2021年の「最も驚いた動物ニュース」ベスト5!

2021年丑年で最もおもしろかった動物ニュースは?
Credit: jp.depositphotos

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今年もまたたく間に、終わりが来てしまいました。

新型コロナの収束が見えない中で、私たちの生活も大きく変わりましたが、人間の活動の変化は自然界にも影響を与えています。

また、気候変動や環境変化も含め、未知の生態を示した動物がたくさんいました。

そこで今回は、2021年にお届けした記事の中で「最も驚いた動物ニュース」ベスト5を発表していきます。

目次 2021年の動物ニュースBEST5! 2021年の動物ニュースBEST5! 第5位 ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見! 自然界…

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参考文献

https://nazology.net/archives/category/science/biology/animals_plants

一時的な温暖化が13世紀末の「小氷期」に関わっていた

14世紀半ばから19世紀半ばにかけて地球は小氷期だった
Credit:canva

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実は13世紀末から19世紀にかけて、地球は小氷期と呼ばれる過去1万年間でもっとも寒い期間の1つでした。

この小氷期がなぜ発生したかについては、未解決の問題であり決定的な原因は明らかとなっていません。

しかし、マサチューセッツ大学の新しい研究は、意外なことに小氷期が始まる直前に非常に温暖な時期があり、それが小氷期を起こすきっかけになっていたと報告しているのです。

矛盾した話のようにも感じますが、温暖化が地球全体の寒冷化の引き金になる可能性があるようです。

研究の詳細は、12月15日付でオープンアクセスジャーナル『Science Advances』に掲載されています。

目次 14世紀に始まった地球の小氷期温暖化が急激な寒冷化を招いた太陽活動と地球の空気が綺麗すぎた問題 14世紀に始まった地球の小氷期 一般的なイメー…

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参考文献

Winter is coming: Researchers uncover the surprising cause of the Little Ice Age
https://phys.org/news/2021-12-winter-uncover-ice-age.html

元論文

Little Ice Age abruptly triggered by intrusion of Atlantic waters into the Nordic Seas
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abi8230

水を与えず、高塩分で育てる「拷問果樹園」の実態

拷問果樹園
Credit:Pat J. Brown(UC)_The ‘Torture Orchard’ Is a Testing Ground for the Coming Climate Crisis(2021)

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2021年は、アメリカ・カリフォルニア州の農家にとって厳しい年でした。

州の90%近くの地域が極度の干ばつに見舞われたのです。

では、このような気候変動にどのように対処すべきでしょうか?

カリフォルニア大学デービス校(UC)ウォルフスキル実験果樹園では、干ばつに耐える植物を生み出すために過酷な実験が行われています。

いくつかの品種に対して、あえて水を与えなかったり、塩分を含む土壌で栽培したりして、生命力の強い品種を探そうとしているのです。

目次 干ばつ対策のため過酷な実験が行われるピスタチオの木が拷問果樹園での断水実験を生き残る拷問を受けた植物たちには後遺症が残っていた 干ばつ対策のた…

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参考文献

The ‘Torture Orchard’ Is a Testing Ground for the Coming Climate Crisis
https://www.atlasobscura.com/articles/breeding-trees-for-climate-change
Torture orchard: Can science transform California crops to cope with drought?
https://caes.ucdavis.edu/news/torture-orchard-can-science-transform-california-crops-cope-drought

ボルボ・カーズ、気候変動対策におけるリーダーシップの評価を獲得

ボルボ・カーズは、国際的な環境NPOであるCDPによって、そのサステナビリティ戦略が評価され、排出量の削減や気候変動リスクの軽減により、クライメート・ニュートラルな企業になることを目指した取り組みに対し、「気候変動Aリス […]

世界の終わりを記録して後世に伝える「モノリス」が、まもなく完成

タスマニア島で「人類の最期」を語り継ぐブラックボックスを建設予定
Credit: Earth Black Box – “Earth’s Black Box” to chronicle humanity’s descent into climate chaos(2021)

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温暖化、核戦争、隕石の落下、パンデミック、生態系の崩壊…

人類が滅亡する可能性のあるシナリオはいくつも挙げられますが、そのどれがいつ現実となるかは予想できません。

過去、多くの人々が悲劇に遭遇したとき、自身の生きた証や、悲劇の教訓を後世へ残そうとしてきました。

しかし、人類全体が滅亡するような悲劇の記録は、どうやって残せば良いのでしょうか?

今、そんな人類最期の物語を語り伝えるためのある計画が、オーストラリアのタスマニア島で進行しています。

「Earth’s Black Box(地球のブラックボックス)」と呼ばれるこのプロジェクトでは、世界最後の瞬間に、地球の環境データ、最新の科学・政治情報を自動で記録する巨大モノリスを建造しています。

目次 「人類の最期」を語り継ぐためにブラックボックスを立てる「真の目的」とは 「人類の最期」を語り継ぐために Earth’s Black Boxは、…

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参考文献

This Mysterious, Indestructible ‘Black Box’ Will Tell The Future What Happened to Us
https://www.sciencealert.com/this-mysterious-indestructible-black-box-will-tell-the-future-what-happened-to-us
“Earth’s Black Box” to chronicle humanity’s descent into climate chaos
https://newatlas.com/environment/earths-black-box-climate-change/

マンモスの絶滅により「草原火災」が急増していた

大型草食動物の絶滅により、草原での火災が増えていた
Credit: scitechdaily – Extinction of Ancient Grazers Triggered a Global Rise in Fires(2021)

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5万年前から6000年前にかけて、マンモスやジャイアントバイソン、古代馬など、大型の草食動物たちが姿を消しました。

