

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参考文献

These adorable mice can regenerate their kidneys without scarring
https://www.zmescience.com/science/biology/these-adorable-mice-can-regenerate-their-kidneys-without-scarring/
Spiny Mice Appear to Regenerate Damaged Kidneys
https://www.the-scientist.com/news-opinion/spiny-mice-appear-to-regenerate-damaged-kidneys-69375

元論文

Spiny mice activate unique transcriptional programs after severe kidney injury regenerating organ function without fibrosis
https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042(21)01238-4?utm_source=EA

亜鉛に「ウイルス感染の予防と治療効果がある」と明らかに

亜鉛がウイルス感染の予防と治療の両方に効果があると判明!
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亜鉛はウイルスに効くようです。

オーストラリアのウェスタンシドニー大学で行われた研究によれば、亜鉛を摂取するとウイルスによる呼吸器感染症の予防と治療の両方に効果がある、とのこと。

日本では、亜鉛といえば男性の性力増強に関連していると考える風潮が強いですが、どうやらウイルス感染に対しても大きな効果があるようです。

しかし、なぜ金属に過ぎない亜鉛を摂取するだけで、ウイルス感染の予防と治療ができるのでしょうか?

研究内容の詳細は『BMJ Open』で公開されています。

目次 亜鉛がウイルス感染の予防と治療の両方に効果があると判明!早めの亜鉛が風邪に効く 亜鉛がウイルス感染の予防と治療の両方に効果があると判明! 亜鉛…

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参考文献

Zinc Supplements May Help To Stave Off Respiratory Infections Such As Colds, Flu, and COVID-19
https://scitechdaily.com/zinc-supplements-may-help-to-stave-off-respiratory-infections-such-as-colds-flu-and-covid-19/
New Study Reveals Zinc Really Might Help Treat a Cold, But There’s a Catch
https://www.sciencealert.com/zinc-is-back-in-the-light-as-a-potential-for-treating-respiratory-infections

元論文

Zinc for the prevention or treatment of acute viral respiratory tract infections in adults: a rapid systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials
https://bmjopen.bmj.com/content/11/11/e047474

「異性への魅力の正体」は手汗などの生理的反応を同期させる能力だった

魅力の正体が解明! 生理的同期能力が人間を魅力的にみせていた
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謎に包まれていた魅力の本質が解明されました。

オランダのライデン大学で行われた研究によれば、異性に魅力を感じるかどうかは、鼓動と手汗のにじみ出るパターンの同期に依存していたとのこと。

生理的反応を相手と同期させ感情をコピーする能力が、魅力の正体のようです。

研究内容の詳細は11月1日に『Nature Human Behaviour』に公開されています。

目次 鼓動と手汗のにじむタイミングの同期が第一印象を魅力的にすると判明!魅力の本質は機敏な生理的同期にある同期能力=魅力がなくてもとりあえずテンショ…

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参考文献

The science of love: Copying body language on a date does NOT indicate attraction but ‘sweating in sync’ does, study reveals
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-10153011/Sweating-sync-indicates-attraction-date-study-finds.html?ns_mchannel=rss&ns_campaign=1490&ito=1490

元論文

Physiological synchrony is associated with attraction in a blind date setting
https://www.nature.com/articles/s41562-021-01197-3

狙った細胞に「自分を殺す毒」を作らせるRNA技術が登場

がん細胞だけを殺す「毒入りRNA」も可能
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がん細胞だけを殺すRNAができるかもしれません。

ハーバード大学とMIT(マサチューセッツ工科大学)で行われた研究によれば、狙った細胞に好きなタンパク質を生産させる特殊なRNA(eToehold)を開発した、とのこと。

がん細胞やウイルスに感染した細胞など特定の細胞に対して、毒となるタンパク質を生産させることができれば、がん治療や感染治療に革命が起こる可能性があります。

しかし、1本鎖の核酸に過ぎないRNAに、どうやって狙った細胞を認識させることができたのでしょうか?

研究内容の詳細は10月28日に『Nature Biotechnology』にて公開されました。

目次 「毒入りRNA」で細胞を殺す狙った細胞に狙ったタンパク質を作らせる複合RNA「狙う細胞」と「生産させたいタンパク質」は自由に選べる 「毒入りR…

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参考文献

Engineers devise a way to selectively turn on RNA therapies in human cells
https://news.mit.edu/2021/rna-therapies-control-human-cells-1028
Creating a new toehold for RNA therapeutics, cell therapies, and diagnostics
https://wyss.harvard.edu/news/creating-a-new-toehold-for-rna-therapeutics-cell-therapies-and-diagnostics/

元論文

RNA-responsive elements for eukaryotic translational control
https://www.nature.com/articles/s41587-021-01068-2