エール大学(Yale University・米)の研究チームはこのほど、これらの草食種が失われたことによる生態系への影響を調査。

その結果、草を食む動物の絶滅により、草原における自然火災が劇的に増加していたことが判明しました。

研究は、11月26日付けで学術誌『Science』に掲載されています。

目次 絶滅率が高い地ほど、草原火災が急増 絶滅率が高い地ほど、草原火災が急増 エール大の研究チームは、ユタ自然史博物館(Utah Natural H…

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参考文献

Extinction of Ancient Grazers Triggered a Global Rise in Fires
https://scitechdaily.com/extinction-of-ancient-grazers-triggered-a-global-rise-in-fires/

元論文

Global response of fire activity to late Quaternary grazer extinctions
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abj1580

2万4000年間の気候変動が一目で分かる世界気温地図が作られる

国際宇宙ステーションからみた地平線の眺め
Credit:NASA

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温暖化は現代のキーワードとも言える、人類の抱える大きな課題となっていますが、地球の気候変動は何も今になって始まったことではありません。

地球の気候は長い年月の中でダイナミックに変化しており、温暖化問題を考える際も、これは自然のサイクルであって人類の活動はあんまり関係ないんじゃないか? と考える人たちも多く存在します。

そこで、米国アリゾナ大学が主導した新しい研究は、、氷河期以降の地球の気候を再構築し、過去2万4000年間の地球上の気温変化を200年間隔でマッピングしました

その研究結果は、いかに人間の活動が自然なサイクルの限界を超えて気温を押し上げているかを浮き彫りにしている、と研究者は話します。

研究の詳細は、2021年11月10日付けで科学雑誌『nature』に掲載されています。

目次 地球の気温変化の歴史を再構築する2万4000年間の地球の気温変化を一目で見る 地球の気温変化の歴史を再構築する 今回の研究は、過去2万4000…

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参考文献

Global Temperatures Over Last 24,000 Years Show Today’s Warming ‘Unprecedented’
https://news.arizona.edu/story/global-temperatures-over-last-24000-years-show-todays-warming-unprecedented
See 24,000 years of climate history at a glance
https://www.popsci.com/science/24000-years-of-climate-history-gif/

元論文

Globally resolved surface temperatures since the Last Glacial Maximum
https://www.nature.com/articles/s41586-021-03984-4
Globally resolved surface temperatures since the Last Glacial Maximum(Earth ArXiv版)
https://eartharxiv.org/repository/view/2219/

落雷死は骨に法医学の証拠となる独特のパターンを残す

落雷で死亡した痕跡は骨にの深くに残る
Credit:canva

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落雷で死ぬというのはかなりまれな出来事という印象がありますが、実際世界では年間2万4000人以上の人が落雷で命を落としています。

もし誰も目撃者のいない遠隔地で、落雷による死亡があった場合、その死体は司法解剖されることになるでしょう。

しかし、その死体が山奥で白骨化していた場合、法医学は落雷が犯人だったと特定することができるのでしょうか?

南アフリカ共和国のウィットウォーターズランド大学(University of the Witwatersrand:ウィット大学)、英国ノーサンブリア大学(Northumbria University)の法医学研究グループは、落雷で死亡した際に、骨細胞に放射状の跡が残ることを発見したと報告しています。

この成果は、事故死と殺人事件を区別し、また落雷死の正確な件数を割り出すために役立ちます。

研究の詳細は、11月3日付で科学雑誌『Forensic Sc​​ience International:Synergy』に掲載されています。

目次 死体は語る落雷が刻む骨の損傷 死体は語る 科学捜査を主軸としたミステリードラマは、日本、海外を問わず人気ジャンルの1つです。 こうした作品がき…

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参考文献

Harnessing Thor’s hammer
https://www.wits.ac.za/news/latest-news/research-news/2021/2021-11/harnessing-thors-hammer.html
Lightning Strikes Carve a Deadly Signature Deep Inside The Bones, Scientists Discover
https://www.sciencealert.com/lightning-strikes-carve-a-deadly-signature-deep-inside-the-bones-scientists-discover

元論文

Harnessing Thor’s Hammer: Experimentally induced lightning trauma to human bone by high impulse current
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589871X21000760?via%3Dihub

温暖化に伴って突出部の大きさが変化している恒温動物がいる

<地球温暖化に伴って、手足や耳、尾、嘴といった突出部の大きさが変化している恒温動物が広く存在することが明らかに> 大きな耳をうちわのように動かして体の熱を逃がし、体温を調節するアフリカゾウや、嘴に温かい血液を集中させ、ここから熱を放出して体温を調節する鳥など、体温調節のために突出部を用いる恒温動物は少なくない。 米国の動物学者ジョゼフ・アレン博士は、1870年代に「寒冷地に生息する恒温動物の突出部は温暖地の個体よりも小さい」とする「アレンの法則」を提唱した。 この法則は、鳥類や齧歯類に関する研究でも…

中東は世界の2倍ペースで気温上昇中…無策な政府、紛争、貧困という絶望

<もはや気温50℃超えは当たり前に。水不足に加えて電力不足でエアコンも使えず、難民大量発生の懸念も> この夏、中東の風光明媚な国々は灼熱地獄となった。極端な気温上昇と深刻な干ばつがこの地域を襲い、森林は燃え上がり、都市は文字どおりのヒートアイランドと化し耐え難い熱気に包まれた。 クウェートでは6月にこの夏最高の53.2度を記録。オマーン、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビアでも最高気温が50度を超え、1カ月後にはイラクで51.6度、イランでも51度近い猛暑となった。 これはほんの序の口だ。 中…